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埼玉共学化とスイスからの声

イチョウがきれいな季節になりました。2024年8月末、教育委員会による「自主的に共学化する」判断が発表され、一応の結末をみた埼玉公立高校・共学化問題です。

どちらにも決定打を与えない埼玉県らしい結末でしたが、ふとしたことで、
浦和高等学校OBによる「埼玉県立高等学校の男女共学化の推進を求める意見書」が令和6年1月27日に提出されていると知りました。

「え、賛成団体の意見書?」
ときおり見かける賛成者は<個人>でした。今度は<団体>なので、調べてみました。

まず、埼玉県のホームページにアクセスします。

方法1、県政情報・統計 > 県概要 > 組織案内 > 教育局 > 県立学校人事課 > 「埼玉県男女共同参画苦情処理委員からの勧告に係る報告について/www.pref.saitama.lg.jp/f2207/kankoku-houkoku.html」に進む。

こちらは勧告についてまとめられたページです。
アンケートに記載した県民個人(匿名)の意見も読めるようになっており、面白いです。さらにくわしい内容を県に提出してあれば、各団体のアンケートの質問や答えもここで分かります。

方法2、ホームページ内の検索欄に「共学化 提出された要望書等」を入力する。
と一覧表と内容が読めます。こちらは方法1の中のうち、「別添え資料4」で、要望書を取り上げたものでそれぞれ気合が入ったものになっています。
差出人の「○○回」には数字が入っていますが、ここでは伏せます。
一つの学年です。続いて有志の個人名・肩書が載っています。

埼玉県立浦和高等学校第○○回卒業 生有志
埼玉県立高等学校の男女共学化の推進を求める意 見書令和6年1月27日

www.pref.saitama.lg.jp/documents/256048/060711_h2-3.pdf


この意見書によると、共学推進派は三分の一程度いたとか。()内はわたしの意見で、太字にしたのはわたしです。

この意見書(共学化反対の意見書だと思われます)、同校同窓会が卒業生の意見を積み上げた結果であり、卒業生のなかでは共学化反対のものが多数であるという事は事実です。一方、共学化を推進するべきとの意見も3分の1あったことも事実です

「埼玉県立浦和高等学校第○○回卒業 生有志 埼玉県立高等学校の男女共学化の推進を求める意 見書令和6年1月27日」より一部抜粋、www.pref.saitama.lg.jp/documents/256048/060711_h2-3.pdf

ちなみに浦和高校別学派維持派の意見書は令和5年12月1日に同窓会代表理事の名前で提出されています。

「あら? 先生も共学派推進の意見書を出してる?」

埼玉教職員組合中央執行委員長・埼玉高等学校教職員組合中央執行委員長による共学推進派の意見書で、令和5年9月28日と令和6年5月28日、二度にわたり出されています。

「別学生徒は反対でも、その生徒を育てた小・中学校で教職員組合に加入している先生は賛成かもしれないわけね。」

埼教組(埼玉県教職員組合)は、全教(全日本教職員組合)を上部組織とする、埼玉県内の小学校・中学校で働く教職員で構成されている組合です。正規教職員だけでなく、臨時採用教職員や会計年度任用職員、市町村費採用教職員の方も加入されています。

埼教組(埼玉県教職員組合)のホームページより

埼玉教、加入率はあまり高くないようです。3割を切っています。

もちろん意見書はこれだけではなく、別校による別校維持派の意見書をあわせて、全部で11団体が提出しています。2024年7月以降のものはあるはずなんですが、探しだせませんでした。
複数回意見書を提出していてる団体もあります。これらの意見書はインターネットでアクセスできればだれでも家にいながら読むことができます。

なのに、
わたし「(浦和高校OB賛成派・教職員組合賛成派の意見書提出は)埼玉新聞には書いてなかった~。」

浦和高校OB、在校生による反対派の活動、女性政治家を増やす試み、の話題は載ります。

同じ学校の同窓会が反対・賛成の意見書を出している学校はただ一校。浦和高校だけです。これからあるかもしれませんが、現時点では県のホームページには載っていません。この点でも浦和高校は伝統校として存在感を示したと言えます。

「そこに女子が入れないのは本当に残念。(今のところ)」


この記事を書いたのは、2024年10月31日埼玉新聞の「日本に選択的夫婦別姓勧告」記事を読んだからです。国連の女性差別撤廃委員会が、日本の女性政策について最終見解を公表しました。選択的夫婦別姓については4回目の勧告だそうです。

「結婚にあたり、別姓のままでも同じ姓にしてもOKな制度が欲しい。」
と経済界や弁護士会がだしているのですが、

「夫婦別姓を選ぶどころか、埼玉県ではその前段階、県で一番の学校(伝統公立進学校)にすら女子は入れないよ」

と恨めしく思うのでした。群馬と栃木も同じ問題を抱えています。

国際的には、国連女性差別撤廃委員会や自由権規約委員会からも複数回是正を勧告されており、民法750条は憲法に反し、人権侵害を招いていると考えられます。

日本弁護士連合会 ホームページより www.nichibenren.or.jp/activity/human/gender/01.html


おまけ
この女性差別撤廃条約は2022年の苦情申出書でもふれられている条約です。2023年埼玉県の男女共同参画委員会の回答は「別校の存在だけでは違反ではない」です。

「別校の存在が違反でない」ではありません。<夫婦同姓>の規定が違憲・合憲と判断が分かれるように、別校の仕組みと社会の意識や仕組みがあわさって、埼玉県では男女の社会的役割の固定しているのです。

もちろん、別校を卒業しただけでは問題はありません。共学校出身者であっても、社会の現状を認識してなお、男女の社会的役割を固定する活動をするならば、そこには問題があると思うのです。

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は日本にどんな勧告を出した?ジュネーブ報告会 2024.10.30 

(省略)
女性差別撤廃条約を締結した国は、「女性差別となる法律の撤廃」が義務付けられています。日本は1985年に締結しました。

女性差別撤廃委員会 (CEDAW:Committee on the Elimination of Discrimination Against Women )は、締約国の条約の実施に関する進捗状況を検討するために設定されています。 委員会の人数は23名、会期は、約3週間です。

締約国は定期的に国連に政府報告書を提出します。女性差別撤廃委員会は約4年に1回締約国を審査し、締約国に「勧告」を含む最終見解を発出(法的拘束力なし)します。
今年は日本国審査の年でありました。日本政府がどのような勧告を受けたのか・委員会での様子も含め報告会を以下の通り実施いたします。

公益財団法⼈ジョイセフ (JOICFP) www.joicfp.or.jp/jpn/2024/10/30/55835/

おまけ2
男女共同参画推進条例について。

この条例があるのは埼玉県だけではないです。私の出身地長野県にもあり、長野県民であれば苦情を申し立てできます。
勘違い(事実誤認)があったとしても、苦情申し立てはできます。おそらく委員会から「(残念ながら)勘違いです。」と回答されると思います。

この制度は全国にあるのではないでしょうか。


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