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ALIFEから考える組織デザイン

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組織はひとつの生命体と捉えることができます。進化しつづける生命の仕組みを研究しているALIFE(人工生命)の研究から組織のデザインについて分かってきていることなどを紹介します。
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#ALIFE

コミュニティの成長のために必要なこと。

きのう、人工生命研究会に参加してきました。 研究会が立ち上がったのは2021年4月のことです。今日はその5回目の研究会。ALIFEというまだまだニッチな学問分野。世界には国際人工生命学会(International Society for Artificial Life)という団体があり、国際学会も毎年開かれます。けれど、日本には定期的に開かれる研究会がなく「もっとALIFEについて議論したい」という個人的な思いから、賛同者と共に立ち上げたのがそのはじまりです。 目指した

DAOとはスマートコントラクトの集合体である

こんにちは。岡瑞起です。すっかり夏も終わりに近づいてきましたね。 今日はDAO(自律分散型組織)について書いてみたいと思います。 DAO(Distributed Autonomous Organization) 「DAO(自律分散型組織)の本質って何なのだろう?」 これまでDAOやWeb3に関するいくつかの書籍を読んだりしてみましたが、私が一番「なるほど、これが本質か!」と納得したのが、ブロックチェーンに特化したリサーチメディアHashHub Researchによる次の

組織における影役者を可視化する方法

2022.6.17号のプレジデント「報われる努力、ムダな努力」にインタビューいただいた記事が掲載されました。 この号には、努力を結実させる「7つのセオリー」がまとめられています。 (1. 戦う場所を選ぶ、2. 価値観を変える、3. 短期戦より長期戦、4. 脳を喜ばせる、5. しくみ化する、6. 弱点に固執しない、7. 役割に徹する) どのセオリーも気になるものばかり&ALIFEの研究と関連付けて語ることができそうで、それを書きたい欲求に駆られますが、今回は、「7. 役割に

チームが成功するためには「無意識のバイアス」を取り除くことが大切

個体の進化から協調的な集団の進化へ。ALIFE研究を振り返ってみると、個体の形成や自己複製といった、生命の基本機能を人工的に作り出そうとする「個体」に焦点を当てた研究から個体同士の相互作用が集団として作り出す創発現象へ、そして振る舞いが異なる個体の集団がもたらす大きな力を実証する研究へと変化してきました。 個人からチームへ 私たちが生きる社会でも問題が複雑になるにつれて、個人ではなくチームによって解決されることが増えてきています。 たとえば、次の図は1980年から2015

「pingpong:動く地図」プロジェクトから10年

もう10年以上も前になりますが、2009年に「pingpong:動く地図」プロジェクトが始動しました。「動く地図」とは、人々が携帯端末で発信する言語情報をウェブを介してリアルタイムに取得し、地図と組み合わせることで「いま・ここ」で行われている行為を可視化するシステムです。 プロジェクト自体は3年程度で終了しましたが、情報技術を社会に実装することを目指したはじめての経験で、その後の研究など私の活動に対する姿勢や考え方に大きく影響した出来事でした。ALIFEの研究を行うきっかけ