元祖 巴の龍#63(相関図付)
兵衛も同調し、大悟も覚悟を決めた。
大悟は龍車に向かって、弓を引き絞った。
「南無八幡大菩薩!」
大悟は矢に思いを込めると、菊之介、兵衛も飛び上がった。
今だ!
と心の声が叫んだ。
大悟が矢を放つと、一閃の光が龍車に向かって飛んでゆき、それと時を同じくして、菊之介と兵衛も太刀を振り上げた。
光の矢が龍車の額に突き刺さる寸前、菊之介と兵衛の太刀も同じ場所に切りかかった。
三人の力が一つになって、龍車の額は大きく割れた。
「おのれ、噂通りの三つ・・・巴の龍め・・・」
龍車が苦しみだして上昇しようとした時、突然暗闇が訪れ、激しい稲妻が龍車の割れた額めがけて落ちてきて、龍車は爆音とともに砕け散った。
「三つ・・・巴の龍・・・?」
後には光を失った三人の兄弟が呆然と立ち尽くすのみ。
いつのまにか鳥の群れは消え、雨が降っていた。
そして菊之介たちの目の前に、雨に濡れて立っている女がひとり。
「義姉上」
菊之介が駆け寄ると、桐紗はぐらりと体を揺らし倒れた。菊之介はかろうじて受け止めると、頭を受け止めた手に異常な熱さを感じた。
「義姉上、ひどい熱だ」
大悟も兵衛も近づいてきた。
「誰だ。この女子は」
大悟が不審そうに言った。
「事情は後ほどゆっくり話します。とりあえず中へ」
菊之介は桐紗を抱きかかえると、兵衛の家の中へと運んだ。
家の者は心配そうにしていたが、桐紗が三つ口定継の娘と知れると、洸綱は不快感をあらわにした。
病の者は見捨てられぬ、と言う娘・葵の言葉も、洸綱の心には響かなかった。
やむなく菊之介は、大悟に手伝ってもらって、丈之介と芹乃家に、桐紗を運んだ。
丈之介の家では、芹乃がこころよく迎え入れてくれた。
桐紗は温かい寝床が与えられ、菊之介は寝ずの看病をするのであった。
続く
ありがとうございましたm(__)m
※かえすがえすも敵、弱すぎ。
やはり物語としては、鬼滅の刃的に、戦闘シーンをメインにして、人とのつながりが、戦いの添え物的に短い方が面白いんだろうなぁ。
この話は2001年の古い作品ですが。
※相関図、写真が下手で、曲がってて、すみません。2001年作成。
「駒草ーコマクサー」
弟が最後に見たかもしれない光景を見たいんですよ
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