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私がお肉が苦手なのは…
生肉を触るのが苦手なのは、加熱の理由に値するだけの細菌が付着しているだろうから、というだけでなくその薄ピンクの柔らかい肉片から、つい彼らの生前の姿が偲ばれてしまうからだと思う。
この世に生を受け、育ち、出荷され、スーパーの店頭に立ち、そして私の台所に上るまで。
殺されて屍をパック売りにされてなんてかわいそう、という動物愛護的な気持ちもなくはない。だけどそれ以上になんというか「これから調理してまさに食べようとしているコレはつまりはアレなんだよな…えーー!!」という解せぬ気持ちになるのだ。
<cow>が<beef>に、<bird>が<chicken>に、<pig>が<pork>に変換されることに自分が追い付いていけない感じ。
さらにはマクロビオティック・代替医療界隈からは、畜産業界の実態について仰天情報がしばしばもたらされる。
生産コスト削減のため成長促進を目的とした飼育ホルモンを投与した牛を食したことで幼い女児が早すぎる初潮を迎えたり男児の乳房が膨らんだとか、イスラエルの学者が遺伝子組み換えで羽のないブロイラーを作ったとか。大規模工場型の農場では、疫病の感染を未然に防ぐため大量の抗生物質を家畜に投与している。この抗生物質の乱用により、抗生物質耐性菌、という抗生物質が効かない菌というものがこの世に生み出されてしまったとか。
またクールー病やBSEを例に挙げ、遺伝的に近い動物の肉は食しない方がいいと警告する医師もいる。同じ哺乳類の牛や豚よりは鶏、鶏よりは魚類、の方が体への負担は少ないというわけだ。
ちなみにクールー病とはパプアニューギニアの致死性の風土病であり、死者の脳を食べる風習(現在は禁止されている)が原因とされている。BSEは本来草食であるはずの牛に肉骨粉(家畜の屍肉、脳、脊髄、骨、内臓、血液などを粉末にしたもの)を与えたことで発症した。どちらも脳がスポンジ状となり死に至る病だ。
そんなウソかホントか分からない話に毎度翻弄されては、
「え、なんか気持ち悪・・・」
「とりあえず今日はやめとこ」
となる。
しばらく動物性たんぱくを食べなくとも死ぬことはないだろう。
プラントベースならではの軽さと主菜になり得る存在感が共存しているお気に入りのレシピならいくつかある。
挽肉の代わりにたかきびという雑穀を使った「ハンバーグ」ならぬ「たかきびバーグ」とか、牛の代わりにお麩を使った「肉じゃが」ならぬ「お麩じゃが」とか。はたまた豚の代わりにテンペという大豆の発酵食品を使った「酢豚」ならぬ「酢テンペ(?)」とか。さて、今晩は何にしようかな。
編集:アカヨシロウ