サイレントナイト(ちょっと不条理①)
昔 あるところに 若い娘と 父親が住んでおりました。
娘は まだ二十歳に足らず かと言って 十は とうに過ぎて 箸が転んでもおかしい お年頃。
しかし いつ母がいなくなったのか いや死んでいるのか 生きているのか。
父に聞くこともなく 娘となっておりました。
父の帰りが いつも遅いので 娘は夜 ひとりで待っています。
そうすると 決まって 隣の部屋のお兄さんが 遊びに来て 遊んでくれておりました。
お兄さんは 大学というところに行くため 親元から離れていたのです。
淋しい娘は 父親が帰るまで お兄さんとすごしておりましたが、そのお兄さんが卒業というものをすると、いなくなってしまいました。
でも、娘は 淋しくありません。
お兄さんがいなくなって まもなく プレゼントが届けられたのです。
娘は 今日も父の帰りを待っています。
かわいい赤ちゃんと ともに。
どうしてか 赤ちゃんは 娘の父親を「パパ」と 呼ぶようになりました。
今は 娘も「ママ」と 呼ばれています。
母親のことなど もう 忘れました。
全てを受け入れる父親の愛と 無垢な赤ちゃんがいるから。
娘は 幸せになりました。
年が明ければ 娘も成人式。
大人 なのですから。
サイレントナイト(ちょっと不条理①)
最新作「駒草ーコマクサー」
かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね
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