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『エジプト人シヌヘ』をより楽しむために①大ざっぱな古代エジプトの歴史
みずいろブックスの歩みも書いていきたいのですが、取り急ぎ取り上げたいトピックを先に。
2024年4月に完成した長編小説の邦訳『エジプト人シヌヘ』は古代エジプト文明、なかでも新王朝時代を舞台とした小説です。「え?新王朝時代って何?なんのこと?」というほんの数年前の私のような方、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
小説自体は歴史的知識がなくても楽しめる要素は盛りだくさんなのですが、エジプトに関する知識があるとより楽しめそうという方へ、古代エジプトについてざっくばらんに紹介したいと思います。
私自身も先ほど申したように特別エジプトに詳しいわけではなく、子どもの頃にTV番組「世界・ふしぎ発見!」を見ては「ピラミッドすご〜い!ファラオの謎って何〜!ミイラひぇ〜!世界の七不思議ってわくわくする〜!」と人並みに楽しんでいた程度の人間です。
今回セルボ貴子さんと本作に取り組むにあたり、エジプト関連の文献を複数読みましたので、小説を読む助けになるような部分を簡単にご紹介していきます。
※もっと本格的にエジプトについて知りたい方は、今後文献リストをアップしますので、そちらの本を参考にしていただくといいかもしれません。
ー時代の流れー
古代エジプトの歴史はざっと以下の通り。
◯初期王朝時代(紀元前3000〜前2680年頃)
◯古王国時代(前2680〜前2145年頃)←ピラミッドが建設される
◯第一中間期
◯中王国時代(前2025〜前1794年頃)
◯第二中間期(前1794〜前1550年頃)←アジア人が自らを「ヒクソス(異国の支配者)」と称し、エジプトを支配。この時代の終わり頃に王権がエジプトに戻る。
◯新王朝時代(前1550〜前1070年頃)←『エジプト人シヌヘ』の舞台はココ!
その後は第三中間期、末期王朝時代、マケドニア時代(アレクサンドロス大王)、プトレマイオス朝(クレオパトラ7世)と続きます。
では小説の舞台となる《新王朝時代》をもう少し詳しく見ていきましょう。
新王朝時代は第18王朝から始まります。
古代エジプトの全盛期ともいえるこの時代はファラオ(エジプトの王)もいっぱい登場。
最初の4人(①イアフメス、②アメンへテプ一世、③トトメス一世、④トトメス二世)は名前だけにしまして…
⑤ハトシェプスト(前1470年頃)女王
⑥トトメス3世
⑦アメンへテプ2世
⑧トトメス4世←小説の一章で兵士インテブがこの時代に触れています。
⑨アメンへテプ3世(前1370年頃)←物語はここからスタート!
⑩アクエンアテン(前1350年頃)←宗教改革!下巻で盛り上がります。
⑪ツタンカーメン
⑫アイ
⑬ホルエムヘブ
ー小説の舞台はここまで。この辺りの激動っぷりをぜひ下巻で楽しんでいただきたいです。
これ以降は第19王朝となりファラオの歴史も続きますが、小説には出てこないので割愛いたします。
まずは時代の流れでした。
少しでも助けになりましたら幸いです。
🍀
この記事を書くにあたって『古代エジプト解剖図鑑』近藤二郎著(株式会社エクスナレッジ発行)を参考にさせていただきました。
本書の中では図で紹介されていますので、よりわかりやすいです。気になる方はぜひ見てみてください。