見出し画像

日記 #100 必要だが十分ではない

 毎度、この言い回しがスッと頭に入ってこない。仮にも数学科卒、しかも数理論理学が専門だったのにである。

 必要条件と十分条件について再確認しよう。

P ⇒ Q が成立するとき、PをQの十分条件といい、QをPの必要条件という。

「P ⇒ Qが成立する」という前提のもとでは、「Pでさえあれば、Qであるためには十分」なのだ。だから十分条件と呼ぶ。なるほど。

 分からないのは必要条件の方だ。日本語的にパラフレーズすれば、(先述の前提のもと)「QであることはPであることに必要」である。。

 具体例を考える。「△ABCが正三角形ならば、△ABCは二等辺三角形である」という式を考える。十分条件の方は簡単で、△ABCが正三角形であることは、二等辺三角形であることに十分だ(つまり正三角形であることの方が条件が厳しい)。反対に、△ABCが二等辺三角形であることは、正三角形であることに「必要」だ。△ABCが二等辺三角形ですらなかったら、正三角形にはなりえないからだ。なるほど、こう考えるとしっくりとくる。

 つまり、QであることはPを成立させる一つの条件に過ぎない、ということ。また具体例を挙げる。「豪華な家に住んでいる人ならばお金持ちだ」という式だ。これは、豪華な家に住んでいることは、その人がお金持ちであることを示すのに十分だということ。かつ、お金持ちであることは豪華な家に住むために必要な条件ではあるが、豪華な家に住むためには金で解決できないこともある(たとえば土地の問題とか、そもそもの「住みたい」という欲求の問題とか)。なるほど、やはり具体例で考えると、「○○は☓☓であるための必要条件だけど十分条件ではない」は納得のいく言い回しだ。

 つまりP⇒Qが真のとき、

  • (必要条件)Qが真であるだけではPが真か偽か定まらない(P⇒Q ⇔ ¬P∨Q なので)

  • (十分条件)Pが真のときQは真にならざるを得ない(同様の理由により)

というわけだ。

「お金持ちなんだから豪華な家に住んでるんでしょ」という言葉に対しては、「いや、お金持ちであることは豪華な家に住むことの必要条件だけど十分条件ではないでしょう? すなわち『お金持ちだから豪華な家に住んでいる』のではなく、『豪華な家に住んでいるからお金持ちなのだ』である」と返すのが正解である。

 うーん、これだと「豪華な家に住むことがその人をお金持ちにした」ように受け取れてしまう。

 正確な言葉遣いは難しい。また考えましょう。

以上

* * *

3/15の作業ログ
作業時間:50分
作業内容:コードネーム[SQ]1,300文字執筆

いいなと思ったら応援しよう!