文字と紙に囲まれる 「市谷の杜 本と活字館」に行ってきました
AmazonやKindleのおかげで、気軽に便利に本が読めるようになる一方、地方の本屋は閉店を余儀なくされ、情報はどんどんとデータ化されるこの現代で、本や文字という、不便で場所を取るものに、なぜか惹かれてしまいます。
大日本印刷が運営する文化施設「市谷の杜 本と活字館」に行ってきました。
この「市谷の杜 本と活字館」は、日本を代表する総合印刷会社である大日本印刷の前身である「秀英舎」を修復、復元した建物で、活版印刷の工場を再現されています。
館内では、印刷に使う活字の作り方が細かく解説され、印刷や製本までの過程も展示されています。
現代では、パソコンに文字を入力して、印刷ボタンを押したら、すぐに印刷された紙が出てくるけれど、元々の印刷技術は、文字をつくるところから、全て人の手で行われていたことを実感することができました。
新聞や本といった印刷物が人の手に渡るには、物凄く多くの人の、丁寧で細かな仕事が積み重なっていたんですね。
そして、今は「ようこそ魅惑の書籍用紙の世界」という企画展が行われています。
流通している書籍に使われている61種類の印刷用紙が展示されていて、手で触って、質感を確かめることができます。
写真集などに使われるツルっとした素材のものや、色褪せしにくい保存性の高いもの、目に優しい白色など、日頃何気なく触れている紙に、こんなにも違いがあったのかと驚きます。
しかも、その61種類の紙を持ち帰れるんです!!
なんて素敵なイベントなんでしょう。
指先で紙を触ることによって、私たちは、質感や温度を感じ取ることができますよね。
人間の皮膚には、いくつかのセンサーが埋め込まれていて、特に指先には豊富です。ポケットに手を入れて、入っているものに触れるだけで、それが何かというのはある程度予想がつきますよね。
中でもメルケル盤と呼ばれるセンサーは、触れたものの形や質感を感じ取っています。柔らかいのか硬いのか、どんな形をしているのか。
センサーで受け取った情報が脳へ伝わり、私たちは、それが、どのような物体なのかを理解します。つまり、手で触れることにより、脳の特定の部位は、活発にはたらきます。
だから、自分の手の中で、ページをめくりながら読む本というのは、スマホやパソコンといったデータとしての読み物とは、感じ方が異なるんだと思います。
実際に、紙の本で読んだ方が、内容が、より記憶に残りやすいという実験結果もあるようです。
私は、スマホやパソコンで読むと目が痛くなってしまうし、何より、紙の本が好きですね。
スタッフの方の対応も素敵でした。
館内に入るとすぐに「こちらでご案内いたします」と声をかけてくれて、展示でわからないことがあったので質問したら、とても丁寧にお答え下さいました。
穏やかで優しくて、控え目なんだけれど、活字や本が好きなんだろうなというのが伝わってくる、そんな対応をしていただきました。
みなさん、ありがとうございました。
書籍用紙のイベントは、来年の2月まで行っているようです。
気になった方はぜひ。
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