娘と振袖屋さんと衝撃の足袋
高3の娘は浴衣が好きです。袴も好きです。成人式には今のところ「参加してもいいかな~」という感じで、
高3「袴で」。
一択です。
しかし、
私「袴だと絵師さんが力を込めて描いた(膝から下の)模様が隠れちゃうよ~。私の実家にある色無地で十分じゃない?」
夫「それはちょっと」
高3「うん」
二人は今風の柄が好ましいようです。
成人式は2026年1月の予定で、市からの正式な案内は遠すぎて来ていません。しかし<はれのひ騒動>でもあるように埼玉県では高3になる、式の2年ほど前からダイレクトメールが送られてきます。
娘のところにも案内がきました。たまに着物のお手入れをお願いしているお店なので、事前に問い合わせたところ、振袖展は7月8月、袴展は9月だそう。まずは振袖展にいくことにしました。
夫と高3の娘、私の三人で一時間半の枠を予約してお出かけ。高1も娘ですが「興味ない。自宅警備する」の一言です。
さて、当日、本人がメイクをされている横で親は椅子に座って軽く説明を受けつつ待機。この間に、お店ではパンフレットにあった「ちょっと気になる」振袖を探しだして準備してくれます。
25分ほどかけてメイクを終えると、振袖とご対面。
店員さんは「せっかくなので他のもご覧ください。」
洋服にこだわる夫は、
「着物はわからないから」、
私と娘の好みはあまりにも違うので、
「娘の好きなのを」
ちなみに、子供が生まれて以来成人式のために月々貯金してきて、その予算が30万。それ以上のものを選んだ場合、自分のお小遣いから出すことになっています。といっても高3、値札を見てません。
歩いているだけです。200枚ありそうな振袖がたたまれ、床に並んでいますが、気にいるものがないようです。
「仕立て上がりを見てみる?」
と勝手知ったるお安い方へ誘導。
「仕立て上がりならサイズがあるから図りましょう」
店員さんは裄を図ってくれました。高3は腕を斜め45度くらいにおろしています。(今はこのはかり方が全盛ですが、毎日生活するには長すぎる仕上がりになると思います。)
「70センチです」と言います。私が礼装用が66センチ、娘の腕は私よりちょっとだけ長いので礼装用も68センチで行けるはずです。
長めの袖は写真映えはしますが、食事もしにくいし、トイレも不便です。ましてや活動的な袴には不似合いです。スポンサーとしては
「66か68で探して下さい。」と希望を出します。
不満そうな店員さんをしり目に高3は「これがいいです」
偶然サイズは68でした。
わたし「他に着たいのある?」
首を振る高3。
かくしてパンフレットの一枚と、仕立て上がりのものが一枚。合計2枚の振袖が並べられました。
この振袖やさんは正絹のセット販売です。
振袖(25万円~)を買うと、着付小物一式、和装バック(草履)、肌着、足袋つきです。
振袖レンタル(14万円~)の場合、着付け小物一式、和装バッグ(草履)が付きますが、肌着と足袋はつきません。
さらにホームページを調べるとこんな感じ。
購入とレンタルに共通なのは1~3
1、 マナー着付教室に3ヶ月入校無料!
または和食マナー講座親子で無料!
2、卒業式の袴レンタル20%割引!
3、ローンサービス10回まで金利手数料無料!
購入とレンタルで違うもの。2点。
4、成人式当日はもちろん何回でも着付が無料!
(レンタルは当日と前撮りのみ無料)
5、購入は自分サイズにお誂える選べる正絹長襦袢。
(レンタルは振袖にあわせた仕立て済みの正絹長襦袢。)
購入だけにつくもの。
6、羽毛ショール
7、小物バッグ一式
これらのサービスが付くので、お値段が高めなのです。
ただしうちの場合、
1、あってもいいかな。
下手に呉服屋さんに行くとものを買う仕組みになってますから。
2、袴レンタル、
大学生のときも20%オフなんでしょうか?
3、ローンではなく現金。
4、振袖の着付けは高いのでそれは助かりますが、晩婚の家系で、成人式の振袖は若向けです。それを着られる年齢に結婚式があるかどうか。友人の結婚式にはOKなものを選んでもらう必要があります。しかも、結婚式はカジュアル化されてますから振袖というだけで、「花嫁より着飾ってる」と思う人たちもいるようです。
5、長襦袢反物と礼装用長襦袢があるので、それを仕立て直すと5万くらい。
6、羽毛ショール、いらないそうです。
7、小物バッグってなんだろう? あると助かるのかな。
つまり高3が着物屋さんで振袖を買う理由は、すごく気に入ったか、成人式のメイクと着付けの予約があるからです。
高3「仕立て上がりの方がよい」と当てます。羊のひづめみたいな半分だけの足袋(衝撃の足袋でした)をはき、洋服の上から着物用の襟をしばりつけます。
多くの着付けの人は老いも若きも「着崩れならじ」と紐をきつく締めるので苦しいです。それを防ぐために、補正のパット(タオル)を持って行ったら
店員さん「当てるだけなのでいりません」
うちの娘は骨皮筋衛門で、きつい肌着が苦手だからいるんだよ、と思ったのだが、ここは引っ込みました。
選んだ振袖を軽~く着て、腰ひもを閉め、前を整えて、袴を前からあててバランスをみます。満足そうな娘。
袴との相性はもちろん、娘にも似合う。
しかし、
私の心の声(それは、せいぜい25歳くらいまでの派手さ。レンタルなまだしも買いたくない。)
店員さん「他のあててみましょうか。」
疲れた様子の高3は困惑。代わりに断ります。
「その必要はないです。」
今度は店員さんが困惑。
店員さん「じゃ、バッグをみましょうか。」
たいてい草履とバッグは同じ生地を使ったセットなのです。
高3は20個くらいの中から、なかなかかわいいバッグを発見。西陣織です。お値段4万円。
正絹ですが、使用年齢は29歳くらいまでと思われる可愛さで、結婚が遅い我が一族としてはもう少し安いものか、長く使えるよう地味なものが望ましいです。ましてや袴着用予定なので金色の草履は白に交換してほしいところ。
わたし「草履は交換できますか?」
店員さん「鼻緒ですか? 台ですか?」
わたし「台です。台を白に」
店員さん「鼻緒はお値段かかりますが替えられます。ただ台の変更はできません。」
「無理なのね」とするとこの草履に用はないです。このバッグ一個に4万円はありえない。
夫にふりむきます。夫はタイムキーパーです。
わたし「今何時?」
夫「11時15分」あと15分で予約した1時間半になります。
わたし「では時間です。ありがとうございました。」
大体の流れはこんな感じでした。ほかのお客さんはおらず、普通は二時間ほどかかるようです。
このご時世、30万以上の買い物をするなら一度で決める必要はないと思います。普段身の回りにない物というのは、見慣れないゆえに、価格と価値があっている品かどうか分かりません。なので一度で決めるのは危険です。
その割に着物の単価は高いのです。新品なら諭吉さんは10人から、30人で普通、ちょっといいなと思えば諭吉さんが50人必要になります。しっかりお財布様と相談しましょう。
また、「日にちだけでも予約しないと(いい枠が)なくなってしまいます」と言いますが、これは本当です。なぜなら「振袖のヘアメイク、着付けは2時間ちかく見てほしい」からだそうです。
成人式の受付時間がありますので、のんびりしていると朝4時起きの場合があるのです。「絶対着る! みんなと同じがいい!」という強い意志があるなら別ですが、うちみたいに「どうしようかな」レベルならよく考えるのをお勧めします。
おまけ
帰り際、店頭にかかっていた浴衣をご満悦で品定めする高3。仕立て上がりで1万円。約5分で決定、自分のお小遣いで買いました。こちらは良い買い物ができました。お世話になりました。