限界値を上げるうえで大事なこと
前の記事で限界に対する考え方や限界値の上げ方について、
ハイキューという漫画を絡めて少しお話した。
ここでは限界値の上げ方について深掘りしてお話してみようと思う。
と言うのも、人間の限界値って少し複雑な構造をしていて、
ただ訓練等を通じてできなかったことができるようになると、
それに応じて限界値が上がるという単純なものでもないと考えるから。
まず前提として人間の限界、つまり現状で出せる最高のパフォーマンスは、
基本的に波があり一定のものではないということを把握するのが大事。
なぜ波があるかと言えば人間には2つの思考傾向があり、
それらが常に別々の考え方をしながら時に衝突したり、
反発したり矛盾した思考や言動を生み出そうとするからです。
もう少し具体的に言うと大きく意識と無意識の2つの思考傾向があり、
意識は基本的により良い未来やより高みを目指したいと考える、
逆に無意識は現状や安定、安全を維持したいという思考傾向がある。
そのため人間は意識の影響力がきちんと働いている時と、
無意識に流されて思考や行動しているような時では基本的に、
思考の方向性や行動原理が変わるのです。
もちろん、こういう方向性の違いなども訓練などである程度は制御できる、
意識と無意識の方向性をきちんと合わせていくこともできます。
しかし、もしこれまでに2つの思考傾向があるというような考え方を、
日常的に取り入れてこなかったのであれば、
大抵の場合に両者によるブレ、揺らぎ、波があると考えてよいでしょう。
意識優勢で良い状態を目指したいと考えている時はしっかり物事を考え、
やるべきことに全力を注げるので限界に近い万全の力を発揮できる、
時に限界を越えた力を出してより良く変化成長することもできる。
つまり限界まで能力を発揮でき時に限界値を上げられる。
だけど無意識が優勢になっている時は思考や行動が停滞に傾き、
能動的な思考も停滞的な傾向に引っ張られそれを正当化したりする。
で、自分が停滞してても周囲の人、環境、物事は動き続けるので、
停滞は大抵の場合、相対的に自身のパフォーマンスを下げます。
故に、結果として限界値が下がったような状況になる。
この意識的な思考優勢で常に限界を捉え越えていこうとする時を上限値、
無意識優勢で停滞し相対的に限界値が下がった時を下限値と呼んでいます。
人間の限界値を考える時は上限値と下限値、両者の間を行き来する、
人間特有の限界の波を捉えたうえで考えないといけない。
具体的に何を考えればいいかですがまず限界値を上げるうえで大事なのは、
上限値を上げることではなく上限値と下限値の幅を小さくすること。
繰り返しになりますが人間は基本的にパフォーマンスに波がある、
例えばやる気もパフォーマンスに影響する要素の1つですが、
やる気にもその時々の自身の思考傾向により波が生まれます。
で、波というのは下がったら同じ地点に戻るまで上がらないといけない、
下がった地点から上限値をより上げていこうとするのであれば、
まず前回と同じ地点、ゼロにまで戻さないといけないわけです。
となると当然、下がり幅が大きければ大きいほどそれをゼロに戻すまでに、
余計に時間や労力、エネルギーを必要とする、ロスするということになる。
言い換えれば上限値と下限値の幅が大きくなればなるほど限界値を維持、
時に上げるためのエネルギーや資源をより多く必要とするということ。
人間個人のエネルギーや資源、時間等には限界がありますから、
それだけ上げられる限界値に制限がかかってしまうということです。
故に個々人の性質にいくらか左右されるところもありますが、
基本的には上限値と下限値の揺らぎの幅をできるだけ小さくする、
安定した状態を維持できるようになれるのが大事になる。
限界を出す、超えるというと何かをより良くできるようになるとか、
より激しい心の動きを生み出すのが大事だと考えてしまいやすいですが、
それらが必要になるのは自分が安定して限界を出せるようになってから。
まずこのことは意識しておくと良いと思う。
そしてもう1つ、人間は常にゼロ地点を更新する生き物であり、
基本的に上がったゼロ地点は下がらないということは、
きちんと意識しておくと良いでしょう。
どういうことかと言いますと人間はある基準に慣れる性質がある、
仮にやる気の上限値が10だった時から20に上がり、
20をある程度安定して維持できるようになったとする。
そうすると、それまで10のやる気を出せるのが当たり前だった、
この当たり前という感覚をゼロ地点と呼んでいるのですが、
このゼロ地点が今度は20になる、20が当たり前になるのです。
20が当たり前になると当然ですが20より下はゼロ地点より下、下限値、
ようは当たり前より悪い状態だと主に無意識が認識するようになります。
それは基本的に負荷となりストレスや感情の乱れの元となる、
下限値が下がれば下がるほどにその負荷は大きくなっていく。
結果、ストレス等も莫大なものになっていき時にゼロ地点まで戻すのが、
極めて難しいような状態に陥ることになる。
最悪の場合、ストレス等の解消のために酒やタバコ、過度な異性遊びなど、
心身に悪影響を及ぼすものにはまりゼロ地点まで戻れない。
先にお話したようにゼロ地点より下は当たり前より下という認識になる、
故に自分自身に対して常に負の感情を抱きやすくなるため、
さらに精神や思考傾向がすさみ悪化していく。
それがさらに下限値を下げ続けるという悪循環に陥ることになります。
そのため、先に話したように下限値と上限値の幅を小さくしておくことで、
ゼロ地点からなるべく遠ざからないことが余計に大事になる。
後は、下限値に至った時にどのように立て直していくのか、
心身の安定を保つ術をいくつか身につけておくことも大事でしょう。
最悪な状況にこそ人の本領が見られるとよく言われるように、
負荷ある状況に直面した時にいかに乗り越えるかにかかっている。
それは確かであると思います。
色々お話してきましたが限界値を上げることを考えるうえで、
上限値と下限値の波があるということ。
波の幅を安定させること、ゼロ地点以下の下限値が下がり過ぎないよう、
負荷に直面した時の対応法をあらかじめ考え実行し身につけておくこと。
これは頭の片隅にでも置いてその時々の判断等の基準に適応してみると、
比較的スムーズに自分の限界を越えられる、できることなどが増えていく。
それだけ成せることも増えていくようになると思うので、
意識してみてもらえればと思います。
では、今回はここまでです。
ありがとうございました。
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