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トンニャン最終章#26 後のこと

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
話の位置は「ミカエルルシファーの巻」の次、「後のことの巻」のような意。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

天上界 ミカエルの城
「ミカエル様。お言いつけのご用は、万事うまくおさまりました」
相変わらずミカエルは、お気に入りの雲で作った椅子に座っている。
「ご苦労だった、クビド。少し、休んでいくがいい」
「ここで、ですか?」
「かまわんだろう。息子が父親の家で、お茶くらい飲んでも」
「は・・・はい」
ミカエルはクビドを書斎のソファーに座らせると、自らハーブティーを入れ始めた。
 
カモミール。チェリーから聞いたんだろうか。わたしが好きなお茶。
 
クビドは、あの洪水の直後、トンニャンの作った異次元の球体の中で起こったことを思い出していた。リオールと二人で、隣の球体に行った時のことを。
 
―――――洪水後のトンニャンの球体の中で―――――
「まずいって。やっぱり、止そう」
リオールは後ろを向いたまま、中を見ることができない。
クビドは、思い切りリオールの手をひっぱった。
「やめ・・・」
 
眼の前に、ルシファーがいた。ルシファーが二人。いや・・・。
「トンニャンに迎えに来るよう、言われたか?」
ルシファーとミカエルは、姿こそ違うが、まさに双子、そっくりだ。
 
良かった。衣装を身につけている。
「何が良かったんだ?自分達と同じだと思ったのか?」
見透かされている。
 
「困ったもんだな、ルシファー。おまえの息子は」
「あぁ、わたしの弟にそっくりなんでな」
「ほう、弟とは誰のことだ?」
「ひとりしか、いないが」
 
「ちょっと、待って下さい!兄弟喧嘩を見に来たんじゃありません。」
「クビド、喧嘩してるように見えたか?」
「え?」
「兄弟なんて、こんなものだ」
ミカエルとルシファーは、笑いながら話している。
 
「ちょ・・・!笑い事じゃないでしょう!」
「クビドの次はリオール。仲のいいことだな」
「ルシファー、あなたとミカエル様に聞きたいことがあります。リオールも、同じ気持ちだと」
リオールは、大きくうなずいた。
 
「思っている通りだ」
「え?」
「おまえたちの思っている通りだと、言ったんだ。」
「ミカエルは、自分の魂のかたわれを自分で作った。クビド、おまえだ」
「ルシファーも、自分の魂のかたわれを作った。リオール、だから、おまえたちも対の天使なのだ」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン最終章#26 後のこと

※トンニャン最終章の、さらに最後の5話の①です。
書籍化された「阿修羅王」は、ほんとうにスピンオフで、インドの神々や仏法にかかわる者たちが、完全フィクションで描かれています。
このnoteにアップされたものだけ読むと、「阿修羅王」は全く違う物語に思えるかもしれませんね。

【「炎の巫女/阿修羅王」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

次回トンニャン最終章#27 後のこと へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n20c3a1e7f2e6

前回トンニャン最終章#25 ミカエルとルシファー はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n2d7e0b4cc1a9

トンニャン最終章、最初から読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/mb128933fa182

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