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結婚前の同棲でしか見えてこないものがある

僕は付き合って1年半で結婚を決めた。理由は色々あるが、1年ほど同棲していてこの生活が続くとイメージできたことも大きい。

正確には半同棲といったほうがよいかもしれない。元々僕の住んでいた一人暮らしの賃貸にみずいろさん(妻)がよく泊まりに来ていて、最初は土日くらいだったが、いつの間にか月の半分くらいは一緒に住むようになった。都内1Kの部屋によく2人で住めたものだと今でも思う。

そんな半同棲生活をして結婚に至ったので、個人的には結婚を考えているカップルは事前に同棲することをオススメする。オススメというか、よっぽど事情がない限りは同棲したほうがいい。最低でも半年くらい。

まず、同棲すると相手の本性が見える。付き合っていたときは優しいし気が利いたのに、結婚したら何もしない、下手すればDV野郎だった、みたいな話はありがちだ。

どれくらいの期間があればそういった本性を暴けるだろうか。1日デートくらいだと余裕で優しいフリができる。2、3日の旅行やお泊りデートでもまだイケる。だが半年も一緒に住んで本性を表さないのは難しいだろう。少なくとも「ん?」と思う状況に何度か遭遇できる。結婚前にその違和感を認識できたなら、わざわざ半年も同棲するメリットもあったと言えよう。

”本性”みたいに大げさでなくても、一緒に生活しているとどうにも我慢できない些細なことが発生する。味の好みの違い、トイレのフタを閉めない、足音がうるさい、部屋を片付けない、などなど。気にならない人は全く気にならないし、厄介なことに、自分が気になる人かすら気づいていないこともある。

同棲せずとも気付けるかもしれないが、「足音がうるさいなんて、しょうもないことだし我慢できるだろう」と甘く見てしまう。そんな些細ことでも、いや些細だからこそ相手に言いづらいし、相手も習慣として染み付いているのでなかなか改善できない。そんな状態が自分の生活空間で半年も続けば、それはもう日常生活を脅かす重大なストレスだ。

逆に、「我慢できないと思っていたけど意外と我慢できるな」ということもある。僕は元々一人が好きで、誰かと一緒に生活するのは無理だと思っていた。彼女は作れても結婚はしないだろうと考えていた。だが、妻のように性格や生活習慣が近い人であれば、案外ストレスなく生活できることに同棲して気付けた。「片付けない人絶対無理!と思ってたけどなんか慣れたわ」ということもあるかもしれない。どれが我慢できて、どれが我慢できないのかは実際に体験してみるまで分からない。

ところで、僕はITエンジニアなわけだが、開発に何年もかかる大きなシステムを作るとき、まずは2、3ヶ月でそのシステムのプロトタイプを作ることがある。noteみたいなブログサービスを作ろうとしたら、最初はデザインやオススメのアルゴリズムなんかは作らず、記事を投稿して閲覧できるだけのシンプルなプロトタイプを作る。建築で言うと、建物を建てる前にミニチュアの模型を作るのに似ている。

設計書の前でああだこうだ言うより小さいながらも実物を作ってしまったほうが問題点が見えてくる。もしそのお試し版に致命的な欠陥があって開発が中止になってしまっても、最初から大きなシステムを作って数年も失うよりはかなりマシだ。

つまり、同棲は結婚のプロトタイプというわけだ。数十年の結婚生活のためにお試しで半年同棲するのは悪い選択肢だとは思わない。2人の通勤にちょうどよい家を見つけたり、引っ越したり、家具を揃えたりと、結婚するとも限らないのに準備するのは確かに面倒だ。「こんなに愛してるし相性も良いんだから同棲なしで結婚しても問題ない!」と思いたい気持ちも分かる(いや、正直分からないが)。だが、想像だけでなく実際に経験しないと見えてこないものは確かにあるのだ。


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