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どうしても使う気持ちにならない送別の品。
前職を退職する時に、個別で送別のお品物をいただいた。だけど、どうしても使う気にならないものがあった。中身は、おしゃれなハンドクリームのセット。
私は年中ハンドクリームを塗っているので、本来なら自分ではなかなか買わないおしゃれハンドクリームは嬉しいはず。
でも、何だかダメで数ヶ月寝かせてみたけれど、それは変わらなかった。
ハッキリと気付きたくなかったが、これを贈ってくれた人たちが苦手だったからだろう。いや、気付きたくなかったのは、自分の心の狭さかもしれない。
私は、社長や上司、仕事上関わりのある人たちにのみ退職報告をした。自分からあちこちに報告はしなかったけれど、自然と広まる分には仕方ないと思っていた。
しかし、人事担当者(一人しかいない)に知られることは避けられない。問題は、この人事の口が軽いことだ。それ言って大丈夫なの?みたいなことを、日ごろの雑談の中でよくペラペラ話していた。
こんな人をなぜ人事に据えているんだろう…というのも、前会社に嫌気が差した理由の一つでもあると思う。
退職がこの人に知られるやいなや声をかけられ、
「辞めることは誰にも言わないから!」
と言われたが、私は全く信用していなかった。
案の定、数日後から彼女の仲良しさん(この人も苦手だった)の私への態度がよそよそしくなり始める。あーしゃべったんだろうなーそうだろうなー。この2人、いつもコソコソ人の噂話とか悪口言ってるもんなぁ。まぁ仕方ない、もう辞めるからいいや。
そう思って勤務を全うした最終日に、この2人からいただいたのが、今回のそれだ。
しかも、この人は、仲良しさんに私の退職理由も話していたみたい。えっ、自分で誰にも言わないって言ったよね!?そもそも、業務上知り得たこと(しかも個人情報)をペラペラ話すことってありなの!?仲良しさんも何も思わないの!?これが類友!?
元々信用できなかった2人が、この時に本当に無理になった。ちゃんと笑顔で受け取って挨拶はできたと思う。
帰ってから、同封されていた手紙も読んだ。ご自身の職場での今後のことばかり書かれていた。なぜ見送られる立場で、親しくもない同僚の決意表明や身の上を読まなきゃいけないんだろう?
品物を受け取っておいて、こんなことを思いたくない。
終わりよければというけれど、流せない自分の心の狭さも嫌になる。
どうしても使えないハンドクリーム達は、メルカリに出品しよう。
物に罪はないのに使えなくてごめんね。使ってくれる人の元に届けられますように。
手元から離れたら、この気持ちも少しは軽くなるだろうか。