舞台 「管理人 The Caretaker」 感想

こんにちは。みずきと申します。
今回は舞台「管理人 The Caretaker」、観劇の感想です。※原作は未読です。

先ずは「管理人」、無事完走おめでとうございます!!!兵庫公演のチケットを確保していたのですが、始まる直前までドキドキでした。とにかく良かった!以下、感想です。

①全体的な印象
「不思議の国のアリス」みたいでした。
あの童話の、子供の時に読んだら意味不明だったけど、大人になって読み返すと意味が分かる台詞が散見される感覚に近いものがあるなと思いながら観ていました。台詞に何重にも意味があるという点で。

この物語が終わった後の登場人物たちがどうしているかは分からないけど、それぞれ別々の場所にいたとしても、暖かい場所でクリスマスを迎えられているといいなと思います。特にデイヴィスが無理かもしれないけど…。

正直、1回目はこの作品の意図するところをあまり分からず観ていて、自分なりにストーリーや登場人物たちの言葉、行動に仮説を立てて臨んだ2回目の方がすっと頭に入ってきました。丸腰だとちょっと私にはこの物語の味わい方が掴めなかった~!!!予習大切!

②登場人物について
デイヴィス
この物語は彼がとある兄弟の元に転がり込んで(恐らく)追い出されるまでの物語だと思うのですが、完全にコミュニケーションにおける受信機能が故障している人物だったな…という印象でした。でも彼みたいな人は日常によくいるし、私自身も自分のことで切羽詰まって他人の話しまで受け止めきれない時もあるので、その欠点が妙にリアルだし、作中の彼への批判が耳に痛いなと感じています。

せっかくアストンがしてくれた独白も、彼は受け止めることが出来ない。むしろそこで聞いた「病院」という場所へ押し込められた過去を笑い、差別することしか出来ない。
「Care」は彼には無理なんですよね。
それが非常に悲しく感じました。
彼に人を理解する、理解したいという気持ちがあったら兄弟の架け橋になったりしたのかな?

ミック
彼がいなかったらこの舞台、めちゃめちゃ暗くてしんどかった気がする。そんな感じしません…?いかにも「弟」な無邪気で明るいポップな口調で喋りまくる。彼とデイヴィスの会話も大概成立していなかった気がしますが、ミックは意図的に受信機能を停止している感じ。ジャイアンだけど兄への心配や愛はあって、彼は「Care」出来るひとなんだなと。

アストン
言葉の受信も発信も通常稼働に見えて、実は過去の「治療」以来上手く物事が考えられなくなり悩んでいる。独白の内容も辛かったし、聡明だからこそ今の自分の状況を正確に把握出来てしまっているところも辛かった。でも彼には弟という「Caretaker」がいるから、ちょっと未来が見えます。一番救われてほしい人物でした。

書いていて思ったんですが、観ているときは会話劇として笑える場面もあって喜劇要素を感じていたけど、一人一人の人生として見たときにはこの物語、私にとっては悲劇なんだな…と。そこは受けとり手によって様々だと思いますが、終わり方もミヒャエル・エンデのネバーエンディングストーリーみたいな、それこそ「永遠に続く『管理人』」ぽさがあって、「は、果てしない…この堂々巡りいつ終われるの?いや希望の光が見えるような気もするけどね?!」となりました。

観ているときよりも観終わったあとに色んな思考が駆け巡る、不思議な舞台でした。取り敢えず何も考えずにご飯食べたい!!!以上、感想でした。