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空き家銃砲店 第十三話 <浴室>
浴室の壁は上半分は白、そこに水色の柱が伸びていた。屋根は六角形で目の錯覚によりドームに見えるよう工夫されている。汚れやすい下半分の壁には六角形の水色がかったグレーのタイルを張り、着物に飛び柄という文様があるように、グレーのなかに、白タイル二つとおだやかなピンクベージュのタイル二つ、四つでひとつの形をつくってアクセントにしてある。
浴槽は四角、トイレとお揃いの横幅1センチの長方形の淡いピンクベージュのタイルで、シャワーと蛇口の下は直径2センチほどのガラスの棒が横に一列、壁から壁にずらっと並んでいてその下を使った水が通るようになっていた。
明り取りの窓は六角形のでこぼこガラス、浴室のテーマは、亀甲、六角形だったようだ。昭和35年(1960年)にリフォームしたとして、歩いてすぐのご近所さんが風呂屋さんだったのに、どうしてこんなに凝ったかよく分からないが、もともとだったのか、黒部ダムの仕事が一段落して気が大きくなっていたのか。
明治時代のなごりは炊き付け口に残されている。
おまけ
タイル、細かすぎて「掃除が大変なんだよ」と祖母がこぼしていました。確かに30~50本以上あるような、ガラス棒の掃除とか、限りなく面倒です。
祖父の死後、祖母は、ごつごつした岩の間からお湯が流れこむ浴槽、洗い場は天然石を薄く切ったものを並べ、100万かけて露天風呂もどきを再現。このお風呂場は夏は良いのだけれど、冬の長野県には寒すぎた。石の床が冷たくてマットをひいて入浴することになった。
洋間の改装から始まった祖母の改装趣味は、どんどん広がった。サンルームを作り壊し、露天風呂もどきを作り、お墓の石塀で恐怖の塀を建て、両親と二世帯住宅を建て、その二世帯住宅の居間に300万の畳の小あがりを作ったりと、幅広くしたいことをしていた。
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