トンニャン過去編#58 ミセス・ボニー・ガン(原題「フェニックス」)
※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「コーラの巻」の次。「ミセス・ボニーの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです
トンニャンとコーラは、二人きりでチェリーの残したマンションにいた。
すでに年が明けていて、一九七五年になっていた。
このマンションは容易に悪魔は入り込めない。マンションにいる限り、安全だ。
「トンニャン、リリス様は本当に私を襲ってくると思う?」
トンニャンはそれに答えず、ブラックコーヒーを飲んでいる。
「トンニャン、ね、どう思うの?」
トンニャンが、コーヒーカップをテーブルに置く。
「ミセス・ボニー・ガンは、もうすぐ妊娠七ヶ月目に入るわね」
「え?ミセス・ガンが何か?」
「生まれる子供は女の子。名前はフリダ」
コーラはトンニャンの言っている事に、もう疑問は抱かない。トンニャンがそう言うなら、きっとそうなんだろう。
「・・・動く」
「動く?」
「コーラ、ここから出ちゃダメよ。」
トンニャンはそういい残すと、小さな風を残して消えた。
*****
チェリーは魔典を読んでいた。このところ、チェリーはずっと魔界の事を勉強している。チェリーに課せられたもの。
「チェリー、そろそろケルビム(智天使)への昇進を考える時期が来たんじゃないかな。」
「ケルビム・・・。ガブリエル様がそうおっしゃったの?」
「僕がガブリエル様のもとで、ケルビムとしての役割を果たしているのは知っているよね?」
「えぇ」
クビドは天使の地位としては上級三隊・二階級目のケルビム(智天使)。そのケルビム指揮官は、一階級目セラフィム(熾天使)である大天使ガブリエルだ。
「でも、優しさだけでは人は救えない。強さも必要だ。ミカエル様を初めとした四大天使が何と呼ばれているか、知っているよね」
チェリーは顔を上げて、クビドに答える。
「神のごとき者ミカエル、強き者ガブリエル、癒す者ラファエル、光り輝く者ウリエル」
「そう、ガブリエル様は強き者と呼ばれている」
天上界に戻ってから、チェリーはずっとクビドの城で勉強していた。来るべき時のために。
「チェリー、動いたよ。」
振り返るとクビドが立っていた。
*****
雪が降っていた。すでに屋根は白く染まり、街は雪化粧している。
チェリーは、ミスター・ディック・ガン・ミセス・ボニー・ガン夫妻の家の屋根に座っていた。雪はチェリーをも白く染めてゆく。待ち人は・・・。
長い爪がチェリーの背後から迫ってくる。
「あ・・・。」
チェリーが立ち上がった。爪の主が飛びのく。
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン過去編#58 ミセス・ボニー・ガン(原題「フェニックス」)
※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
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※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
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次回トンニャン過去編#59 ミセス・ボニー・ガンへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n54a0a21b56d7
前回トンニャン過去編#57 ミセス・ボニー・ガンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n2950b701627c
■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d
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