A氏の朝
思えば
足早に
季節は過ぎた
今日は
最後の
出勤日
気にかける人も
まあ
いない
少年時代には
一日が長いようで
短かった
今や
十年の月日が
長いようで
短い
それにしても
だ
解雇とは
ふむ
懐には
いくらか金がある
このまま
定年まで
ゆっくりするか
しかし
何をする
何もしない
という
選択もあるのか
これは
自由か
かつては自由に
憧れていたものだが
なんとも
虚しいものだ
旧友とは
連絡もつくまい
同僚とは
今日でお別れだ
はてな
故郷の猫は
まだ生きているのか
おや
着いたようだ
昼休みに
新幹線の
チケットでも
取るかな
/k
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