これから出る本 2024年8月
HONZが終わってしまいました。ノンフィクションという、自分に縁のなかったジャンルについて、その面白さ、裏に広がる世界の広さに出会わせてもらった貴重な時間でした。
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出版業界、特に文字モノは苦しさを増していて、書くのに時間もお金もかかるのに刷れない・売れないというのは良く聞く話です。せめて出版されるからには少しでも多くの人に情報を届けたいということで、こちらに引っ越してほそぼそとこれから出る本の紹介を続けていきたいと思います。
来月はいろんなものを科学する本が登場します。
「愛とは何か」を科学する: 人が人を愛するとき、脳と心で何が起きているのか? 単行本 – 2024/8/17
ローン・フランク (著), 枇谷 玲子 (翻訳)
夫をガンで亡くしたことをきっかけに、上手に人を愛せるようになるために「愛」の探求を始めた著者。愛こそが人間であることの特徴なのか?果たして愛とはなんなのか。子ども時代の親との愛着関係が大人になっての恋愛関係に影響するのか、運命の相手は存在するのか?
などなど愛や恋に悩む時に読んでみたい1冊。
このほか○○を科学する本としてこんなのも
肥満の科学: ヒトはなぜ太るのか 単行本 – 2024/8/30
リチャード・J・ジョンソン (著), 中里 京子 (翻訳)
「この世でいちばん」を科学する: 惑星から音、温度、臭い、生物まで 単行本 – 2024/8/27
デイヴィッド・ダーリング (著), 黒木 章人 (翻訳)
デジタルの皇帝たち――プラットフォームが国家を超えるとき 単行本 – 2024/8/20
ヴィリ・レードンヴィルタ (原著), 濱浦奈緒子 (翻訳)
世界的にも国内も国家のトップ選びに揺れていますが、それ以上に直接的に私たちを揺さぶるのはシステムという存在でしょう。昨今の、ハッカートラブルやWindowsのダウンとその影響を見るたびにそんなことを感じます。著者が言うとおり、もはや国家以上に横暴な領主となったデジタル帝国。その思想や根源、経営手法を読み解きます。
透明マントのつくり方 究極の〝不可視〟の物理学 単行本 – 2024/8/23
グレゴリー・J・グバー (著), 水谷 淳 (翻訳)
ドラえもんにもハリーポッターにも出てくる「透明マント」。空想科学読本でどう描かれていたかは覚えていませんが、なんと最新科学は実現に近づいている模様です。見えない、ということを追い求めた物理&SFの歴史を追った科学書
経験バイアス:ときに経験は思考決定の敵となる 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/19
エムレ・ソイヤー (著), ロビン・M・ホガース (著), 今西康子 (翻訳)
仕事をしている中でも、異常な暑さになってげっそりしている中でも「こんな時代これまでの経験って必要なのか、いっそのこと記憶喪失になったほうが開き直れるのでは」と思ったりしちゃうんですよね。それって私だけですか?
おばあちゃんの知恵袋からこちら「経験」は価値あるものとして語られてきましたが、時としてバイアスとなり足を引っ張ることになるのです。この本はそういった過去から正しく学んで、意思決定に繋げる方法を考えます。
ランナーは太陽をわかちあう: ケニアの伝説的ランニングコーチと世界王者たちの物語 単行本 – 2024/8/9
サラ・ギアハート (著), 児島修 (翻訳)
気づけばもうすぐオリンピック開幕です。こういうタイミングではスポーツノンフィクションも多く出版されるのですが、まだ目立った動きはありません。気になったのがこちら。ケニアの標高約2400Mの小さな町で、世界クラスのランナーが共同生活を送りつつマラソントレーニングを送っており、そこにいるのがパトリック・サングという人物。ランニングだけでなく、人生のコーチとして賞賛される彼の軌跡。そしてケニアが長距離世界王者大国となった裏側を描きます
ルポ 超高級老人ホーム 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/7
甚野 博則 (著)
まず表紙が目にとまりました。こんな、華麗なる一族に出てくるような庭のある老人ホームがあるのでしょうか?入居金が数億を超えるような超高級老人ホームで暮らす超富裕層たち。その終の棲家の実態に迫ったノンフィクションです。
一方で施設を巡るトラブルも話題になっています。超富裕層だろうが、中流家庭だろうが、誰もが迎える老後、そして超高齢社会をどう生きていくべきなのか。逆立ちしてもこんな高級老人ホームには入れないけど、裏側は気になります。
と、こんな感じで月イチで気になる本の紹介を続けていきたいと思います。
こんな面白い本出るよ!という情報提供も引き続きお待ちしておりますので、出版社の皆さんよろしくお願いいたします。