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音楽を奏で続けた少年と、彼の歌によって彩られた人生たち「凪に溺れる/青羽悠」

歌の力はすごいと思う。
あの時、ふと流れてきた曲が、今の自分のことを歌っているようで。
まさにその時の自分を励ましてくれる内容だったなんてことが本当にあって。

この小説も、一人の少年が淡い恋の中でつくった1曲が、時を経て多くの人の心を動かすことになる。

ほんっとーに素敵な小説でした。


凪に溺れる / 青羽悠

ストーリー
二〇一九年、無名のアーティストが歌う『凪に溺れる』という曲が、突如ネット上で拡散され始めた。その曲は多くの人々を魅了するが、後日、公式サイトにて、ボーカルの霧野十太(じゅった)が一年前に亡くなったことが発表される。なぜ今になって『凪に溺れる』が注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか――。
 一人の天才音楽青年と、彼が作った歌を軸に、夢と現実との狭間で藻掻く六人を描いた著者渾身の青春小説。

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みんな夢や目標をもって、それを叶えるために頑張る。
だけど、それを頑張り続けられない人がほとんどで、途中で諦めてしまう。
だから、続けられる人のことを尊敬して、そして羨ましくも思う。

大きな流れの中で、誰もが何かを諦める。それを大人になるとか言い換えて、のうのうと生きている。そんなもんだ。
・・・・・そんなもんだけど。
自分は諦めたことを誇りたくない。一生、生傷として抱えていたいのだ。納得なんかしてたまるか。この痛みを痛みとして引き受けられないのなら、本当にくだらない人間になってしまう。

ギター正博の言葉 the noise of tide 最後のライブ


でも、このストーリーで伝えたいことはきっと
「ただ続けること」
「誰でも不安を抱えているけれど、それでも、ただやるだけ」
「何者かになることが正解なわけじゃない」ってこと。

いつも十太は遠くを見ていた。自分とは別の人種だと、正博は思い込んでいた。でも違った。十太も迷っていたのか。十太が一番、迷っていたのか。
(中略)
こいつも流れに吞まれていた。それでも耐えて、十太はその場に立っていた。周りが流される間、ずっと一人で。

普段は飄々としている十太が、酔っ払って正博に弱音を吐いた
その弱音を聞いて、正博は初めて、十太の本音を知る

十太の曲を想像するんだけど、なかなかメロディまでは出てこない。
誰かに歌ってほしくもあり、想像のままでいてほしくもあり・・・。



私が励まされた、大好きな1曲。
何かひとつ feat. JAY'ED & 若旦那 / JAMOSA

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