トンニャン#51(番外編)クビドとリオール(ちょっとBL苦手な方はスルーで)
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「クビドリオールの巻」のような意。話の位置は前回の「ラファエルの巻」の次。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
ベッドに座り込んでいるリオールは、クビドの顔も見ず、またため息をつく。
対の天使とお互いを意識した時から、このトンニャンの作った異次元の球体が、二人の秘密の場所となった。リオールが、悪魔から本来の天使の姿に戻れる場所だ。
お互いの妻であるチェリーとコーラも理解を示し、二人が会う事を拒まない。
天帝をも存在を認める事ができないほど、硬く張られたシールド。
トンニャンにしか作れないシールドだ。
「見ろよ、リオール」
クビドが後ろから抱きすくめながら、目の前の大きな姿見を見る。リオールも言われるままに、姿見に目を移す。
「本当にそっくりだな」
「・・・毎回、同じ事言ってるぞ」
「毎回思うんだよ。なんでこんなに同じなのかって」
「父親が双子だからだろ」
「リオール、ほかに言う事はないのか?」
「なんだよ」
クビドがリオールに巻きついた白い布を引いた。はらりと落ちるシーツ。
「ば・・・よせよ!」
あわててリオールがシーツを拾い上げる。
「いまさら」
今度はクビドがため息だ。
「おまえ、最近おかしいぞ」
リオールは黙っている。
「わたしに隠す事があるのか?」
「何も、ないよ」
「何もない、ねえ」
「強硬手段に訴えるしかないかな」
「なんだよ、強硬手段って」
「わたしの力とおまえの力は同じだ。同じ能力を持っている」
「知ってるよ」
「だったら、どうすればいいか、わかるよな?」
「え・・・それは、お互いやめようって!」
クビドは、リオールの胸に手をあてようとした。するりと抜けるようにリオールが逃げる。
「おい、決めただろう。お互いの心を読むのはやめようって」
「あぁ、決めた」
「すべての力を解放して、お互いを探るような真似はやめようって。人間のようにお互いを信じようって」
「そうだな。決して隠し事はせず、すべてを話すという条件のもとだったがな」
そう言うが早いか、クビドはリオールの胸に手を置いていた。リオールが離れた時には、クビドにはすべてが読み取られていた。
「なんで黙ってたんだ?」
「・・・」
「なんで、黙ってたんだって聞いてるんだ!」
続く
ありがとうございましたm(__)m
トンニャン#51(番外編)クビドとリオール(ちょっとBL苦手な方はスルーで)
※「なんで黙っていたんだ!」クビドの言う問題のシーンは、こちらから
「悪魔皇女サ―ティ」(アスタロト公爵#19)へ
https://note.com/mizukiasuka/n/n5fcb977e08a6
【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】
※トンニャンが全部読めるマガジンはこちら
https://note.com/mizukiasuka/m/mf04f309d9dfc
次回トンニャン#52クビドとリオールへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/nd2e46df80f09
前回トンニャン#50 大天使ラファエルはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/ne648bd9c243e
最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46