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『ペッパーズ・ ゴースト』

伊坂さん(の作品)と出会ったのは『ラッシュライフ』。その後、小説まだまだいけるじゃん事件とかなんとかを経て売れっ子作家になった伊坂さん。自分と同世代に、リアルタイムですごい作品を書いてくれる作家がいるというのがものすごく嬉しくて「村上春樹の時代には産まれなかったけど、私たちの時代には伊坂幸太郎がいる」なんてな事を思っていました。本屋大賞を絶対作りたいと思った理由も、実のところ伊坂さんに自分たちの力ですごい賞をあげたい、というところにあります。

そんなわけで、2000年代中盤~後半の新入社員の好きな作家枠に”伊坂幸太郎”と書いてあるのを見るとなんとなくくすぐったい気持ちになったものです。それが、最近の新卒面接では「伊坂幸太郎という作家がいましてね。知ってますか?」みたいな言い方する若者がいて、これが老化という事なのか大きなショックを受けました。伊坂さんの20年記念作品なんですって、これ。そりゃあ年もとるわ。

伊坂作品だけは全部読む、と決めているので店頭に並んだタイミングで即購入し翌日までに一気に読み切りました。止めようと思っていたってなかなか止められるものじゃない作品です。

時期的にもコロナ禍下に絡んでいるので、この非現実っぽい現実をどう料理しているのだろうというのも興味の一つでした。”感染”というテーマを伊坂さんっぽく仕上げているので、ここをぜひ見て欲しい。というか主題だから誰でも気づくんだけど… 数年経ったときに、コロナ禍中に伊坂幸太郎が書いた作品だったというキャッチを忘れずにつけておいて欲しいです(要望)

今回ビックリしたもう一つのポイントは「犬じゃないんだ」ってところですかね。ネゴジゴはネコの飼い主にとってはまさに最低最悪のヴィランでした。

緑内障や脂肪肝を気にする登場人物たちには、伊坂さん自らの経験が反映されているそうです。そりゃあ、こちらも年取るわけだ…と思いながらも、健康に気をつけて、次から次へと面白い作品を送り出し続けてくださいね、伊坂さん。

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