真鶴



気がつけば


海沿いを走っていた




ややきつい


帽子を被り



可能性と


生命を


持て余して




辿りつけば


何が 見えるのか



辿りつくまでに


何を 失うのか



そんなことは


考える必要が なかった





山の 緑の 深さ



海の 青の 深さ



我が 身の 軽さ





今夜の 寝床は 

どこだろう




それでも


帰る場所は あるのだと


漠然と


言い聞かせていた




この街も

今は 通過点でしかない



けれど

いつか また

来るだろう




多くを 失ったあとに


また



多くの

嘘と

多くの

重荷を



失ったあとに


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