トンニャン過去編#57 ミセス・ボニー・ガン(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「コーラの巻」の次。「ミセス・ボニーの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
「正直ね、コーラ」
アリスが笑いを浮かべる。
「チェリーは天使なんだ。やっぱり、そうなのね」
「アリス、私は何も・・・」
「コーラ、あなたって、悪魔のくせに、素直すぎよ」
アリスは笑いながら、歩き出した。
*
雪がチラついている。もう冬だ。去年、トーニ・バロンとエミリー・パストが雪山で遭難しかけてから、一年が過ぎようとしている。時の過ぎる早さに、驚きを禁じえない。
「チェリー」
チェリーは自分のマンションのベランダから、雪を見ていた。そこに突然現れたのは、チェリーの婚約者、愛の天使クビドだ。
「クビド、何?もう迎えに来たの?まだここに来て、三ヶ月しかたってないわ。」
「今回は、前とは違う理由だ。アリス・ジョージャスが気づいた」
「アリスが?」
「しかも、確信を持ったのは、チェリーだけ。とりあえず一旦、天上界に戻った方がいい」
「そんな・・・」
クビドはチェリーの手を引いた。
「待って。コーラやトンニャンに・・」
「トンニャンは、何が起こったかわかると、ミカエル様がおっしゃっていた」
「ミカエル様が・・・。・・・私を天上界に戻すのは、ガブリエル様のご命令?」
クビドがうなずいた。
「それに・・・」
*****
天上界に戻ると、チェリーは最初にクビドの城に立ち寄った。
「何?魔女裁判て?」
「知らなかっただろう。リリスの魔女裁判が行われた事を」
「だって、コーラもトンニャンも何も」
「教えてくれなかった。それはチェリーが天使だというだけじゃない」
チェリーはクビドの城の中の、雲で出来た椅子に座っている。
「きみが、未熟だからだよ。きみに話しても、どうにもならない、とトンニャンが判断したんだ」
チェリーは、うつむいて額にしわを寄せた。クビドも、チェリーの向かい側の雲の椅子に座った。
「ミセス・ボニー・ガンは妊娠中だったな」
チェリーが顔を上げた。
「ガブリエル様が受胎告知の大天使である事は、知っているよね?」
「ガブリエル様は妊娠を司り、妊婦を守り、誕生する命を守る天使でもある」
「それが?」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#57 ミセス・ボニー・ガン(原題「フェニックス」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
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次回トンニャン過去編#58 ミセス・ボニー・ガンへ続く
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前回トンニャン過去編#56 ミセス・ボニー・ガンはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
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