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Nコンで地図を描く

はじめに


昨年のNコンのキャッチコピーが「合唱で地図を描こう。」だったのを思い出したので色々描いて(書いて)みました。

遊びで作ったので有用性は二の次です。
便宜上数値に基づいて順位付けをしていますがそれで優劣をつけるつもりもありません。あくまで知りたいのは地域的な特性なので。

どちらかといえば「好きなもの同士を組み合わせたらもっと面白いものができるのでは?」という好奇心の方が強いです。

地図を描いたら満足したので解説や考察もかなり適当です。
ご注意ください。

作成の流れ

白地図の準備

まずは白地図を用意します。

これは学生時代に使ってた都道府県のイラレデータを流用すれば楽勝……と思ってたら北海道が特殊な地区割りをされていたのを思い出して急遽作成することに。

Nコンのサイトを見ても対象地域がわからなかったのでNHK北海道のサイトで確認しました。地区名からして複数の振興局(旧支庁)がまとまっているだけだろうと思っていたのですが……。

札幌放送局 石狩、中・南空知、後志地方
函館放送局 渡島、檜山地方
旭川放送局 上川、留萌、宗谷、北空知地方
帯広放送局 十勝地方
釧路放送局 釧路、根室地方
北見放送局 オホーツク地方
室蘭放送局 胆振、日高地方

https://www.nhk.or.jp/hokkaido/station_info/channel.html : 2024年12月28日を参照
(太字処理は筆者によるもの)

何故か分割されている振興局がありました。
(札幌と旭川のちょうど中間にある地域です)

北・中・南空知の定義が不明なので、ひとまず今回は空知総合振興局のHPに掲載されていた資料の区分で描くことにしました。

北空知:深川市、妹背牛町、秩父別町、北竜町、沼田町
中・南空知:上記以外の空知総合振興局の市町

https://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/gaiyo/index-14.html : 2024年12月28日を参照
(「03 空知のすがた」より)

その後は国土数値情報の行政区域データを利用して何とか放送局単位の白地図を作ることができました。
イラレ自体使うのが数年ぶりだったので操作方法を思い出す時間の方が長かったかもしれません。

海岸線と比較するとかなり大雑把に描いているのがわかります
(よくここまで細かく描いたな、学生時代の私……)


統計情報の加工

お次は分析に使う地区別の全学校数の情報を用意します。
こちらはe-Statから「学校基本調査」(文部科学省)を利用しました。

こんな感じの資料です
北海道だけこんな加工が必要になってしまいました


今回の集計の対象にした学校は以下の通りです。
義務教育学校は小・中それぞれ1校として、中等教育学校は中・高それぞれ1校としてカウントしています。

※私が勝手に作った基準です

今回対象外にした学校も出場可能かつ参加実績がある以上対象にしたかったのですが、市区町村別の数の把握が困難、該当する課程が不明という理由で諦めざるを得ませんでした。
中等教育学校と高専も市区町村別の統計はありませんでしたが、北海道内の校数が少なかったおかげで自力で調べられたのがまだ救いです。

Nコン参加校の調査

ぶっちゃけこの作業が一番しんどかったです。

地区コンクールのページから参加校の情報を調べていくのですが、公開の仕方が全然統一されていないんですよね。

大抵は演奏順のリストがPDF化されている(ただし書式もリンクの位置もバラバラ)のですが、予選が多く何枚もリストがあったり、そもそもリストがなく案内ページに直に記載しているところもあったりとなかなか骨の折れる作業でした。

歌唱形態とかもデータベース化して色々やってみたかったのですが流石に諦めました。学校名しか載っていない地区も多かったので。
北海道の各地区みたいにプログラムをアップロードしてくれる形だと色々情報が載ってて助かるのですが、この時期まで案内ページを残してくれてる以上贅沢は言えません。

特殊な参加形態のカウント基準は以下の通りです。

・複数校合同チームの場合は学校数でカウントする
→複数校合同と一口に言っても様々な形態がある、地区別の全学校数との整合性が取れなくなるなどの観点から学校数でカウントしました。

時折地域の合唱団の参加に否定的な意見も見受けられますが、当のNHKは有志の合唱団の参加を参加手段の一つとしてアピールしています(もちろん参加規定に沿った上でですが)。

有志の合唱団やほかの学校との合同参加もOK!

https://www.nhk.or.jp/ncon/entry/pdf/ncon2024_sanka.pdf : 2024年12月28日を参照


・フリー参加校はカウント対象にする

→コンクールの意義からは少し外れてしまいますが、個人的には合唱を楽しむことが最大の目的だと思っているので。
ただしコンクール部門・フリー参加部門の両方にエントリーしている学校はコンクール部門のみカウントしています。

・地区コンクール時点での棄権もカウント対象にする
→棄権の理由が分からない以上、参加意思があったものとしました。
せっかく練習したのに事故や感染症などで泣く泣く棄権したという可能性もあるので。フリー参加校をカウント対象にした考え方と似ています。

目視でカウントしたため数え間違いがあるかもしれません。
その点についてはご容赦ください。

成果物

参加校数

まずはベーシックなテーマから。

各部門の色分けは今年のNコンon the Webを参考にしました。

濃淡については某表計算ソフトのテーマカラーを使ってグラデーションぽくしています。何か傾向が見えやすくなるかなと思ったので。

却って見づらい気もしますが私が楽しいのでこのまま進めます。

全部門比較用(PC・タブレット推奨)

◆概観
割とはっきり東日本に集中しています。
校数で考える以上人口が多い地区が濃くなるのは予想していましたが、西日本があまり参加校が多くないのが意外でした。

◆北海道ブロック
(道央、道南、道北、十勝、釧根、北見、室蘭)

全部門合わせて119校、全参加校のうち7%を占めるブロックです。

札幌を含む道央が頭一つ抜きん出ている印象ですね。
特に中学校の部は41校・34組と、千葉や埼玉とほぼ変わらない規模となっています。加えて先の2県は予選を行っていますが、道央については本選を2日に分けて各日の金賞校を地区代表にしているようです。

移動距離・頻度を最小限にして、会場へのアクセスに係る負担の軽減を目的とした仕組みなのかもしれません。

また岩手・北上の6校合同の全国金賞が話題ですが、北海道でも道央から6校合同、釧根から5校合同がそれぞれ1組ずつ出場しています。
それにちなんでなのかはわかりませんが、釧根の5校合同チームは自由曲も混声五部で参加されていたようです。

ちなみに今年の中学校の部で仙台の中学校さんが自由曲で演奏されていた「―空と涙について―」(「恋の色彩」より)は、2018年の全国コンクールで旭川東高校さんの指揮者をやっていた生徒さんが一昨年作曲された作品だそうです。
このように紡がれていく縁を知ることができるのはやはり楽しいですね。

◆東北ブロック
(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)

全部門合わせて221校、全参加校のうち13%を占めるブロックです。

小学校・中学校は福島、高校が宮城がトップとなりました。
中学校の部の岩手は北上の6校合同チームが計算に影響しているものと思われます(21校・16組)。

個人的には福島の高校の部が8校と少なめなのが意外でした。郡山や会津などの強豪校に自然と集中していってるのでしょうか?

ちなみに福島で合唱が盛んな理由として、

・1970年代に東京から指揮者を招いて指揮のノウハウを学び、県内の人事異動や後進の指導者を通じて技術が広まっていった

・戦後の郡山市は治安が悪く「東北のシカゴ」と呼ばれていたが、多くの公演や音楽会、市民コーラスなどによって「東北のウィーン」と呼ばれるようになり「音楽都市」を宣言するまでに発展した

などの理由があるようです。

小・中学校の部の地区コンクールについては「福島県下小・中学校音楽祭」という催しを兼ねているようです。
「合唱」の他に吹奏楽や管弦楽を行う「合奏」、作曲を行う「創作」の部門もある催しとのことで、音楽に親しみを持てるような土壌が県全体で醸成されているように感じました。

こういった外れ値から風土や歴史を紐解いていくのも地図を描く際の醍醐味ですね。

◆関東甲信越ブロック
(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野)

全部門合わせて687校、全参加校のうち40%を占める国内最大のブロックです。もちろん東京がぶっちぎり……と思いきや小学校の部の長野が97校と東京に倍以上の差をつけています。全部門合計でもトップですね。

長野県大会の案内ページを確認したところ、「長野県学校合唱大会」という催しも兼ねた大会のようです。「長野県史」などに尋ねてみたものの、どのような性質を持った催しなのかは把握できませんでした。現地の図書館でレファレンスをお願いするのが一番有効かもしれません。

県内の約1/4の小学校・中学校・高校が参加しているところをみると、何か参加のハードルを低くしている要素があるのかもしれません。

少なくとも県内各地域(5箇所)での予選は、学校の立地によって発生するハンディキャップの軽減に一役買っていそうです。

あとは神奈川の小学校の部で7校と控え目だったのが、中学校の部で56校(5位)、高校の部で34校(2位)になっているのも興味深いところです。

◆東海北陸ブロック
(富山、石川、福井、岐阜、静岡、愛知、三重)

全部門合わせて202校、全参加校のうち12%を占めるブロックです。

人口の差のせいか愛知一強になってしまいますね。
神奈川同様、小学校は11校なのに対して中学校は61校と一気に増加するのはやはり気になるところです。

また、石川の小学校の部で7校合同というおそらく今回最多の複数校合同チームが参加していました。

◆近畿ブロック
(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)

全部門合わせて166校、全参加校のうち10%を占めるブロックです。

都市圏の規模の割に全体的に控えめな印象を受けました。
兵庫や大阪は割と多いのですが、京都の参加校があまりないのが意外でした。その代わり高校の部において奈良が大阪や兵庫とほぼ同じ校数参加しています(12校)。

少し話は逸れますが、無指揮でコンクールに参加する学校さんも完全にイレギュラーな訳ではないようです。確認できた限りでは兵庫・大阪で各2校指揮者なしで出場されていた中学校がありました。

ここから西は人口規模の割に参加校数が少ない地区が増えてきます。

◆中国ブロック
(鳥取、島根、岡山、広島、山口)

全部門合わせて95校、全参加校のうち6%を占めるブロックです。

広島・島根が若干多めかな?くらいの印象でしょうか。
人口だけで考えると北海道よりも200万人ほど多い地方のはずなのですが、参加校はあまり多くないようです。

◆四国ブロック
(徳島、香川、愛媛、高知)

全部門合わせて75校、全参加校のうち4%を占めるブロックです。

最も参加校の少ないブロック(人口規模からみれば当たり前ですが)ながらも、中学校の部は中国ブロックとほぼ同じだったりとまだまだ合唱熱は健在のようです。

個人的には昨年のNコン生放送で放映された、小豆島の学校の船上合唱の様子が印象に残っています。
離島であってもフェリーなどの公共交通が身近であればこういった舞台を経験しやすいという好例のようにも思います。

◆九州・沖縄ブロック
(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

全部門合わせて175校、全参加校のうち10%を占めるブロックです。

気持ち福岡が多めであとは満遍なくかな?という印象です。
沖縄は小学校の部の参加校が若干多い代わりに、高校の部で唯一参加校が存在しない地区になってしまいました。

長崎の五島列島はNコンと合唱曲「手紙」を主軸に書かれた小説「くちびるに歌を」の舞台で有名ですね。今年も小学校の部で参加されたようです。

余談ですが「手紙」もいつまでも惹かれてしまう曲だと思っています。
過去の自分には決して届かない返事、現在の自分のどうしようもない寄る辺なさ、未来の自分に縋りつきたくなるような微かな期待。
そんな事象が「十五歳」だけでなく生を受けている限り繰り返されるのではないかという、救済にも呪縛にもなる詞だと思います。

参加率

お次は参加率(らしき何か)です。
純粋に校数で比較してしまうと、どうしても人口が多い所ほど目立つので参加率らしきものを算出します。

普通にパーセンテージで出してもいいのですが、少しわかりづらいので特化係数の計算式を利用します。

特化係数とは、例えば、ある県の産業別の構成比を全国の平均的な構成比と比較することで、その県がどの産業に特化しているのかを示す指標です。ある県の産業の構成比を全国の平均的な構成比で割れば算出できます。

https://www.stat.go.jp/naruhodo/10_tokucho/sonota.html : 2024年12月28日を参照

ある産業の特化係数が1より大きいと、当該都道府県において、その産業が占める割合が、他都道府県に比べて大きく、1より小さいと他都道府県に比べて割合が小さいことになります。地域間比較を行う場合、産業別構成比を用いると、全国共通的に規模が大きな産業の影響により、地域の特色が分かりにくくなりますが、特化係数ではこの影響を取り除いて比較することができます。

https://www.stat.go.jp/data/e-census/topics/topi1150.html : 2024年12月28日を参照

今回は
参加率 = 地区の参加校数 / 地区の全学校数
全国平均 = 全参加校数 / 全国の学校数
特化係数(x) = 参加率 / 全国平均
といった具合で進めたいと思います。

上記の引用の通り本来は産業別の構成比などに使うものなのですが、そこはまあ、「参加した学校」「参加しなかった学校」の特化係数ということで……(苦し紛れ)。
ぶっちゃけ今回のような分析だとこの手法もかなり危なっかしいのですが、それについては後ほど。

※各地区の特化係数と全国平均の積でおおまかなパーセンテージが分かります
例)長野(全部門合計) 5.54×5.07(%)=約28.1%

全部門比較用(PC・タブレット推奨)

◆概観
参加校数とはだいぶ違った印象になりますね。
全部門合計なら各ブロックに最低1地区は平均以上の参加率を示している地区があることになります。

ただしこれには大きな落とし穴があります。

北海道・釧根(3校・2組)の小学校の部を例にすると、
参加校は3校、地区内に存在する学校は小学校73校・義務教育学校7校の計80校です。
計算式に当てはめると参加率は3.75%・1.72となります。

仮にこれを校数でなく組数で計算すると、2.50%・1.14と大きく減少し区分も変わってしまいます(濃緑→薄緑)。

そのため地区によっては1校の増減で大きく変わってしまうことに注意する必要があります。
(もっとマシな方法があるとは思いますが、今回は私がたくさん地図を描きたかっただけなのでどうかご容赦をば……)

◆北海道ブロック
(道央、道南、道北、十勝、釧根、北見、室蘭)

参加校数とは打って変わっていくつかの地区が全国上位に出てきています。
これは全国の概観でも述べた通り、道央以外の各地区の学校数の少なさが影響しているように思われます。
※十勝、釧根、北見、室蘭はどの部門においても学校数が100校を下回っています

その代わりに全部門合計において道央(691校、9.12%・1.80)が上位に食い込んでいるのはかなりの参加率であると見ていいと思います。
北海道の人口がいかに道央(特に札幌圏)に集中しているかがわかるのではないでしょうか。

◆東北ブロック
(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)

全ブロックの中で唯一、すべての地区が1部門以上で平均を上回る参加率を示しています。

とりわけ安定しているのはやはり福島ですね。
高校の部は山形や宮城、青森が福島を上回る形となりました。

6校合同を含む岩手の中学校の部については組数で計算しても10.67%・1.23と全国平均を上回る参加率となっています。

◆関東甲信越ブロック
(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野)

こちらも案の定長野がぶっちぎりです。全部門グランドスラムとはなりませんでしたがそれでも桁外れの参加率であることは確かです。

高校の部の参加率が高い地区が甲信・南関東に密集しているのも特徴的ですね。南関東については私立高の多さも影響しているのでしょうか。

個人的に少し不思議だったのが埼玉です。
参加校数でも傾向は出ていましたが、人口規模の割に参加率があまり高くないんですよね。どのような要因が影響しているのか気になるところです。

◆東海北陸ブロック
(富山、石川、福井、岐阜、静岡、愛知、三重)

多くの地区の中学校の部で平均を上回る参加率が確認できました。

石川の小学校の部も3.90%・1.79と高い数値になっていますが、7校合同チームと1校の計2組の参加のため、組数で考えると0.98%・0.45と非常に大きく変わってしまう点に注意する必要があります。
この辺は校数で計算したデメリットが如実に出てしまいますね。

◆近畿ブロック
(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)

小・中はすべての地区で平均を下回り、高校の部で奈良が22.22%・2.52(全国2位)とかなり異例な結果となりました。
(全日本の合唱コンクールも似た傾向のように思います)

もしかしたら他の活動が盛んなのかもしれません。部活動の仕組みや考え方が他の地域と異なるのかもしれません。
それはそれで一つの特性なので機会があればもっと詳しく調べたいですね。

◆中国ブロック
(鳥取、島根、岡山、広島、山口)

島根が安定して高めの参加率を示している印象です。
交通の利便性が高い山陽より山陰のほうが参加率が高いのは興味深いですね。

とはいえやはりコンクールを勝ち進んでいくと交通費などの負担が大きくなってしまうようです。合唱コンや山陰地方に限った問題ではないですが、このような負担が部活動などで得られる経験に影響している可能性もありそうですね。

(以下のリンクは全日本の合唱コンの交通費をクラウドファンディングで調達する取り組みの一例です)


◆四国ブロック
(徳島、香川、愛媛、高知)

小学校は愛媛、中・高は香川・徳島が平均を上回る結果になりました。
特に香川は全国で比較してもかなり上位に食い込んできています。

◆九州・沖縄ブロック
(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

なかなか傾向が読み取りづらい結果になりました。

まず小学校の部の宮崎が6.36%・2.91(全国3位)とかなり突出しています。県内の対象校が236校あるため、校数自体が少ない北海道の一部地区とは異なり純粋に参加率が高めであると考えていいと思います。

中学校の部は熊本・大分が平均を上回る結果になりました。
こちらも決して校数が少ない地区ではないため(今回の分析の中では)比較的信憑性が高いものとみなしていい気がします。

一転高校の部は全地区平均を下回っています。
特に沖縄は全国で唯一参加校なしという結果になりました。

おわりに

手法の妥当性とか

論文ならば何かしら結論づけるところですが、あまりにも雑な手法で書き進めているので控えたいと思います。
会場アクセスなど参加校の地理的条件をほぼ無視してしまっていたり、各地区の地誌的な調査が不足していたりとかなり乱暴な分析になってしまっているので。

数年ぶりに主題図を描きましたが、久しぶりに地図を描く楽しさ(と論理的文章を書く力の無さ)をたっぷり味わえました。

そして同時に情報を発信することの怖さを再認識させられました。

今回何枚もの地図を描きましたが、手法の選定や凡例の設定(色分けなど)次第でいかようにも情報の見え方を操作できてしまうんですよね。

まず今回使用した階級区分図(北海道7地区+都府県)では面積の大きい地区がどうしても視覚的なインパクトが強くなってしまいます。
特に参加率の図では北海道が合唱大国のような印象を与えかねない結果になりました。

こういったデメリットについては2020年のアメリカ大統領選挙の選挙人獲得状況の図がいい例になると思います。
(面積だけで見るとどちらが優勢・劣勢か誤認しやすくなってしまいます)


凡例の設定については各区分で数の偏りがないように努めていましたが、これも区分の設定の仕方次第で印象を操作できてしまいます。
今回の地図を例にすると、参加校数の図については極端に校数が多い地区を目立たせるために「21~50校」という若干不自然な中間の区分を設けています。

また参加率の図についても、参加率が高い地区に焦点を当てるために平均を大きく下回る地区はすべて同じ区分にしています。

とはいえ考えなしに全部均等にしてしまっては、伝えたいことが伝わらないぼやけた地図になってしまいます。いかにして誤認を最小限にして凡例を設定するか、難しいところですね。

あとは分析対象と手法の相性がそもそもあまりよろしくない可能性も考えられます。

今回は参加率の算出に地区内の全学校数を使用する都合上、最小単位として「校数」を使用しています。
しかし小学校の部を例に挙げると2~35名と出場可能人数にかなり幅があります。(各パートに最低1名以上いればいいという考え方でしょうか?)

小学校の部は2人からでも参加OK!

https://www.nhk.or.jp/ncon/entry/pdf/ncon2024_sanka.pdf : 2024年12月28日を参照

小学校・中学校の部 35人以内

https://www.nhk.or.jp/ncon/entry/pdf/re_annai.pdf : 2024年12月28日を参照

そう考えると「人数」で算出したほうが誠実なのかもしれません。ただ残念ながら流石に各チームの歌唱人数までは把握しきれないので校数でお茶を濁しています。

もっともある程度の人数を確保するために複数校合同で参加した学校も多かったと思うので、組数で計算した方がまだ実情に近かったのかもしれません。

三つ子の魂なんとやら

趣味で描いたものなので堅苦しい話は一旦打ち切りで。

小学生ぐらいの頃によくオリジナルの桃鉄の路線図を描いて遊んでいました。当時自分が住んでいた町や北海道を舞台に、物件を考えたり路線の形状を描いたりしていくらでも時間を潰せていたのを覚えています。

そんな時期から20年近く経ちましたが、題材や手法に違いはあるものの根本的には同じことで楽しんでいました。ここ数年ほど向き合うことを避けていた事柄ではありましたが、結局この趣味からは逃れられないようです。

下手すると呪いですね。「のろい」とも「まじない」とも読めてしまう、表裏一体の性質のものなのかなとなんとなく考えています。

そういった意味では今回の記事は、合唱に出会った年の「合唱で地図を描こう。」という呼びかけへの、私なりの答えなのだと思います。

会社員というものを続けているとどうしても「実用的なもの」にばかり目が行ってしまいますが、地図や作詞、合唱など様々な「(今の職業にとって)実用的ではないもの」のおかげで会社員である前に「人間」としての形を何とか保てているように思います。


気が付けば合唱にのめり込み始めてから一年以上経過していました。

最初はNコン課題曲を聴くだけだったのが他の合唱曲に手を出し、詩歌に興味を持つようになり、遠方のコンクールの観覧に行ったりと正直自分でも予想できなかった動き方をしていました。

変わりどころとしては、とある合唱曲がきっかけで合唱に携わっているVTuberさんの配信も観始めました。VTuberという文化自体詳しくないので雰囲気やお作法など不慣れなところも多いですがなんだかんだ楽しんでいます。
そのきっかけになった作品は今でも大好きな詩・曲の一つになっています。

上記を踏まえると2024年はここ数年で一番変化に溢れた年だったように思います。来年もまた楽しく様々な知識や経験に触れられるような年になるよう願うばかりです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。