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上京時の状況

上京して10年以上経った。

僕は2014年の3月に上京しました。

本当はその前の月の2月に上京するつもりで、家も2月から契約していたが、いざ本当に上京するとなると少し寂しくもなり、出発が1ヶ月も遅れた。
もちろん家賃は払ってたので、無駄な出費ではあった。

当時は一人でライブ活動などを行うつもりはさらさらなく、音楽勉強のために東京という場所を選んだだけだった。

周りの人にもほとんど言わずに上京した。

上京した日の夜に友達から電話があって飯に誘われたので、

「ごめん東京おる」

「あっ、そうなん?旅行?」

「いや、今日引っ越したんよ。」

「は?いや、そういうとこミズケンらしいわ。」

って言われました。

別に隠してるわけでも嘘ついてるわけでもなく、昔から自分のことを自分から言うのが苦手なだけなんです。

上京して半年くらいはこういうやりとりを色んな方としたなぁ。改めて、失礼しました。

引越し業者さんに頼んだ荷物は、アコギ2本と鍵盤、パソコンとスピーカー、あとは衣類だけ。それと別に自転車を送った。
福岡から東京への引越しでしたが、そんなに費用はかかりませんでした。

それ以外の生活に必要なものは全部現地で。

早速初日から後悔しました。

東京に着いて、まずは不動産へ。
そこで色々手続きをしてから家に向かいました。

新築ではないが新しい匂い。

荷物は翌日に届く予定だったので、家には何にもない。
クローゼットと水周りの電気しかつかない状態でして、とりあえず部屋の電気を付けたいので、近所のドンキで電気を買う。

初めてのLEDだった。

なので、本体だけで灯りが付くというのも知らずに、危うく蛍光灯も買う所だった。

部屋に戻り早速取り付けようと思うが、そこで大事なことに気づく。

届かない。

195cmある僕の高身長をもっても届かない。

膝から崩れ落ちて、拳を床に叩きつけながら号泣する。

明日になれば鍵盤の椅子が届くので、それまで設置は諦めることにした。どちらにしてもカーテンもないので、電気を付けたら丸見えで恥ずかしい。

電気を諦めた僕はもっと大事なことに気づく。

布団がない。

3月なのでまだまだ寒く、床で寝るのはしんどすぎた。クローゼットの中で寝ようと頑張ったが、やはり寒過ぎて眠れない。

結局、部屋で寝ることも諦めて、二駅先の駅前のホテルに泊まることにした。

ホテルにチェックインしてから全く馴染みのない町を歩く。適当に見つけたつけ麺屋で、夜飯を食べる。食べてるときに冒頭の友達からの電話があった。

ホテルに戻ってシャワーを浴びてから、すぐ眠りについた。めちゃくちゃ疲れてたと思う。

翌日は午前中に自分の家に戻り、荷物が届くのをひたすら待った。

荷物が届いてから、真っ先にキーボードケースを開けて、中に入ってる折りたたみ椅子を取り出し、見事電気の設置に成功。

しかし、まだカーテンがない。

カーテンもその辺のドンキや大型スーパーで買えないわけではないが、さすがにゆっくり選びたかったので、その日はダンボールを家の窓中に取り付けた。

ちなみに布団もまだなかったが、パソコンを梱包してる箱に毛布を入れていたので、布団を買うまではその毛布にくるまって、床で寝ていた。


それから数日が経ち、着々と家のものが揃っていた。とくにオシャレではないので、こだわりの部屋とかではないが、それでも部屋らしくなっていくのは嬉しかった。出費は重なったが。

色々落ち着いてから、外食ばかりではお金がかかるので、出来るだけ自炊しようと思い、料理の「さしすせそ」の「さしせそ」を買いに近所のスーパーへチャリンコに乗って行った。お酢を使うほど、料理好きでもないので一旦保留したが、最近はミツカンのかんたん酢を使ったりする。あれは文字通りめちゃくちゃ簡単。

何を買ったかまでは覚えてないけど、「さしせそ」だけではなく、他にも大量に買った。多分2袋分くらいがどちらもパンパンだった。

カゴがないクロスバイクだったので、両手に持ちながらハンドルを握った。

ゆっくりゆっくり自転車で走った。

そんな状態で、近所の踏切に入ったときだった。

カンカンカンカン、、、

遮断機が閉まる音が鳴り出した。

テンパる俺。

両手にはパンパンの袋。

ペダルを漕ぐ足にグッと力が入る。

少しバランスを崩す。

片方の袋が前輪に巻き込まれる。

中から大量の塩がこぼれる。

今にも閉まりそうな遮断機。

自転車を降りて、押しながら慌てて引き返す。

通り過ぎていく電車。

大量に散らかった塩をかき集める。

でもさすがにもって帰れないし、まあ塩だから端によせて置けばそのうち雨で流れるだろうと思い、踏切の手前の隅っこに集める。

踏切の隅に盛り塩。

一瞬にして、いわくつきの踏切へと変わってしまった。

見上げると空は綺麗に茜色に染まっており、あまりにも綺麗な夕日を見て、僕は一粒の涙をすぅーっと流したのだった。(嘘)

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