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三月といったらこのシリーズ『夜明けの花園』
恩田陸作品で、装画が北見隆となったら、そりゃあ「理瀬」シリーズでしょ。ということで迷わず手に取りました。何も考えずに。
ところが、なぜかこの裏にはおぼえがある…デジャブ!? って、新たな能力覚醒したのかと思ったんですけど、これまでの各種短編集に載ってる話だった。というオチ。
とはいえ、『三月は深き紅の淵を』の出版からもうそろそろ30年にもなるので、どのみちはっきり覚えてないし、さて、その話ってどの本で出てきたっけな。みたいなところもあるし…
新刊にはシリーズ紹介と登場人物紹介をきっちり入れてほしい、と思わんでもないのですが、この「整理されていない」モヤモヤした感じも、この一連のシリーズがずっと不穏な空気に包まれ続ける理由なのかもしれません。
三月とか四月って、年度替わりのフレッシュなシーズンとして、どことなくキラキラとしたものに位置づけられている気がします。でも私はこの時期が昔からどうも苦手で。
転校が多かったことも一因なのかもしれないのですが、これまでせっかく作った関係が崩れて、またその努力をしなければならないのは結構なストレスだったんですよね。大人になったら大人になったで、年度末のあーだこーだに翻弄されるし。
恩田さんの描くこの学園は、そういった漠然とした不安や居心地の悪さ、みたいなものを「もっと不吉な事件」を起こすことで可視化している気がします。
シリーズ的には外伝の立ち位置の本作。時代も登場人物もバラバラな今回の短編集は、不安のコラージュみたいで面白かったです。
初版からは年が経ったけど、今の中高生にはどのくらい届いているかしら。主人公と同時代に読むからこその感動ってのもあるので、ぜひもう一度リバイバルしてほしいなあ。