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不要不急で彩られた日常に戻れるだろうか
緊急事態宣言なるものが出されてからというもの、毎日100人から150人の新規感染者が出て、それを伝える棒グラフは、「どうせ情報操作してんだろ」と勘繰ってしまうには十分な程きれいな右肩上がりを描いていたのだ。
39人。
それが一変したのは、4月27日のことだ。突然の感染者数減少が伝えられたのである。検査数が少ない可能性があるものの明るいニュースである。欧米のような悲惨な状況は避けられるかもしれない。
ニューヨークやロンドンは今、長期間のロックダウン、経済不安、治安悪化、医療崩壊。バタバタと身内や友人がコロナにかかり死んでいく、少し前までは思いもしなかった状況。
そうならないように、我々は頑張ってきたんだ。
うがい手洗いを励行し、なんとかマスクを入手して、外食控えて、そこかしこをアルコールで消毒してみたり、窓を開けて花粉いっぱいの外気を取り入れたり、とここ一ヶ月ほどやれるだけのことをやってきたのだ。
軽症でも頭痛や息苦しさなど相当きついと言われるコロナ。
不安と不調の中保健所に電話するも繋がらなかったり電話したけど自宅待機って言われたり、体が辛くて買い出しにも行けずついには地震用の非常食で凌いだり。病院まで行くにも自家用車がなく公共交通機関も使えずとぼとぼと歩いていくしかならず、その間2、3回は倒れるかもしれないな、とか。
重症化して死んでしまう事があれば私のコロナに侵された亡骸は、感染防止の為に遠巻きに家族に見守られながら葬られるのだ。とか。
長期戦を覚悟し、そっちの方向にばかり考えていた私に別の不安が襲う。
まだあの日常に戻る心の準備全然出来ていない。
今の私はと言えば、美容院、マツエク、眉毛スタイリング、脱毛エステ。全て感染リスク回避の為に先延ばしにしている為、毛という毛が好き勝手にやっている。緊急事態宣言を出したいレベルでやばいのだが、一方で生きる上で支障があまりないことにも気づく。
メイクはマスクをいいことにほぼしていない。出勤はたまにしているもののお客様対応がないものだから服装も適当でよい。
会社は、時差出勤やテレワーク、有給休暇を推奨しており、長期プロジェクトはここぞとばかり延期に。
飛沫を交える無駄な会食もない。
全ては不要不急だったのだ。
ステイホーム。
全てをコロナのせいにして、色んなこと置いてけぼりにしてる。
不安と緊張(とスマホ見すぎ)で肩こりはひどいが、なにも頑張らないことを自分に赦せる尊い時間になっていたようにも思える。
あれ、今日は出勤?テレワーク?有給休暇?いやいや、日曜だった…みたいな状態から、
また毎日朝から晩まであくせく働き、不要不急の気晴らしを求める、そんな生活に戻れるんだろうか、私。
コロナがひと段落つく頃、世界は日本は東京は、大きく様変わりしているのだろう。
何はともあれそれをみんなで無事迎えられますように。
編集: 彩音
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