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手のひら日記 029

 スーパーのレジに並んでいたら、おばあさんの怒った声が聞こえてきた。レジ袋を購入するって言ったのに、レジ係がレジ袋を渡さなかった事に腹を立てている様だった。「ちゃんと、話しを聞きなさいよ!」と怒鳴っていた。付き添いで来ていた息子さんらしき人が、怒っている母親をなだめながら、店員さんに「大丈夫だから。気にしないで」と言っていた。
 レジ係の人を見ると、ヒョロッとした真面目そうな学生アルバイトの様だった。何だか、息子とダブった。それで、私のレジが終わってレシートを受け取る時、せめて心を込めて「ありがとう」と言おうと思った。
 そして、私の番になった。レジの子の顔を見たら、なんと息子の同級生の弟君だった。小さい時から知っている子で、家に遊びに来た事もある子。一緒にUNOをしたなあ~。プールにも行ったなあ~。恐らく、今、高校2年生くらいだ。大きくなったなあ~なんて思いながら、黙っていた。相手は、私には気が付いていなかったので。
 そして、自分も、もしかしたら、その時の機嫌で、カスタマーハラスメントをしているかも知れない。誰もが、誰かの大切な子供なんだ。頑張っている若者には、影ながらでも応援してあげるくらいの人間になろうと思った。