自分の名前が嫌いだった。
「みずほ」という名前は本名だ。漢字では「瑞穂」と書く。この字と付き合い始めて30年。幼い頃の私は、なんでこんな角ばった可愛げのない字の名前がこの身に着いているのか、とにかく気に入らなかった。
子供の頃に聞いた話では、「ともよ」さんか「みずほ」さんかの二択だったらしい。しかし苗字との画数の関係で「みずほ(瑞穂)」になったのだそうだ。正直私的には「ともよ」さんも「みずほ」さんも子供心にどうやねんと思っていたけど、当時流行っていたアニメの主人公の友達に「ともよちゃん」という女の子がいて、「ともよ」の方が良かったなぁとか思ったりしても居た。でも今なら言える。「ともよ」じゃなくてよかった。
決して「ともよ」という名前に恨みがあるわけではなく、きっと今の私に「ともよ」という名が付いていたら、どんなに頑張っても冴えない人生を歩んでいただろうし、こうして「noteで何か発信してみよう」とも思わなかったし、そこに「自分の名前をそのまま使おう」とは考えもしなかったろう。もう少しなんか小洒落た意味不明な名前を使っていたに違いない。
私が私の名前を素直に愛せるようになったのは、大学生に入った時だった。何気なく訊かれた。
下の名前何て言うの?
…瑞穂。
可愛い名前だね。
…可愛い?私の名前が?本気で言ってんの?…そうなの?
当時割と珍しい名前だったのだろう。正直私も「福島みずほ」氏くらいしか同じ名前の人知らないし。だから物珍しさも相まってそのくらいしか感想出せなかったのかもしれない。しかしその言葉はその言葉を発した人の本意かどうかは露知らず、私が私の名前と真っすぐ向き合うキッカケになった。
語感。字面。意味。再びそれらを考えながら、きっと今まで私がこの名前を素直に愛せなかったのは、親から猫みたいに「みー」って呼ばれてたからなんじゃないだろうかとふと気付く。呼びやすいし敢えてそれをハンドルネームにしていた時期もあったけど、心のどこかで自分を否定している気がして、思い切って「みずほ(瑞穂)」を名乗ることにした。
よくよく見てみたら、なんと和装に映えそうな字なのか。そりゃぁそうさ、なんたって日本の異称は「瑞穂の国」、黄金の国「ジパング」に通ずる意味がある。…瑞穂って稲穂の事で、昔の日本は米が豊かに育っている姿の美しさを例えて「黄金の国」と呼んでいたという所以もあるんですよ。所説ありますが。
つまり私の名前は美しい呼び名と同義を持っている。よくよく見れば、美しい模様の様な見た目をしているではないか。なんて素晴らしい字をこの身に持っているんだ!!そう思ってからは私の名前を素直に愛せるようになった。この名前を呼ばれるのが嬉しいし、この名前である自分に誇りを持っている。名に恥じぬ様、美しくあらねば、と思うようにもなった。
過去に色んな名前をハンドルネームとして名乗ってきたけど、私は何より私の名前を愛しているし、この名前で活動していきたい。そう思って、本名を活動名にしている。
ちなみに、あえて平仮名にしているのは、平仮名の「みずほ」もとても可愛くて好きだからである。漢字より覚えてもらいやすいし、呼んでもらいやすいだろうしね!
という訳で、これからもみずほ(瑞穂)を宜しくお願いします!