魔女の島 Ⅱ
ピアは、やっと逃げ出してきた魔女の家に、もう一度 走りました。
魔女の家の前で、そっと窓から中をうかがうと、ちょうど魔女が 娘に遺産を伝授している最中でした。
魔女の遺産とは、五つの食器でした。
それは 透き通っていて、光にあたるとキラキラ七色に輝く
グラス、カップ、スープディッシュ、ラージディッシュ、リトルディッシュの五種類。
それを相続することが、魔女の正当な跡取りの証しなのです。
魔女が娘に相続するための呪文を教えていました。
「シューディル トリジラ プスッパ カスガラ」
魔女は 何度となく呪文を繰り返し、娘に教え込もうとしています。
ピアは裏口から静かに入り、台所の奥の棚の 魔法を解く薬を取り出しました。
それから また静かに外に出ました。
もう一度窓からのぞくと、もの覚えの悪い娘に、魔女は まだ呪文を教え続けていました。
ピアは そのすきに 再び 船に向かいました。
そして 船乗りたちに頼んで、小クジラを船に乗せてもらいました。
ようやく 船が出港する時、ピアは島に別れを告げるように、あの魔女の呪文を唱えました。
「シューディル トリジラ プスッパ カスガラ」
すると どうしたことでしょう。
魔女の遺産、あの五つの食器が現れました。
魔女の血を引くピアにも、遺産を相続する資格があったのです。
ありがとうございます(*´з`)
魔女の島 Ⅱ
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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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