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この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ💗『リップヴァンウィンクルの花嫁-劇場版-』 

《乱れ撃ちシネnote vol.023》

『リップヴァンウィンクルの花嫁-劇場版-』

岩井俊二監督


【Introduction】
昨日の『湯を沸かすほどの熱い愛』にほんの一瞬りりィが出演している。

双葉がたった一回プッツンして石を投げつけられた双葉の母親役がりりィです。

りりィは福岡県福岡市天神生まれ。
小学校3年から東京で育ちます。
母は中洲でバー「翡翠」を経営、父は米空軍の将校でりりィが生まれる前に朝鮮戦争で戦死したと伝えられています。
本来3オクターブの音域を持つ美声でしたが風邪をひいた日に2升近く日本酒を飲んで朝まで歌い続けたのため翌日声が潰れたという伝説のハスキー・ヴォイスの持ち主です。

1972年歌手としてデビュー直後に大島渚監督の『夏の妹』に出演して以来女優としても活動を開始しました。
1974年のシングル「私は泣いています」が代表曲で100万枚のヒットとなりました。
2016年11月11日死去(享年64歳)。

『湯を沸かすほどの熱い愛』と同じ年2016年に公開された『リップヴァンウィンクルの花嫁=劇場版=』のりりィには鬼気迫るものを感じます。


この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ
おどろおどろしさに彩られたいかがわしい物語の末に迎えた切なさ!
『リップヴァンウィンクルの花嫁-劇場版-』

岩井俊二監督
2016年公開

【Story】
派遣教師の皆川七海は「教師」という仕事が好きだが声が小さく生徒たちにからかわれる日を送っている。
派遣教師だけでは暮らせないのでコンビニでアルバイトをしなければならなかった。
彼女はSNSで知り合った鶴岡鉄也ととつぜん結婚することになった。 まるでインターネット通販でモノを買うようにあっさりとした結婚。
結婚式の段取りを打ち合わせしている時に 親族の参加者の多い鉄也に比べ、七海の参加者が少なすぎることを鉄也に指摘された。
七海はバランスを整えるために参加者を増やさなければならなくなった。
七海が困った事情をネットでつぶやくと「ぼくがお手伝いしますよ」とネット仲間の安室行舛が書き込みしてくれた。
七海はネットでやりしていた安室に初めて会う。

安室行舛は「ぼくは役者をやってますがなんでも屋もやっていますので代理出席者なんて簡単に揃えますよ」と手を差し伸べてくれた。
安室から提示された代理出席者を揃える経費はかなり高額だったが他に打つ手もないので七海は安室にお願いする。

無事結婚式を終えて新婚生活を始めた矢先に鉄也の浮気が発覚した。
七海は鉄也の浮気調査も安室に依頼した。
どんな苦境に立たされても見事な解決策で助けてくれる安室に七海は全面的に信頼をおきはじめた。

このあと七海にどんな運命が待ち構えているのか、いったい安室は何を考えているのか・・・。
物語は思いもかけない方向に突き進んでいく。

無理でしょこんなバカな話はという物語が次々と悪夢のように巻き起こります。


【Trivia & Topics】
*面白いな〜この映画は。

なんだこのメチャクチャな展開はと疑いつつも3時間の長丁場を感じさせない奇妙な面白さに彩られた不思議で切ない時間を過ごせます。
岩井俊二監督作品は『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が好きでした。特に『花とアリス』はとても素敵な映画でした。
ところが評判の高い『リリィ・シュシュのすべて』『スワロウテイル』には今ひとつ乗り切れず途中下車しています。
『リップヴァンウィンクルの花嫁-劇場版-』は岩井俊二監督作品そして黒木華出演作のベストとなりました。

*黒木華が見事に役にハマっている。
岩井監督が2012年にCMのオーディションで黒木華に出会い彼女をイメージして4年後に制作しただけあってこれほど黒木華を愛おしく感じさせる作品は観たことがありません。

*奇妙で悪夢のような甘美なカルト・ファンタジー。
この作品は虚構だらけの世の中にで必死に生きる七海の切なさあふれる純愛物語なんです。

*リップヴァンウインクルをご存知ですか。
アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングの短編小説の主人公です。
独立戦争から間もない頃呑気者のきこりリップヴァンウィンクルは口やかましい妻にガミガミ怒鳴られながら暮らしていました。
ある日猟に出た彼は深い森に入り込んでしまいますがリップの名前を呼ぶ見知らぬ老人と出会いました。
老人に連れられた山奥で出会った人たちとリップは愉快に酒盛りを始め酔っ払ってぐっすり眠り込んでしまったのです。
目醒めたリップは山から下りると町はすっかり様変わりして友人たちはみんな年を取り妻はすでに亡くなっていました。
彼が一眠りしている間に世間は20年もの年月が過ぎ去ってしまっていたのでです。
という物語。
つまりアメリカ版浦島太郎です。

*りりィ
180分の長丁場のこの作品のラスト20分頃に綾野剛、黒木華に加えてりりィが登場し三人で大酒を呑み始めます。
2016年3月16日にこの作品は公開されました。同年11月11日、りりりィは64年の生涯を閉じました。
肺がんと闘いながら撮影に挑んだりりィの熱演はとても印象的です。

*おそらく評価は両極端に。
『リップヴァンウィンクルの花嫁-劇場版-』に強烈に惚れ込む人と、なんだこれはと感じる人と両極端に分かれるカルト作品です。

【鑑賞ガイド】
😁😁😁😁😁
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
😁😁😁😁😁:見事な作品。
😄😄😄😄:お勧めです。
😀😀😀:楽しめます。
😔😔:苦手です。
🥵:途中下車。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【巷のうわさ】
Filmarks:☆☆☆★(3.8)

u-next :☆☆☆★




*リップヴァンウインクルの説明はこの方が丁寧に説明してくれます。

明日はこの映画⬆にしようかな。


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