エンドレスヒールⅡ-3.11 #28あさみの場合
2011年3月11日・震災当日
3月11日、午前中に図書館の面接が終わり、浅海は採用のための必要書類を書いたものを渡され、翌週には準備するよう言われて家に帰って来た。
昼食はインスタントラーメンでも、と買い置きの五個入りお徳用を一つ、作って食べた。
外は雪が降り、昨日のポンペイ展の時とはうって変って強い寒さを感じた。
年をとって、ガスは危ない。
火を消し忘れたりする場合が多くなる。
子供と同居していれば、そんなことは考えないだろう。
しかし、子供たちは三人とも関東の大学に進学し、すでに向こうで二人就職している。
浅海は、自分たちが将来、なるべく子供たちに迷惑を書けない暮らしをするため、夫が退職したら、退職金で家をバリアフリーに改装したい、と考えていた。
その手始めに、昨年ガスレンジは IHクッキングヒーターに変えたのだ。
これからは電気の時代。
ソーラーシステムを付けて、オール電化もいいかもしれない。
ヒーターをつけているが、灯油を入れるといっても結局は電気で動く。
子供の頃のように停電もなくなった。
電気の方が快適。
浅海は、午後からは喘息の病院に行く予定になっていた。
肺炎は落ち着いたが、喘息が治ったわけではない。
喘息のことは、図書館の面接でも話してある。
薬は離せないが、仕事ができないわけではない。
寒いので、3月とはいえきっちりとジャケットを着て、帽子をかぶり、バッグを手にした。
電灯、電気カーペット、ヒーターを消した。
さて、出かけるか。
キッチンで最後の火の元、戸締りチェックをしようとした時、それは やって来た。
2011年6月28日(火)
続く
エンドレスヒールⅡ-3.11 #28あさみの場合
私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。
次回 エンドレスヒールⅡ #29はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n3531d42a9b78
前回 エンドレスヒールⅡ #27は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n5eaf27f42515
②エンドレスヒールⅡ あさみの場合 最初からはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n799a32079029
①エンドレスヒールⅠ 和美の場合 を最初から、まとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921