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Fisheries science goro 水産知識

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水産学の知識を記事にしていきます。ディープな世界が水産学の世界では広がっております。研究や生態などを追及するのがおもしろいテーマです。
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記事一覧

Fisheries science goro 水産知識14 観測船に必須のCTDとは? いくらぐらいかかるの?

久々の久々にFsgの記事を書きます。 最近全く書けておらず申し訳ございませんでした。 なかなか地上で生活をしていると海や川などに意識が向かないですよね・・・ ましてや一日中PCと電話対応、メールばかりしていると 今回紹介するのは観測船に必ず搭載されているCTDについて解説していきます。 船を運行するというのは危険と隣り合わせですから当然それなりの装備をして運行を行います。 その際に使用されるのがこのCTDという装置です。 実は私このCTDがどのぐらいの金額かを知って

Fisheries science goro 水産知識13 借り腹による世代促進技術 トラフグを例に

新年あけましておめでとうございます。もう2025年ということで時の流れは早いものです。 さて今回のFsgは養殖で行われる「借り腹技術」について 今回挙げる例は、トラフグで解説していきます。トラフグは高級魚ですが、 成熟するのに3年程度かかります。 この3年という成熟期間を短縮するためにクサフグという別のフグへトラフグの生殖細胞を移植することで2年でトラフグの精子を得ることを可能にする技術が存在します。 https://olcr.kaiyodai.ac.jp/wd/wp-

Fisheries science goro 水産知識12 2枚貝を使って繁殖するミヤコタナゴの人工受精

おはようございます。朝3時ですが目が覚めてしまいました。本日が2024年最後の日ということで来年度もよろしくお願いします。 さて2024年最後のFsgは「ミヤコタナゴの増殖」について タナゴという日本固有の数を減らしている淡水魚がいるのですが、今回はそのタナゴの中で繁殖方法の研究事例が比較的多いミヤコタナゴについて解説していきます。 このようにタナゴ類は二枚貝に卵を産み付けるという特殊な繁殖形態を持っていることから土地開発等で淡水産の2枚貝が減っていることから絶滅危惧種に

Fisheries science goro 水産知識11魚を調査する際のサンプリングに使われる耳石

おはようございます。もう仕事納めの方もいるのではないでしょうか? 世の中は9連休ということでその間にも社会を支えて働く労働者の方々に感謝ですね! 本日は久しぶりのFsg テーマは「魚のサンプリングに使用される耳石」について 上記のように魚は直接触ってしまうとすぐ死んでしまうものもいるため、サンプリングなどの調査にはこの「耳石」という魚の体部に存在する炭酸カルシウムの結晶を使う手法などがあります。 魚も人間と同様 体の中の器官に年齢や成熟度合を測ることができるという好例だ

Fisheries science goro 水産知識⑩ ブリは〇〇目▲▲科の魚 

こんばんは今日は久しぶりに水産知識の記事を書いていきます。 サバ缶がだいぶなくなってきた・・・ 今回のテーマはサバではなくて、「ブリ」です。 ブリは私の住んでいたところではよくお吸い物で食べていました。 たまに刺身でしょうか このブリは日にちがしばらくたったものの方が味がこくおいしくなります。 また養殖などでもけっこうノウハウが確立されており、研究実績も豊富な魚の一つです。 さて標題の答えです。 スズキとアジに近い魚種です。 さてここから一歩踏み込んでブリがお

Fisheries science goro 水産知識⑨ 水産で「増殖」はキーワード

今日はサバの缶詰を購入して帰宅しました。鯖缶好きなのです。 さて本日は金曜日ということで明日も仕事ですが、少し時間に余裕があるため久しぶりにFsgの記事を書きます。 今回のテーマは「増殖」です。 水産業にとって増殖は大切な概念です。 今電力会社や商社が陸上養殖のビジネスがさかんに行われていますが、元をたどればこの増殖という概念を求める営みで収益を獲得するために日夜格闘しているわけです。 近畿大学 クロマグロやウナギで有名な研究結果を出していますが、このように増殖学研

Fisheries science goro 水産知識⑧緑の光が成長を促進する??

最近サバの缶詰を食べるのにはまっております。 仕事のストレスで太っておりますが・・・  さて今回のFsgは、「緑の光と養殖」について 下村脩さんのノーベル賞の蛍光タンパク質といい光という存在はある意味生物界でまだ開拓されていないフロンティアがあるのではないかと考察しております。 実は水産研究で北里大学は有名です。あと東海大学なんかも 日本の研究はやはり海にもっと視点を当てるべきだと僕は個人的に思っております。 この養殖技術の革新的なところは普通の養殖より電気のコストがか

Fisheries science goro 水産知識⑦フグは淡水産のものがいる。

久しぶりの水産知識ということで水産関係の本は読んでいて難しいものが多いです。だからこそ読み応えもあるのですが・・・ 今回は「フグ」について フグという魚は有名なテトロドトキシン、養殖技術等研究でもけっこう取りあげられる魚です。龍が如く0でふぐ刺しを食べる嶋野組長を思い出します。 釣りをしたことがある方なら分かると思いますが、かかると針がなかなか抜けないで曲がる魚です。 さて、このフグですが淡水に生息するものもいます。 毒の研究でこれから謎が解けることを期待しておりま

Fisheries science goro 水産知識⑥マダイは養殖の研究事例が豊富な魚種

おはようございます。仕事の疲れで昨日から今朝まではほぼ部屋の中でずっと寝ていました。12月も開始ということで年度末もっと地獄が発生するとなると怖いのですが・・ まあリフレッシュできるときにリフレッシュしましょう。 久しぶりのFsgで記事を1本書きます。 今回のテーマは「マダイ」について 鯛のことです。 日本で一番養殖がおこなわれているのは、愛媛県です。みかんだけではなくマダイも有名です。 さて、このマダイですが、養殖の研究はブリなどと並んで豊富な魚種の一つです。現在は人

Fisheries science goro⑤ 養殖で大事なワムシという餌

こんばんは もう11月が終わるというのに上司に予算の執行状況が提出できてないという地獄・・ やばいねこれ・・ 胃がキリキリしますがまあ初年度ということで許してくれないかな・・・?? さて今回のFsgは養殖で大切な「ワムシ」について解説。 魚も人間と一緒で食べるという行為はとても大切なもの。 そして、養殖の世界ではこのワムシと呼ばれる動物プランクトンに焦点を当てた研究はたくさん存在します。 https://shingi.jst.go.jp/pdf/2023/2023_k

Fisheries science goro 水産知識④世界ではコイ類やフナ類の養殖産業が伸びている。

明治神宮野球大会の時期になりましたね。野球を奉納するというイメージがして神聖であの雰囲気は甲子園にないがゆえに好きなところもあります。 さて、今回のテーマは「世界の養殖産業とコイ類やフナ類」について 日本は海洋国家のため、どうしても水産と聞けば海水魚の養殖に話がいきがちですが、世界的な視点で見ると淡水魚の方が養殖技術なども進んでいます。 上記は日本の水産庁のHPから画像を引用させていただきました。 見てわかる通り、コイ・フナ類の淡水魚の収穫量の伸びがすごいです。 特に中国

Fisheries science goro 水産知識③魚は卵が浮くか沈むかで器官のでき方に違いがある。

こんばんは もう1年が終わりますね。だんだんと1年が早く終わってしまいます。子どもの頃の1年間はあんなに長かったのに・・・ さて今回のFsg なんちゃってジャーナルのトピックは魚の卵について 標題の通り、卵が浮くか沈むかで器官のでき方に違いがあります。 まずは用語を抑えます。 もう漢字の通りです。漢字って本当に良い言語ですよね。 覚えれば見ただけでイメージができる。 さて、この浮性卵と沈静卵はそれぞれ生まれた時の器官に違いがあります。 浮性卵はその名の通り、浮くほ

Fisheries science goro 水産知識②ゼブラフィッシュはモデル生物として最適

疲れていますがせっかくですから水産知識を書いて寝ましょう。 ちなみに今日会社にバス乗り遅れて遅刻しました。 今回のテーマは「ゼブラフィッシュ」について このゼブラフィッシュというのは、実験や創薬業界でよく用いられるモデル生物です。マウスの魚版と言えばわかりやすいでしょう。 生物学では脊椎動物のモデル生物としてよく用いられる。モデル生物としてはゼブラフィッシュ、観賞魚としてはゼブラ・ダニオの名が一般的である。 筑波大学のサイトを引用させていただきました。 このゼブラフ

Fisheries science goro 水産知識① ヒラメはある条件を満たすと遺伝的に雌のものが生理的雄に変わる。

私決めました。今日から水産関係の知識を記事にしていきます。 もう会計のことは、だいぶネタが限界になってきたので新しいことを始めようと思います。じゃあ自分が好きなことって何だと考えたら水産系の本なのでこれからは水産系の記事を書いていきます。 論文出版ごっこの気持ちでディープな水産知識をこれから書いていきます。 名付けて「Fisheries science goro」です。略してFsg 今回のテーマは「ヒラメの性別決定」について みなさんはヒラメという魚を知っていますか