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経営を存続し続けられる「新しい介護サービスの提供様式」の確立を
目に見えない不安との戦いが続いている
5月25日に非常事態宣言が解除され、全国的にも経済活動が再開し始めました。
しかし、第2波、第3波を警戒した「新しい生活様式」における"準"自粛生活が継続している間は否めません(ある社会福祉協議会様は9月いっぱい研修関係は中止となっていますから、これまでの生活に完全に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです)。
東京都においては、ロードマップを独自に作成し、STEP0(ゼロ)から段階的に休業要請などを緩和していきました。
11日には東京アラートが発出されましたが、6月12日にはSTEP3に移行し、19日からは東京アラートも解除されましたが、早々に夜の街での感染が報道されています。
都知事選などの駆け引きもあるとは思いますが、一都民(住まいは23区外の端っこですが…)からすると、目に見えない不安感が十分に払拭されていないなか、時期尚早だったのではないかと感じてしまいます(日本という国においてすら、自己責任というスタンスは強くなったと感じます)。
本当にもういいのか🤔?
— 福祉マネジメント&デザイン (@SW_MandD) June 11, 2020
新型コロナ:東京都、19日に休業要請を全面解除へ: 日本経済新聞 https://t.co/yIdzUJGF1H
現場の戸惑いと適応力を高める
福祉施設においても、新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴い、施設・事業所でも大きな変化が起こっていることと思います。
臨時的に職員配置を緩和した介護報酬の請求を認めるなど、当事者でも戸惑ってしまう対応が求められていると思います。
詳細については、過去の記事を参照いただくとともに、経営層が方針をきちんと定めた上で、リーダー層や一般層が対応できるようブレイクダウンしていただきたいと思います。
現場の声についても、社会インフラとして、介護サービスを提供し続けなければならないといった使命感を持った発言がある一方で、職員が感染したらどうするのかといった不安、不満から、組織に対する不信につながるケースと二極化した印象を受けます。
現場職員の不安や不満から生じる不信をいかに払拭できるか(できたか)によって、組織(=経営層)に対する信頼やエンゲージメントの醸成につながったのではないかと思います。
責任の所在がはっきりしない①②は特定といえども認めるのはいかがなものか。
— 福祉マネジメント&デザイン (@SW_MandD) June 16, 2020
結局、事業所側がケアマネからの要請により説明責任を求められるんですよ🤷♂️
厚労省、通所介護の特例報酬増のQ&Aを公表 同意のとり方など説明 | articles | 介護のニュースサイトJoint https://t.co/4RBJI3OEUh pic.twitter.com/jT7O4haetj
そんな中、6月1日に給付費分科会も(Zoomを活用して)再開され、新型コロナウイルスへの対策強化を見据えた報酬改定(第3次補正を見据えたプラス改定)を訴えていく方向性だと感じました(あくまでも基本報酬アップになるかどうかは現時点ではわかりません)。
こうした流れ(環境変化)に対して、いかに適応し続けられるかということは重要です。
手元資金による結果の二極化と内部留保のあり方の再考
ちょうどタイムリーに取り上げたいと思っていた内容の記事がアップされていたので、noteにも記事をアップさせていただきました。
今回の新型コロナウイルス感染防止対策として、多くの企業活動がストップし、結果的に経済そのものがストップしてしまいました。
NHKのニュースをみていても、職を失った方や予約が全てキャンセルとなってしまい、大きな損失を被った方の悲痛な叫びを取り上げていました。
私は職業柄、そのような状況こそ免れましたが、手元資金により、新型コロナウイルスが及ぼした影響は二極化したのではないか考えています。
社会福祉法人も貸借対照表(B/S)の現金預金+事業未収金を事業活動計算書(P/L)のサービス活動費用計(1か月分)で除します。
— 福祉マネジメント&デザイン (@SW_MandD) June 18, 2020
何か月分耐え凌げる手元資金があるか、内部留保の考え方を改めた方が良いかと。
手元資金、キーエンスは20カ月分 「頑固3兄弟」は盤石: 日本経済新聞 https://t.co/KtXif8qZUb
同じ事を考えていたので、リツイートさせていただきます。
— 福祉マネジメント&デザイン (@SW_MandD) May 25, 2020
運転資金3か月分は再投下対象財産とは別に確保できますが、国保請求はしているとはいえ、3か月では心許ないと思います。
緊急事態宣言が出された1か月半で上場企業の倒産もありましたから、内部留保のあり方を再度議論するべきと思います。 https://t.co/79afJ9DtAt
キーエンスなんて、20か月分の手元資金があるわけですから、何かあっても職員を解雇したり、減給しなくても凌げるわけです。
しかし、飲食業や水商売、タクシー業界などは日銭をいかに稼ぐかということに重点が置かれてしますから、手元資金という概念は弱く、資金繰りが非常に難しい状況に陥ってしまいます。
そうした時に、現金預金をあてにしなければならないわけですが、社会福祉法人においては、社会福祉充実残額(控除対象財産を除いた再投下可能な財産)という考え方の中、社会福祉法人の内部留保の持ち過ぎは公費(税金)を国民に還元していないという指摘を受けたわけです)。
しかし、新型コロナウイルス感染防止に尽力している医療機関であっても、この状況において、儲かっているわけではなく経営的には非常に厳しくなっていると言います(大変なだけで、収益増にはつながっておらず、マスクやガウンなどの消耗品費が増大しているといいます)。
そうした時に、社会インフラとしての医療や介護といった社会福祉基盤が脅かされるような事態があってはならないと私は考えています。
要するに、社会福祉法人であっても経営を求められる以上、必要な内部留保(手元資金)を確保することは必要であり、それは結果的に地域福祉やセーフティーネットの維持、職員を守ることにつながるわけです。
それを控除対象財産として、将来の建て替えに必要な費用や大規模修繕に必要な費用、年間事業活動支出の3か月分といったことを決められるのではなく、法人規模や事業実態に応じて、常識の範囲の中で社会福祉法人に委ねるべきだと思います(ごく一部の悪徳な社会福祉法人が発端となって、今の制度になっていますが、それを改めて訴えても良いのではないかと思います)。
貸借対照表(B/S)「現金預金+事業未収金」/事業活動計算書(P/L)「サービス活動費用(1か月分)」をすれば、最低でも2か月分(収支が赤字でなければ、国保連からの2か月分)は確実にあるはずです。
2か月+αがいかに確保できているかどうかが、今後、法人の存続を左右する要因(ファクター)になるのは間違いありません。
そうした準備を怠ったり、現場の職員が不安感を抱き、結果的に経営層に対する不信、不満が募り、内部統制(ガバナンス)が効かなくなる。
経営層とそれ以外の職員といった対立構造を生みかねません。
なお、厚生労働省のまとめでは2016(平成28)年度決算に基づいて算定- 113 -現代福祉研究 第19号(2019. 3)された充実残額では調査対象の88%がマイナスという結果が報告されています[厚生労働省2017年 3]。
要するに、控除対象財産を控除すれば、手元資金は十分ではないということを示唆しており、内部留保=社会福祉や地域福祉のために公費が還元されていないという指摘そのものが、非常に偏った見方ではないかと危機感を感じます。
逆に言えば、職員を守るために必要な手元資金を確保するために積みませられる事業経営の徹底や目標管理を組織的に行うことは今後必要ですし、制度としてそれを認めていくような方針を明確にする必要があると言えます。
介護がしたいだけではなく、組織に属する職員として経営を意識したサービスを提供する意識を持っていただく必要はあると思います。
例えば、牛丼屋さんにって、牛丼を注文したらサラダや豚汁を勧められた経験がある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか(それ以外にも、マ○ドでマニュアル通りにサイドメニューを勧められ、断った経験はないでしょうか)。
牛丼屋さんの例では、野菜を取れるようサラダや豚汁を勧めるという、あなたの健康のことを考えた発言であるかもしれませんが、サラダや豚汁のオプション(付加価値=増収)を付けたいというのが本当の目的です。
牛丼売るだけであれば券売機で十分ですが、付加価値を生むために間に人が介入し、提案するというプロセスを作っているのです。
要するに、介護がしたいだけであれば、あなたでなくても良いかもしれませんが、所属している法人の理念や提供したいサービスを継続するためにあなたでなければならない理由を自分自身で見出さなければ、今後、お役御免となる可能性もゼロとはいえなのです(深刻な介護人材不足のため、辞めないでいるだけで良いと思われがちですが、リストラが当たり前の他業種ではその考え方は成り立ちません)。
臨時的な特例が認められているからこそ、断られる(ネガティブに受け止められる)から提案しないのではなく、その是非をきちんと確認することは重要だと思います。
ピンチはチャンスであり、気づきの宝庫である
6月となり、多くの社会福祉法人では決算書が出来上がり、理事会、評議委員会を迎えていることと思います。
新型コロナウイルスというこれまでにはない脅威に対して、いかに経営を存続させる仕組みを構築できるのか、事業継続計画(BCP)が本当に効果的な内容であったかといった評価・検証を行う絶好の機会でもあり、感染症対策の可否を判断するといったきっかけにしていただきたいです(BCPは絵に描いた餅にするのではなく、実践を通して、常にアップデート(是正)していくことが重要です)。
ショートステイやデイサービスの収益が1か月あたり約25%減というネガティブな状況ではありますが、「新しい生活様式」が求められるなか、「新しい介護サービスの提供様式」を構築(=提案)していくのは皆さんの役割でもあります。
ピンチはチャンスであり、そのピンチから生まれる気づきを生かさない手はありません。
経営を存続し続けられるような「新しい介護サービスの提供様式(=気づき)」を構築(=提案)していただきたいと思います。
どうしてもケアマネジャーの存在があり、その下に各事業所が位置付けられているような印象が強くありますが、私はそうではないと思っています。
確かにケアマネジメントを行っているのはケアマネジャーですが、各事業所からの情報提供や提案により、ケアマネジメントの方向性や内容は変わってくると思っています、。
実際に利用者の生活や事業所での様子をまじかで見ているのは皆さんですから、ケアマネジャーも驚くぐらいの情報提供や提案をしてみてはどうでしょうか(そのためのアセスメントシートや機能訓練におけるレーダーチャーによるADLの評価表など)。
仕事柄、次期介護報酬改定に向けて、各団体からの制度提言に関わる業務に関わらせていただいています。
現場の声を国に届けられるよう発信できればと思っておりますので、是非とも、皆さんの声をお寄せいただければ幸いです。
管理人