KLOMATIC2
pm1:00
ラヴガールズ地方には既に入っている。
一同は一度トイレ休憩を挟み、軽く食事を済ます。
中々トイレから戻ってこない長髪に便所は業を煮やし、口汚く罵っていた。
再び進行を開始する。
pm3:00
目的地が近くなってき、長髪に罵声を浴びせ続けていた便所男も徐々に寡黙になってきていた、、、
そうしてしばらく経過したあとのこと、、
「おい、長髪、悪かったな、俺も今日は気が立ってん。勘弁したってな」
便所男は、いつもと違う今日の試合について話し始めた。
「今日俺らが行く場所はなぁ、中々厄介な場所やねん。アウェイは慣れとるけどな、いつもとちょっとちゃうねんな。なんや情報が少ないで、一回視察行ったけどな、いまいち見通しつかんねや。やけん今回、長髪、お前に声かけてんや」
長髪という男はメカニックを生業としておりその中でもごく一部の者が取り扱うマシンを整備していた。
それがcanonシリーズと呼ばれるマシンであり、便所男は斥候と突貫を兼ねた役割として今回長髪を召集していた。
「な、やから今回のスタートダッシュ切れるかはお前にかかってん。そろそろHi-cannon始動させときや」
便所男はそう優しく声をかけ、長髪の様子を伺う。
(まぁ、ハイキャンが上手く回ったらB3までは楽に行けるかもしらん。失敗したら失敗したでコイツ捨て駒にしたらB1くらいは盾代わりなるやろ。そん後の為に唐辛子も呼んだんや。今晩は絶対「男退」の鼻明かしたるで。それまでは長髪には気分よぉおってもらわなの、、、)
それぞれの思惑を胸に便所一同は決戦の地へ到着するー
pm4:00
舞台の近くに車を止め、4人は近くを視察することから始める。
街の空気、その周辺の気配、徘徊する人種、便所男は全てに眼を光らせていた。
舞台の近くをぐるりと偵察し、4人は一旦車に戻る。
「さて、ほんじゃあ長髪、ミッション開始や」
それを聞いて長髪は鞄からラジコンを操作するような大型のリモコンを取り出し、スイッチを入れる。ONというスイッチが赤く点灯し、小さめの画面が光り、周辺のMAPが表示された。
「現在Hi-canonはここから15分程のところに待機しております。時間は18時に襲撃をかけるように設定しております。このままで行きますか?」
便所男はシケモクに火をつけながら、考える。
「そうしよか、まだ時間もあるし、飯でも食いに行こや」
pm5:00
一同は寿司天国という居酒屋に入っていた。
大量のイカの天麩羅、大量の手羽先を頼み、それぞれアルコールを摂取する。
2ℓ近くアルコールを飲んだ唐辛子に便所男は叱責しながら店に取り付けられた鳩時計をチラチラと見ている。
pm5:50
突然長髪の大型リモコンのアラームがけたたましく鳴り響く。
慌ててリモコンを取り出す長髪。
「⁈」
どないしてん、と声をかける便所男。
「いや、Hi-canonが動き出しているんですが、何故かこちらに真っ直ぐ向かって来ている、、、」
はぁ?という便所男を横目に長髪はガチャガチャとコントローラーを操作し軌道修正を図る。
「だ、駄目だ、操作不能、、ぼ、暴走⁈」
Hi-canonと呼ばれる生体マシンは極度の飢餓状態に落ち入り、凄まじい嗅覚を発動。
長髪が食事をしていることを10㎞先から嗅ぎとり寿司天国に襲来しようとしていた。
便所男が舌打ちをすると同時に店の入口のガラスが木っ端微塵に粉砕される。
全長180㎝重さ2tを誇る重機関車が時速40キロのスピードで突進してきていた。
「かわせぇえ!」
便所男が叫ぶ。
突進してくるHi-cannonに巻き込まれミンチになる店員や一般の客。「お、お客さまぁああ''あああ''
メコシャアッと凄まじい音が響き、便所一同が囲っていたテーブル周辺は煙が立ち込めていた。
「あぁ!」
「どないした長髪⁈」
「リ、リモートコントローラーが、、、」
便所男が目を凝らすとそこにはひしゃげた大型リモコンが転がっており、プスプスと煙を立てているのが確認された。
「おいおい、どないすんや長髪!」
「げ、現在Hi-canonはエネルギー摂取に夢中です。その間に緊急接続を施します」
見るとそのHi-canonと呼ばれるマシンは散らばった天麩羅や手羽先を貪り漁っていた。
pm7:00
長髪はなんとかHi-canonの主導権を取り戻し、一同は試合会場「男退」の目の前まできていた。
「チッ、おい長髪ぅ、大分算段が狂ってもうたが。お前責任とって先陣切ってこいや」
長髪は冷や汗をかきながら頷く。そしてHi-canonを前衛タンクとして作動させ、地下への階段を降りていくのだった。
今宵のデスマッチが幕を上げる、、、