自己成就的予言と自己可能性の否定
自己成就的予言とか自己実現的予言などと呼ばれるものがある。
端的に言えば現実と乖離していても自分がこうだと思いこみ続けると、
それが言動に反映され実際に現実に起こるというものです。
例えば、本来ならあることを達成できるだけの能力があるのに、
自分にはないと思い込み続けて能力を発揮しきれず、
結果もついてこないみたいなことがあり得る。
もちろん逆もあり得る、現時点では能力が足りなかったとしても、
できると思い込み行動し続けることで変化成長していき、
現実に結果を出していけるようになるみたいなことがあります。
人間は意志を持つ動物であり自分でまず方向性を定めることで、
現時点がどのようなものであっても定めた方向性に従い、
良くも悪くも結果に向かっていってしまう性質を持つのでしょう。
とは言うもののいくら思い込んでも自分が変化成長している感覚がない、
結果なんかついてこないしむしろ結果を意識すればするほど、
能力が制限されているような感じがする場合もあるのではないかと思う。
自己成就的予言に向いている人と向いてない人がいるのではと思う、
向いている人は良くも悪くも思い込んで結果に突っ走っていけますが、
できない人はいくら思い込んでもできないのだと思うのですね。
で、そういう時は個人的に自己可能性の否定と呼ばれるものを、
うまく活用していけばよいのではないかと考えています。
自己可能性の否定とは自己成就的予言とは真逆の性質を持つ、
自分がこうだと思い込んだ可能性は実現から遠のくというもの。
楽観的に考えて行動してみても全然そうならない、
むしろ遠ざかっていくような感じを覚えるのは、
この自己可能性の否定が働いているからだと考える。
それは結果を求めることに対してはあまり良い働きをもたらさない、
しかしリスクを避けるという点においては大いに役に立つ。
こうしたら、ああしたら最悪の結果になってしまうのではないか?
そうやって起こりうる最悪を想定し続けることによって、
現実にそういう結果につながる言動を取らなくなっていく。
結果、想定した可能性が現実から遠ざかっていくこととなる、
自己成就的予言と同じく良くも悪くもです。
自己成就的予言にしろ自己可能性の否定にしろその本質は想像力、
シミュレートによる無意識への可能性の蓄積だと考える。
人間は現実をありのまま認識しているわけではない、
五感等を通じて得た情報を脳が処理してイメージを形作り、
それを現実であると認識しているに過ぎない。
想像と現実の違いを人間は厳密に区別することができない、
イメージトレーニングが実際に効果を発揮するのは、
このような脳による認識のメカニズム故のことでしょう。
自己成就的予言も自己可能性の否定も本質的には同じことだと考える、
イメージの蓄積が現実とある程度であれ重なることでそこに向かっていく。
違うのは方向性、そこに至る道程。
自己成就的予言が1つのイメージに集中し一直線に向かっていくことなら、
自己可能性の否定はあらゆるイメージの中から最善を掴むための試行錯誤。
どちらが良いということはない、先にお話したようにどちらにも、
良い面があり悪い面があるだけのこと。
ただ、人によってどちらが向いているかが違うというだけです。
結果に対するイメージが強く迷いなく信じられるような人であれば、
自己成就的予言は大きな効果を発揮するでしょう。
逆に特定のイメージに対してうまく集中できないけれど、
あらゆる可能性が頭を巡り続けるような人であれば、
自己可能性の否定によって安定した歩みが可能となる。
そして、両者は相互補完的な性質を持つことも覚えておくと良いでしょう。
自己成就的予言は良く言えば迷いのない強い意志の発露ですが、
悪くい言えば猪突猛進になりがちで周囲を省みるのが難しい。
結果だけに集中し過ぎて周りを置いてけぼりにして孤立してしまったり、
自分の正しさに固執し過ぎて周囲とうまく関係を構築できなかったり、
悪い予兆を見逃して大惨事が起こるまで事態を悪化させたりがあり得る。
自己可能性の否定は良く言えば慎重で堅実な歩み方ですが、
悪く言えば臆病になりがち、余計な心配で停滞しがちになる。
悪いイメージばかりに支配されてそもそも行動に移れなかったり、
勢いよくいくことが求められる場面でブレーキを踏んでしまったり、
周囲の人をマイナスのイメージに巻き込んで意欲を削いだりがあり得ます。
どちらもそれだけだと負の側面が顔を出した時マイナスの影響が出やすい、
ですが両者がバランス良く互いを補完し合うようになると、
相乗効果で大きな結果を出しやすくなっていく。
きちんと周りを見ながら結果に向かって力強く進んでいけるようになる、
それを個人で行えるならそれで良いですしできないのであれば、
自分とは違うタイプの人と一緒に何かを目指すことも大事でしょう。
と、色々お話してきましたが自己成就的予言と自己可能性の否定、
自分が何かを目指す時にどちらを活用するタイプであるか、
どちらをよりうまく活用できるタイプであるか。
これはきちんと把握しておくと良いと思う。
把握し良い面と悪い面をきちんと理解したうえでそれを補う何か、
あるいは誰かを探していくことも意識してみると、
より多くのことを成せるようになっていく。
なので、ぜひ意識してみてもらえればと思います。
では、今回はここまでです。
ありがとうございました。