![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158681094/rectangle_large_type_2_f6b205bea397ee03c6c7f2162ce40c64.jpeg?width=1200)
関東在住の人間が「全国」のNコンの観覧に行ってきた話
以下の記事の続きです。
(読んでいただいたほうが背景がわかりやすいと思います)
タイトルも前回のものを踏襲していますが、今回のだけ見るとなんのこっちゃですね。
NHKプラスの見逃し配信が終わるまでに書き終えたかったので割としっちゃかめっちゃかです。ご了承ください。
はじめに
「折角だし全国のNコンの観覧申し込んでみるかー、まあ倍率めっちゃ高いらしいしどうせ当たらんやろ笑」
![](https://assets.st-note.com/img/1729418069-C2TRo4A5HB6rKqIWVtbFfgc7.jpg?width=1200)
そんなノリで申し込んだら見事当たってしまいました。しかも中学校の部。
とても嬉しいのですが、昨年とある中学校の演奏に魅せられて、今年になってその学校の演奏のために日帰りで愛知まで行って、そして全国の観覧まで引き当てているわけで。
何か人ならざるものに突き動かされているような衝動というか、一区切りをつけるよう強いられているような強迫観念というか。そんな理性的には説明できない現象の最中にいるのではとこじつけてしまいたくなりますね。
結果としてNコンに限らず合唱を中心に過ごしたような一年間になったわけですし。
ちなみに同時に申し込んだ高校の部は落選でした。高校の部も直に聴きたかったのですが贅沢は言えません。大人しく自宅のテレビで観てました。
個人的には岡山城東高校さんの「RIVERS OF LIGHT」の包み込まれるような響きが魅力的でした。
歌詞に北欧の先住民族であるサーミのヨイク(伝統歌)が織り込まれており調べれば調べるほど知識欲を刺激される曲だと思います。
コンクール開始まで
今回は演奏の合間に感想や解釈の欠片だけでもメモするためにクリップペンシルと小さいメモ帳を持って行きました。アンケート用紙とかについてる平べったい鉛筆みたいなアレです。
![](https://assets.st-note.com/img/1729419910-TuNChqB1SUcJLtgyeVpR5Izn.jpg?width=1200)
実はブロックコンクールの感想を書くときにどうしても上手く思い出せない学校さんが1,2校ありました。耳触りのいい演奏だったと言ってしまえばそれまでなのですが、それでも実際に聴いてる時には僅かでも何かしら思うところがあったはずです。それを表現できないのが非常に辛く、歯噛みする思いでした。
ましてや今回は聴きたくても聴けなかったかもしれない全国コンクールです。そんな思いは二度としたくなかったので真っ先に用意しました。
演奏中はポケットに突っ込むつもりでしたが、万が一落としてしまった時に音が発生しにくいものが欲しくてこのタイプにしました。
流石にこれは数十本単位でまとめ買いか……?と思いましたが某大型雑貨店チェーンでバラ売りしてました。ありがとうハ〇ズ。
当選した入場券は1枚で2人入場可能なものだったのでTwitterのフォロワーさんに同伴してもらいました。
作詞とか音楽、芸術関係に嵌まるきっかけは大体この人のせいなのですが、合唱とかNコンについては「水さんが勝手に沼に嵌まっただけですからね? 僕は何もしてないですよ?」と釘を刺されています。割と事実なので何も言い返せません。
当日は原宿駅から歩いてNHKホールへ。もちろん初めての来訪です。
開場してから20分後くらいに到着したせいか入場や着席はスムーズでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1729418197-F7IPpEXNOazxR8g5u63oKcYv.jpg?width=1200)
メモの用意をしたり本当に携帯の電波がジャミングされてるとかはしゃいでたりしてたらあっという間に開演時間になってました。ブロックコンクールと同様に拍手のタイミングや注意事項の説明がありました。
テレビで生中継されるレベルのコンクールなこともあり、正直この時点で結構ガチガチでした。この異常なくらいの緊張しいは早く治したいところなのですが……。
演奏の感想らしきもの
ブロックコンクール以上に表現の幅が広く、圧倒されっぱなしでした。アピールしたい箇所の声色の使い分け、パート間で対話するような歌い方、演劇の語り手のような発声……挙げればきりがありません。
情報量が多すぎて上手くまとめられそうにないので今回はお気に入りの演奏をいくつかピックアップする形にさせていただきます。
(素人が視た錯覚に基づく感想です、技術的なことは全くわかりません)
仙台市立第一中学校さん
課題曲は柔らかく芯のある声で歌うことで、変わろうとする確固たる意志のようものを感じました。
自由曲の「―空と涙について―」は切なく艶やかに、叶わぬ恋の嘆きを観客に問いかけるような演奏をされていたように思います。序盤の静謐な雰囲気と終盤の盛り上がりの対比がとても美しかったです。
新居浜市立東中学校さん
課題曲は変化していく過程を表現したような演奏に聴こえました。
始めは少し柔らかく、曲が進むにつれて徐々に力強い声に変化していったのがそう思わせたのかもしれません。
自由曲の「影絵」も声の明暗が魅力的で、どこかミュージカルの一節を観ているような感覚を覚えました。
特に最初の影の濃さを描写する箇所と太陽の眩しさを描写する箇所では、前者をすべらかな低音で、後者は溌溂とした声色で表現されていました。その対極の位置にある事象の間を滑らかに、芯の強い声のまま遷移していく様がとても素敵でした。
札幌市立東白石中学校さん
課題曲は背伸びをして「大人」になっていこうとする印象の歌声でした。
中学生らしい少しあどけなさを残した声でどこか強かな歌い方をされていたせいでしょうか。
自由曲の「~序・泣いているきみ~」には声による表現の可能性を再認識させられました。
一音一音が何か柔らかいもので包まれたような、豊かな情景を孕んだ声で舞台全体を満たしていくような感覚がとても新鮮で、終わった後も少し惚けてしまいました。
これが余韻を味わうということなのでしょうか。兎にも角にも初めて尽くしの感覚だらけでした。
もちろんその他の学校さんも素敵な演奏ばかりでした。
どんな耳と脳みそと胆力を持っていればこの演奏たちを審査できるのかとても気になります。(嫌味などではなく純粋な敬意からの考えです)
審査とか全員合唱とか
すべての学校の演奏が終わった後はスペシャルステージとして緑黄色社会さんの「Mela!」の合唱やご本人たちによるライブがありました。
以前はこの時間帯(審査の時間)は出演校の生徒さんが即興で歌ったりピアノ演奏をされていたそうで。その様子もちょっと気になるところです。
参加要項の評価基準は確認しましたが、門外漢であることには変わりないので審査結果にはあまり言及しないでおきます。それでも岩手・北上の6校合同の金賞はとても興味深かったです。
少子化や教員の働き方改革、部活動指導の外部委託という時流の最中で、如何にして初等・中等教育の期間に合唱活動を行うのか、演奏技術を磨いていくのか。これからどのように「チェンジ」していくのか観察してみたいと思います。少し怖くもありますが。
結果発表後の全員合唱は歌おうか少し迷いましたが、結構な数の方々が立っていたので私も参加させていただきました。どうせ黙ってても座席の位置的に生徒さんの歌声は聴き取りづらいので。
コンクール終了後に見逃し配信で聴き直しましたが、ブロックコンクールと同様に重荷から解放された「安堵」に近い感情が多くを占めていたように思います。
しかし今回はその「安堵」が達成感も悲壮感も寂寥感も入り混じった、一言で言い表せない複雑な感情で包まれていたような気がします。
生放送終了後は正式な表彰式、作曲家の方などからの講評がありました。一応評価は合唱部分だけのはずですが、ピアノ演奏などについても講評があったのはちょっと驚きでした。
おわりに
コンクールが完全に終わり退場のアナウンスがあった時、力が抜けてしまい上手く立ち上がれませんでした。一年近く一心に追い求めてきたものが終わってしまったせいでしょうか。燃え尽きて寂寞感のような感情に襲われていました。
NHKホールを出た後はフォロワーさんと感想や解釈を話し合ったり、見逃し配信でどんな放送の仕方をされていたのか確認したりしながら過ごしていました。
翌日はお休みを貰っていましたが、頭に様々な情報が残りまくっていたところを見ると正解だったようです。おかげで散らばっていた思考をある程度まとめることができました。
今回は「好きな演奏を探しに行く」くらいのつもりで観覧に赴きましたが、想像以上に表現の幅が広く脳みその情報処理が案の定追いつきませんでした。一週間近く経った今もまだどこかぼんやりしています。
追伸:「小さな1マス」から始まった「冒険」
綿毛みたいに風に任せ 飛べた頃を羨むけど
空中からじゃ見落とすような小さな1マス そこであなたに会えたんだ
昨年(2023年)の中学校課題曲、「Chessboard」の一節です。
若干こじつけにはなってしまいますが、今の私にとってこの「小さな1マス」は「合唱」のことであるように思います。
今回の観覧で、昨年のコンクールも現地で直に聴けたらどんなによかったか……!と何度も思わずにいられませんでした。
しかしそのような催しに行ける体調でなく、テレビやネットで聴くことしかできなかったからこそ、ここまで合唱やNコンに惹かれたのだと思います。
もし昨年に何らかの巡り合わせがあって現地で観覧していたらそれだけで満足していたかもしれません。現地と映像ではどうしても空気や聴こえ方が変わってしまうので。きっかけになった福井の明道中学校さんの演奏に入れ込むこともなかった可能性すらあります。
体調を崩したことを喜ぶつもりは毛頭ありませんが、それが糧の一つであったことは事実です。
自らのアイデンティティである「地図」が課題曲のテーマになっていたこと、地図をモチーフにした詞を書きあげたばかりだったこと、全国コンクールという舞台でも楽しむような演奏に出会えたこと……。
そんな要素たちが同時期に重なり合った結果が今の私です。様々な合唱曲に触れ、読めないけど面白そうな楽譜があれば買い漁り、気づけば一年前にテレビで観ていた景色を現地で観ていました。
ここまでくると運命論を信じてしまいそうになってしまいますね。
目にした全てが初めての冒険
時には恋とか覚えたりしながら
美味しそうなものは食べてしまおう
渋くても消えない 紛れもない 経験たちだもの
本当に怒涛の一年でした。「旅路」より「冒険」と表現した方が相応しいくらいの。それくらい衝動のままに動いていました。
実は全員合唱ではこの「冒険」の情景を思い浮かべながら歌っていました。
とはいえ10年以上ぶりの合唱です。当然巧く歌えませんでした。
何か感情を込めたい、でも込めるべき感情がわからない。
楽しい時間ではあったのですが、どこか不完全燃焼でした。
まさしくこの一年は「目にした全てが初めての冒険」だったはずです。
驚きや喜び、寂しさなど多くの感情を味わったはずなのですが、整理がつかなくなってしまい楽譜通りに歌おうとすることしかできませんでした。
それくらい久しく何かに狂えていなかったのでしょうか、どうやらまだまだこの「冒険」を続ける必要があるようです。
この一年で仕事にも大きな変化が生じ、公私共に環境が一気に変わってしまいました。体調と仕事のバランスを取りながら綱渡りしているような状態です。
それでも折角再開させた歩みです。もうしばらくは「美味しそうなもの」を羅針にして、気の向くままに歩を進めていきたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
![](https://assets.st-note.com/img/1729417575-UvgMW6TRGdf02rEanyXAjFit.jpg?width=1200)
水