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VRC環境課 帰路編

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2019年8月の記事一覧

帰路7

「...り、痛み、癒し、癒し、癒し...」 けたたましく鳴り響くサイレンと、辺りに立ち込める煙、そしてか細く震える声が微かな意識を揺さぶる。 (ザザ) 「課長...見えてますか?」 「あぁ、見えている...」 管制室の画面に映し出されたのは、翡翠色をした長髪の狐の獣人が、両肘の先を消失して気を失い壁にもたれかかっている姿と、涙目になりながらも、側に寄り添い祈りを捧げ続ける鹿角の少女だった。 「課長...これって...」 「状況から察するに、そうだろうな。」 「あの