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我が師は主婦投資家

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#投資」です。

叔母が静岡から東京に遊びに来た。母の10歳下の妹だ。どの程度かは知らないが専業主婦の叔母は株で稼いでいるという。この日は毎週楽しみに聴いているザマネーというポッドキャストをやっている杉村富生氏の株セミナーがあるというのだ。私自身は、経営や経済に疎くいまいち興味が持てずなのだが、つきそいがてら行ってみることにした。

母より若くかわいらしく優しい叔母の事が私は小さな頃から大好きで、追い回しては遊んでもらっていた。
30手前で家庭に入ってからは育児や義両親の介護に長らく奮闘していたが、東京に出て来れるあたり以前よりも自分の時間が持てるようになったようだ。
トサカにソバージュ、肩パッドに身を包み、ブイブイいわせていた(!)叔母ももうアラ還。髪はすっきりとショートに切り揃え、マリメッコ風のワンピースで現れた。

株セミナーの合間に、楽天証券のチャート画面を見せて素人の私に色々レクチャーしてくれる。叔母はチャートを読むのが得意だ。

「ほらここゴールデンクロスしてる」

教えてくれるけどよくわからない。

セミナー終了後叔母はセミナー事務局の若手スタッフにお願いしてちゃっかり杉村氏のサインをゲットしていた。

夜は2人で少し高級な中華を食べながら叔母の講義を聞く。

「この会社はね最近〇〇事業を売却したの」
「〇〇地域に進出するのが決まってる」
「アメリカとインドは大統領選次第で変わってくるよ」

内容は難しいのだが、鼻にかかるしたったらずな喋り方は昔のままで和む。私も昔は叔母と話し方が似ていたよな、などと思う。働いているうちについ舐められたくないと低い声を意識するようになり、妙にはきはきとした、そして時に威圧感のある話し方になってしまった自分に気づく。ちょっと可愛げないというかある種の武装だよな。でもそうしないとやってこれなかったんだし仕方ないか。

翌日は叔母の希望で、「株で儲かりますように」と神田明神にお参りをした。ゆっくり東京観光をしていってもらいたかったのだが、孫の世話と夫の夕飯の準備があると言ってタコベルでランチを食べるとそそくさと帰っていった。

叔母はそんな感じで家族に尽くしている人生で会社で働いた事はほとんどない。だけど労働者ではなく投資家として経済や経営と関わる事ができ、お金を増やすこともできるんだなあ。
そういうのもアリだよね。

文:べみん
編集:アカ ヨシロウ

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