キャリア的視点185 伝統的なキャリアとニューキャリア論② -プロティアンキャリア-
毎日ブログ 185日目(2020/8/31)
プロティアンキャリア
昨日、「伝統的なキャリアとニューキャリア論①」としてバウンダリレスキャリアに関する記事を書きました。
今日はその第2弾としてプロティアン・キャリアに関して書いていこうと思います。
バウンダリレスキャリアとプロティアンキャリアの二つを総称してニューキャリア理論だとは昨日書かせていただきましたが、これらはこれまでのキャリア理論=「オールドキャリア理論(ニューキャリア理論に対する仮称)」に対するアンチテーゼとして提唱されてきました。
しかしアンチテーゼとは言え、別にオールドキャリア理論を否定している訳ではありません。あくまでもオールドキャリア理論ではカバーしきれない部分を補完するのです。
その補完している部分が新しいのです。
オールドキャリア理論では基本的には1方向へのルートしかないのですが、ニューキャリア理論では、特にバウンダリレスキャリアは昇進に限らず縦横斜め全方向に加え、転職も含めての境界など無視して移動をします。個人の成功や目的は主観的なものに宿り、個人的な必要があれば降格すらも自由です。
同じニューキャリア理論のプロティアンキャリアは変幻自在なキャリアと言い、副業・複業などのパラレルキャリアも含む理論です。個人の心理的成功に主眼を置いています。この後もう少し詳しく書きますね^^
組織 → 個人
オールドキャリア理論とは簡単に言えば「組織内キャリア形成」です。
会社をはじめとする様々な組織の中で、昇進という「上下移動」をキャリアと呼び、日本では「日本型雇用制度」とも相まって、例えば「転職は害悪」とまでされてきたのです。
組織を主として、個人はその組織にキャリア形成を任せてしまっていたのです。このために日本では「個人のキャリア」という概念が非常に薄く、個人個人も自分のキャリアに対する関心が薄いまま現在に至っています。
それに対してニューキャリア理論のひとつ、プロティアンキャリアでは主役は個人です。組織という土壌で自分なりの大樹に育ち、花を咲かせ実を結ぶのです。
そして必要であれば他の場に移り、別の花を咲かせるも良し、建材として別の場で建築物として活きるも良し、なのです。
プロティアンキャリアではその他にもパラレルキャリアと言って、複業&副業も含まれます。
個人の心理的成功というキーワードの基に、オールドキャリア理論では唯一絶対だった昇進以外の道を提唱しています。
要するにキャリアの主体が組織から個人に移行すると言うこと。キャリアオーナーシップを個人に移行する事です。
変幻自在と言っても何でもよい訳でもなく、個人の自律の中心ともなるアイデンティティと、時代や環境の変化に適宜に適合するアダプタビリティによって、自ら道を選択して行くことが大切なのです。
進化を続ける
そもそもプロティアンキャリアの名前の由来は、ギリシャ神話に出てくる「変幻自在の神プロテウス」から名付けられています。プロティアンキャリアの提唱者、ダグラス・T・ホール教授の命名です。
そのプロティアンキャリアは、日本の法政大学の田中研之輔先生(通称タナケン先生)によって進化しています。キャリアの理論にこれまでなかった「資本」の概念を持ちこんだのです。→ 書籍:プロティアンキャリア
企業の経営学などに出てくる「資本」を個人に当てはめ「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」を総称して「キャリア資本」としています。
私も会社の経営と個人の成長は別物の様に見えていても共通項が多いと感じていました。
例えば企業で言うところの「経営理念」は個人で言えば「目的設定」に該当します。自分の強み・弱み・チャンス・ピンチなどを知るSWOT分析なども、CSRなどの社会的責任も… 数えだしたらきりがありませんね。
私個人はオールドキャリア理論の中にも好きな理論も多くあるのです。が、昨日も書いたように、私は昇進だけに価値観を捉える日本のキャリア概念には閉塞感を感じていました。当時はまだキャリアを学び始める前でしたが、正直閉塞感に耐えられずに転職も何度もしています。
それだけにタナケン先生のプロティアンキャリアに出会った時はショックでした。
プロティアンキャリアは2002年にアメリカで、先述のダグラス・T・ホール教授によって提唱されています。今から18年も前の話です。ニューキャリア理論と言われるプロティアンキャリアもバウンダリレスキャリアも2000年代初頭には提唱されているのに、日本はやっとその時代に追いつき始めたのです。
日本のキャリアは少なくとも18年は遅れています。国際社会で戦うのであれば遅れている事を認識して、意識して、少しだけ時間をかけて追いつきましょう。
プロティアンキャリアを学ぶ
人はこれまでの経験の中で様々なスキルを学んでいます。資格や免許だけでなく、人付き合いなども広い意味で資本と呼びます。
ビジネス資本
… スキル・語学・プログラミング・資格・学歴・職歴などの資本
社会関係資本
… 職場、友人、地域などでの持続的なネットワークによる資本
経済資本
… 金銭、資産、財産、株式、不動産などの経済的な資本
これらを冷静に、具体的に洗い直すのです。これで自分を知る事ができます。漠然とではなく、個々の単元として知ることができるようになります。何か困ったことがあっても「あのスキルを使えば良い」と気づき易くなることはおおきなアドバンテージに繋がると思いませんか?
そして自分の目的「個人の心理的成功」が何かを捉えた時、何が足りないかを考え、足りないものを補完する方法を考えるのです。例えばそれが社会関係資本であれば、どんな人と出会いたいのか、そのためにはどこに行けばよいのか、その人と交友を気づくためには自分はどうなっているべきなのか。
これはまさに目標達成のプロセスです。自分の現状を知り、目的を定め、GAPを埋めるのです。
戦略的にキャリアを求めることで「個人の心理的成功」を勝ち得るのです。
これを読んでくださっているあなたにとって、どんな展開が理想なのかはわかりませんが、経済的に疲弊し、終身雇用制度や年功序列賃金などの日本型雇用システムが崩れ始めたこれからの時代を生きるためには、オールドキャリア理論のままでは先が見えてしまっていると思いませんか?
自分自身が望む未来を勝ち得る為に今できる事。その一つは自分のキャリアは自分で管理・開発していくという自覚を持つことです。
皆さん一人一人が自分に合った方法で、80歳になった時にも元気にやりたいことを愉しめるようになるための支援を、プロティアンキャリアを学ぶキャリアコンサルタントは行っていますよ^^
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