トンニャン最終章#27 後のこと
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「ミカエルルシファーの巻」の次、「後のことの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「あの・・・ミカエル様。ウェヌス様は、それは人妻ですが、ほかの何人もの天使との間に子どもを作り、天使を増やすことが役割と聞いております。しかし、その、わたしを生みだすだけのために」
「そうだ、クビド、おまえを生みだすだけのためだ」
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「父上。母上は、確かに他の悪魔たちとの間にたくさん子どもを生むように義務付けられています。しかし、本当は父上を愛している。俺にはわかる。それにサーティは」
「サーティも、わたしひとりの子だ。リリスの血は一滴も入っていない。リリスが女の子を望んだので、おまえの相手として生まれた」
「でも、サーティは」
「コーラが堕ちてきた時、おまえは惹かれ、追いかけ始めた。ふさわしい相手がいない場合は、神々も悪魔も、兄弟・姉妹との婚姻は珍しいことではない。しかし、おまえにふさわしい堕天使が降ってきたのだ。それだけだ」
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「あんまりだ。ミカエル様、一度もウェヌス様に心は動かなかったのですか?」
「その通りだ」
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「父上!」
「リリスには感謝している。部下の悪魔を増やし続け、魔女裁判長としても勤めを果たしている。大事にしているつもりだが」
「それにしたって!?」
クビドとリオールが同時に声を上げた。
「わたしたちは・・」
「ルシファー」
「もう、知ってもいいだろう。二人とも立派な大人だ」
「わたしたちは、女に心は動かない」
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「そ・・・そんな」
「最初からなのですね?ミカエル様。最初から、そうだったのですね?」
「魂が分かれて生まれた。つまり、二つに分かれた魂は、もとの一つに戻ろうとする。それだけのことだ」
「その魂を分けて生まれたおまえたちも、いずれ惹かれるようになっていた」
ミカエルが、そしてルシファーが、二つに分かれて生まれた時から、いつか光と闇に分かれると決まっていたのだろうか。
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「でも、待って下さい。わたしはリオールに惹かれています。言われた通り、分かれていた魂が出逢ったと感じました。でも、チェリーのことも愛しています。かつて、プシュケーと愛を育んだこともあります」
「俺だって、コーラを愛している。サーティのことも、子どものころから惹かれていた」
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「女から生まれたから」
「わたしたちは、何も無いはじまりの時に、魂だけが生まれた。しかし、おまえたちは、女から生まれたからか。おそらく、な」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン最終章#27 後のこと
※たくさんの神々と関係を持ち、たくさんの子供を生み続けているクビドの母「愛と美の女神 ウェヌス」こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb08cf03cdbb3?magazine_key=mf04f309d9dfc
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