舞台 『キングダム』 感想
こんにちは。みずきと申します。
キングダム、身内がどうしても観たい!と言い出しリセールチケットを購入、観に行ったらまた私の方が感動し号泣し感想を書くに至っています。あと100回は同じことやりそうな予感が…。
以下、感想です。
※ネタバレを多分に含んでいます!未見の方はご回避を~!
①全体的な感想
演出が見事で、見せ方に感嘆しっぱなしでした。舞台装置、その動かし方、それぞれの役者さんの配置や殺陣の動きとか書き始めたらキリがなくて大変!
全部好きでした。そしてアクション、ストーリーどちらも最高で楽しかった~!!!欲を言えばWキャスト両方見たい。
②役者さんについて
・信(高野洸さん)
信ってほんとに剣術と勢い任せで生きてるし、荒っぽいし、ともすると「強いのは分かるけど粗野すぎて見てられん」みたいになりかねないと思うのですが、高野さんの信は不思議とそうならない魅力がありました。話し方や振る舞いが絶妙…!
色々なものを削ぎ落として演じられていた印象なのですが、それが信の人物としての淀みのなさと相まってとても素敵でした。純度で殴り、余計なことを忘れさせてくれる主人公~!このまま続編も観たいです(まだ今回の公演が終わってない)
・嬴政/漂(牧島輝さん)
嬴政と漂のお芝居の切り替えが滑らかで、何回も短いスパンで入れ替わられてたの圧巻でした。入れ替わりめちゃめちゃ多かったので!
嬴政としては、苦労してきた経験はあるのに泰然とした態度が誤解を生み、正論で言葉を尽くすけど伝わらない…という場面で信が出て来て突破口を開く流れが爽快で、そこに至るまでの嬴政の読めそうで読めない表情とか、敢えて感情を消したような話し方とか、そういうお芝居の積み重ねを見た上での信の助け船だったので、「彼には信が必要なんだな」と展開に説得力がありました。
逆に漂としての牧島さんは表情豊かで、常に目を輝かせて生きていて、自分の人生を全うして去って行ったんだな…と感じるお芝居でした。可愛らしさすら漂わせる漂で、信にもめちゃめちゃ優しい。だからラスト近くで信が気絶して、精神世界(なのかな?)で漂と話してると思ったら急に嬴政が出て来て怒鳴られるシーン、ちょっと信が可哀想でしたもん(笑)あんな優しい漂と話してて油断してるところに!みたいな。
でも最後の登場シーンでの雰囲気から、彼は「王の器」だったから、どのみち嬴政と同時に存在は出来ず、いつか死んだんじゃないか…とも感じました。強い忠誠心を人々から引き出す要素も多分に含んだ漂だなと。
映画版の吉沢亮さんしか見たことがないのですが、彼より特に普段は幼い漂で、だからこそ嬴政として軍を率いる姿の勇ましさや嬴政本人との違いがより強くなっていて、牧島さん版もとても好きです。
成蟜(鈴木大河さん)
彼の「死罪だ!」の声に全然力がなくて、この成蟜はある意味利用されただけの、ほんとに世間知らずのお坊ちゃんなんだなぁ…と解釈しました。映画版の本郷奏多さんはもっと狂った差別主義者で、歪んだ思想に溺れる野心家という印象でしたが、鈴木さんが表現された子どものような成蟜も「この感じだったら周囲に乗せられて聡明な兄を王宮から追い出すだろう」と納得出来る人物像で、信や嬴政の人並み外れた精神力や信念と鮮やかな対比になっていました。
紫夏(石川由依さん)
商人としてのちょっとズルくて愛嬌のある顔、子どもを守るために見せる愛情、意思もあって強いのにどこか儚くて石川さんのお芝居の魅力が全部詰まってました。
紫夏は「恩恵は全て次の者へ」というこの作品の大きなメッセージも背負っていますが、この部分私は本当に響いて、忘れられない言葉になりました。キングダムでもどんどん人が死んでいってしまうけど、恩恵を受けた人が下の世代を守って希望は繋がれていくんですよね。でも切ない…。だからしぶとく生き残ってくれてた壁、貂のシーンでは飛び上がって喜んじゃいましたもん(笑)やっぱりなるべく生きて!助かって!!!みんな戦ってばかりだから、なんとか幸福を享受するまで生きてて欲しいよ。そうやって戦っている過程こそが生き様であったとしても。
楊端和(美弥るりかさん)
圧倒的なカリスマ性があって、神秘的であると同時に残虐な行為も厭わないだろうと怯えさせる迫力が凄かったです。美弥さんの殺陣、本当に美しくて見惚れてたんですけどよく見ると「そんな不安定な体勢からそんな力強い一撃を?!」みたいなシーンがあって目を奪われてました。屈強な山の民もひれ伏さざるを得ない風格、末端で構わないので私もお仕えしたかった(?)
③最後に
今回は信と漂、嬴政と紫夏、王騎将軍と昭王
という軸があったので解像度が一気に上がって、より作品のテーマやメッセージを明確に感じることが出来たなと思います。とにかく惹き付けられる、観終わったあとに「すんごい面白かった!!!」って叫んでしまう、最高の舞台でした。観せてくれてありがとう!
(最後の最後に)
・帝国劇場
実は今回、あこがれの帝劇で初観劇でした。建て替えが決まっているし、建築物が大好きだしで一度見てみたかったんですが、ステンドグラスも仮面も紫色の客席も、本物がそこにあってとても嬉しかったです。「化粧室」とかの字体もレトロでお洒落で可愛くて、身内には帝劇に来る機会をくれたという意味でも感謝です。ありがと!(直接言いなさい)
ここまで長い文章にお付き合い頂き誠にありがとうございました!それでは!