特養における介護報酬改定の方向性(1126介護給付費分科会の動向)
コロナ禍とはいえ、今年も繁忙期に入り、なかなか更新ができない状況になってきました(仕事ができ、不自由なく生活できることに感謝します)。
さて本日、特養などを対象とした介護給付費分科会が開催されました。
特養における主な論点は以下の通りです。
これまでの議論から大きな変更はないようです。
論点②:個室ユニット型の設備・勤務体制
今日のオンライン中継をみることができませんでしたが、聴講していただき方から教えていただいた内容として、「論点②:個室ユニット型の設備・勤務体制」については、"既存施設は対象とならず、今後、開設される施設から適応される"ということが言及されたそうです
もともと、1ユニットの定員を「おおむね10名以下」から15名程度以内に緩和することが提案されたため、3ユニット(10名✖️3ユニット)から2ユニット(15名✖️2ユニット)の職員配置ができるとシミュレーションをされていた既存のユニット型施設もあるのではないでしょうか。
この資料には、どこにも今後新設される施設が対象という表記はなされていません。
果たして、今後新設される施設だけを対象にしても、人材不足の問題解決には効果が薄いように思います(もしかしたら、今後、発言内容を修正するかもしれませんね)。
論点③:中重度者や看取りへの対応の充実
対応案の1行目に「看取りへの取組状況等についての評価やソーシャルワーカの関与を明文化する等のご意見を踏まえると〜」とあり、「ソーシャルワーカー=社会福祉士」を資格要件、もっというと生活相談員にも社会福祉士の資格を求めていくのかとも読み取れるような表現がありました。
しかしながら、実際は「看取りに関する協議等の参加者として、生活相談員を明示すること」「『人生の最終段階における医療・ケア決定プロセスにおけるガイドライン』などの内容に沿った取り組みを行うことを明示すること(要するに、「アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning :ACP)」の導入)」が対応案としてあげられていますが、このような取り組み(看取りの意向確認、看取りのケアプランなど)は特養では当たり前のようになされており、少し提案内容と現座の実態に温度差を感じました。
論点④:介護保険施設のリスクマネジメント
自然災害に対する防災・減災の取り組みを評価するのとは別に、事故の再発防止策に向けた取り組みを評価するという提案があがっています。
福祉サービス第三者評価をしていると、事故やヒヤリハットに関わる事象が発生すれば、所定の様式に記録し、集計・分析し、再発防止に向けた検討や対策を講じているケースがほとんどだと思います。
ただし、その再発防止策の検証(効果があったのか)までしている施設・事業所はまだまだ少ないのが実態です。
また、再発防止云々の前に、「ヒヤリハット」が全然提出されない状況をなんとかする必要があると感じています。
気づいていても記録に残さない、「ヒヤリハット =事故につながる事象」という認識が強くケースが上がらないという状況はないでしょうか。
皆さんにとって「ヒヤリ」「ハット」感じることは、事故だけではなく、職員の言葉遣いや態度、介助方法のばらつきなども虐待や苦情につながる恐れのある「ヒヤリハット」といえないでしょうか。
事故につながる事象に限らず、あらゆるリスクにつながる「ヒヤリ」「ハット」を集めることで、さまざまな重大リスクを避けられる組織対応力を高めることにつながるといえます。
論点⑥:小規模特養の基本報酬
次期介護報酬改定で実現していただきたいのが、この小規模特養のプラス改定です。
前回改定で通常の基本報酬との統合に向けてマイナス改定を受け、かなり経営が厳しい状況に陥っています。
特に、単独の小規模特養を経営している法人は事業継続の危険水域に瀕しています(サテライト型では費用の適正化が図れますが)。
各全国団体の主張を踏まえ、是が非でもプラス改定の実現を期待します。
新型コロナウイルスへの対応や事業継続計画(BCP)に関わる「感染症や災害への対応力強化」については、後日、アップしたいと思います。
管理人
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?