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ファーストアートの色選びTips
こちらの材料選びTipsではたくさんの反響をいただきありがとうございました。
そして更新が遅くなり申し訳ありません……!
今回は、反響の中でも複数ご質問をいただいていた『ファーストアートを作るにあたっての色選び』について書いていきたいと思います。
とはいえ、「〇〇のメーカーの〇〇番と〇〇番を使いました」みたいな情報はちょこちょこネットに出回ってるんですよね……
我が家では原色の絵の具を混色して作ったため色番も存在しないので、この点ではお役に立てず💦
note作成にあたって「わたしに伝えられることはなんだろう?」と考えた時に
「色の選び方・組み合わせ方の原則・ルールなら伝えられるかも」
と思ったので、今回は以下のような方に向けての記事にしようと思います。
・せっかくならキレイな作品にしたい
・ネット上に好みの組み合わせがなかった
・使いたい色がある
・オリジナリティを大事にしたい
・……けど、色合わせのセンスに不安がある
注意点としては、美しさの感じ方は人それぞれで、完璧な正解はないということ。
そして、ファーストアートは自由だということ。
わたしはプレゼン資料や企業HP、フライヤーやポスターなどの作成を目的にデザインを学んだため、紹介できるのは無難なルールに限られます。
そしてそのルールに縛られる必要は全くありません。あくまでも参考程度に……!というスタンスを大事にしてくださいね。
今回お伝えできるのは、計画された『デザイン』であって、無計画な魂の活動が形を結んだ『アート』とは異なるのかもしれません。
その点ご理解いただけましたら、今回もお付き合いいただけると嬉しいです!
【デザイン好き/本職の方への注意書き】
今回はデザインの専門用語はなるべく使わずに進めていきます。デザインについて知識のある方だと物足りない内容かもしれません💦
また、わかりやすさを重視して専門用語とは異なる使い方をしている用語もありますが、ご容赦ください。
そして、今回お話しするのはファーストアートに特化させた内容であり、デザインにおける配色ルールのすべてを網羅しているわけではありません。
というのも、キャンバス上で色が混ざり合う性質をもつファーストアートでは、一般的な配色ルールに則った色の組み合わせでも、混色することで汚くなってしまう可能性があるからです。
『ジャッドの色彩調和論』で調べると面白いかも……!
キーワードは『まとまり感』と『遊び心』
色の組み合わせのキレイさとはどこにあるのかを言語化しようとした時、浮かんだキーワードが『まとまり感』と『遊び心』でした。
まずは『まとまり感』について、画像で示してみたいと思います。
下の画像、左右のどちらに、多くの人は美しさを感じるのでしょうか?
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おそらく右だと思います。
それは、色遣いが『まとまって』いるからです。
次は右の色遣いに『遊び心』を少しだけ加えてみましょう。
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どうでしょうか、すこし目を引く雰囲気が加わったのではないかと思います。
最後に『遊び心』の量を増やしてみましょう。
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『大胆さ』が加わった感じがしませんか?
特にファーストアートのような「りんご」「人」「ひまわり」といったモチーフのない、抽象画に近い作品の場合、大胆さに芸術を感じる人が多いため、『アート性』を感じた方もいらっしゃるのではないかと思います。
ちなみに、この最後の絵の色遣いが、実際に我が家で作ったファーストアートと同じルールで組み立てられた組み合わせになっています。
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ここまでで『まとまり感』『遊び心』の重要性を感覚的に掴んでいただいたところで、ここからはそれぞれについて言語化していきたいと思います。
あまり考えなくてもいい感じにまとまる色選び
この章、完成間近に差し込みました😇
というのも、この後にまとまり感と遊び心の出し方についてまとめたのですが、それに則っていても「奇抜」と「無難」のふり幅がかなり大きいし、そもそも『いや、結構面倒くさいな!?』と感じたためです(あけすけ)。
手っ取り早くいい感じの色選びがしたい方は、こんな考え方がおすすめです。
・自然界にある色をテーマにする
⇒『アジサイ』『夕焼け』『木の幹』『夏の空』など。天然石とかもいいね……!
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そしてごめんね、色の比率は適当です……!
・配色に『まとまり感』のある絵画に使われている色
⇒有名どころで言うとモネやゴッホはまとまり感のある配色の絵が多めです
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とはいえ『どんな写真・題材・絵画がファーストアート向きか』は、この後の本文にちりばめられているので、もしも題材選びで迷うことがあったらこのnoteに戻ってきてくださいね……!
まとまり感:『色相』と『トーン』のどちらかをまとめる
まず、ファーストアートにおけるまとまり感は『色相』と『トーン』のルールを守ると演出しやすいです。
色相とは?トーンとは?
美術の授業で出てきた『色相環』を想像してください。
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色相は『赤』『紫』『青』『緑』『黄色』といった、色の種類を指します。
色相環上では、隣り合う色は近しく、離れるほど遠い色になります。この色同士の連続性を覚えておいてください。
トーンについてですが、色って先ほどの色相環のような『原色!!!』って感じの色だけではないですよね。
例えばこんな感じ。
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同じ『赤』でも、淡くしたり、淡くして濁らせたり、黒や灰色を混ぜたような色にしたりと、色々なトーンがあるはずです。
そして、トーン同士の近さ・遠さはこんな感じ。
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ここからは、この『色相』と『トーン』、そしてそれぞれの連続性をもとに、色の組み合わせ方について考えていきましょう。
①まずはメインカラーを決めて、それを中心にまとめていく
好きな色でも、お子のテーマカラーでも、好きな花の色でも、飾りたい場所のインテリアに合わせてもOK。
『明るい黄色』『深い青』『くすみブラウン』など、色相とトーンをざっくりイメージしてください。
メインカラーを中心とした『まとまり感』を出すために、②以降の方法で色相とトーンを組み合わせていきましょう。
その前に、これから使う色を決めていく大前提として、色数を絞ることが重要だと覚えておいてください。
キャンバスの大きさにもよりますし、使う色の幅にもよると思うのですが、5色程度に抑えるのが失敗が少ないと思います。
キャンバス上で色が混ざり合い、新しい色が生まれていくので、
②色相を絞ってトーンで幅を出す『まとまり感』
例えばメインカラーを『ライトな青』とするならば、『青』という色相に絞って、『ライト』というトーンを中心に、なるべく隣り合ったトーンを採用して幅を出す方法。
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③トーンを絞って色相で幅を出す『まとまり感』
例えばメインカラーを『深くて濁った青』とするならば、『深くて濁った』というトーンに絞って、『青』の色相を中心に、なるべく隣り合った色を採用して幅を出す方法。
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逆に言えば、曖昧なトーンであれば色相が多少飛んでも気にならなかったりします。
隣り合っていればいくらでも選んでいいかというとそうではなく、選ぶ幅は、色相環全体の40%くらいまでに抑えるのが無難かな、と思います。50%を超えてしまうとかなり散らかった印象になってしまうので……
『まとまり感』オンリーでも可愛くなる法則
この後『遊び心』の方もお伝えしていくんですけど、普通に『まとまり感』だけでも可愛いですよね。
特に淡めのトーンをメインにするならば、まとまり感だけでもめちゃくちゃ可愛いです。おすすめです。可愛いです。
というのも、冒頭で『遊び心』を加えることで『大胆さ』が加わる話をしましたね。
『淡いトーン』のイメージは『可憐』『穏やか』なので『大胆さ』は必ずしも同居させる必要がないのです。
さて、次は『遊び心』の説明に移りましょう。
遊び心:『まとまり感』を壊せ!!!ただし……
ただし、ほどほどにね。やりすぎるとごちゃごちゃになっちゃうよ。
①色相もトーンもそこそこ絞って出す『ちょっとした遊び心』
『まとまり感』では、色相とトーンのどちらかを1つに絞る方法をお伝えしました。
それを壊すために、色相・トーンのどちらも1つには絞らずに『そこそこ』絞ってあげる、というのは、ちょっとした遊び心が加わっておしゃれです。
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②色相をずらして出す『遊び心』※濃・暗トーンメインがおすすめ
濃・暗トーンメインでおすすめな理由は、淡色だと色相がずれてもあまり『ずらした』感がない=遊び心を加えた感がなくなるためです。
そのくせまとまり感は薄れるっていう……あまり推奨はしないです🤔
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色をずらすときのポイントは、正反対の色を使わないこと。(今回の場合は12時の方向にある朱色/つまり色相環内で真っ直ぐ向かい合っている色)
デザインの世界では『補色』といって、正反対の色をアクセントカラーに使うのは鉄板なのですが、ファーストアートにおいてはキャンバス上で色が混ざり合うため、真逆の色を使うと灰色になってしまい、汚くなってしまう恐れがあります。
反対に、少しずらした色を使うことで、混ざり合ったときに抜けている色相(今回の場合黄緑と緑)がふんわりとカバーされることが期待できるので、遊び心を加えつつもまとまり感を出せます。お得です。
②の応用:さらにトーンを少しだけはっきりさせるともっとかっこいい
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上下を見比べてみてください。一番右のアクセントカラーだけ、トーンをはっきりさせました。よりパキッとした印象になりませんか?
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さらにアクセントカラーの割合を増やしました。大胆にアクセントを置くのは、アート感が増すのでおすすめです。
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③トーンを大幅にずらして出す『遊び心』※淡色メイン限定
淡色メイン限定としたのは、ファーストアートの『キャンバス上で無作為に色を混ぜ合わせていく』制作過程から、淡い色が濃い色に駆逐されがちだからです。
濃色メインのところに淡色をアクセントにおいても、かき消されてしまうので……(もちろん色の置き方にもよるだろうけど)
淡色の中に濃色のアクセントを置く場合は、アクセントの量をごくわずかにした方が締まりやすいかな、と思います。
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③の応用:白と淡色トーンをメインに置いて、ちょっと濃い色をアクセントにする
淡色と白の相性、良すぎです。
そこに隣を1個飛ばしたくらいのちょっと濃いトーンの色をアクセントに少しだけ乗せるの、おしゃです!!!
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他の淡色と白が混ざり合ってこういう色が出てくるのがたまらなく可愛いと思う……!
逆に黒と濃色をメインにするのは、ファーストアートの性質上、ちょっと難しめ。
また、濃色メインで白をアクセントにしようとするのも、色が混ざり合ったときのトーンの幅が広くなってしまうので、まとまり感を重視しようとするとやっぱり難しいです。
その他の色選びTips
金銀の使い方
金銀は高級感がプラスできるため、ファーストアートに使いたいという方も多いのではないかと思います。
金銀それぞれが持つイメージ(色彩心理といいます)に合わせて、使い方を工夫するとより洗練された印象の作品になります。
金:豪華・エネルギッシュ
キャンバス上に大胆に乗せるのがおすすめです。
どちらかというと暖色系との相性が良いです。
黄色にも見えるため、色相環で黄色と近しい色と合わせるとより馴染みます。
寒色と合わせるならば、どちらかというと濃く深い色の方が色のイメージとマッチします。
銀:穏やか・知的
金よりも控えめな印象のある銀は、キャンバス上に細かく乗せるのがおすすめです。細い線状に入るように、置き方を工夫するのもよさそう。
どちらかというと寒色系との相性が良いです。
グレー~白に見えるため、淡色と合わせるとまとまり感が出ます。
暖色×濃色は合わせるのが難しめです。
金銀をキャンバスに乗せる時のコツ
金銀の絵の具は、上から他の色がのると輝きがなくなってしまいます。
それを避けるために、キャンバスに乗せる時には以下のいずれかを試してみてください。
気持ち多めに乗せる
⇒絵具を点々と絞り出していくと思うのですが、その絞る量を他の色より多めにすることで、多少浸食されても無事な部分が残りやすくなります。他の色よりも離した位置に乗せる
⇒点々と置く時の距離感を、金銀の時だけ少し離すことで、他の色からの浸食を抑えることができます。密集させて乗せる
⇒点々と置く時に、色がランダムになるように置いていくと思うのですが『ここを金銀ゾーンにしよう』と決めたら、そこに金銀を多めに乗せるイメージです。
なんなら一度お子さんにもみもみしてもらって乾かした後に、金銀だけ後乗せして、もう一度もみもみしてもらうのもおすすめ。
黒~白のモノトーンをメインにするのもかっこいい
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モノトーンにパキッとした色を合わせたいのはわたしの好みの問題かもしれない……
家の建具に合わせて、少しブラウンを混ぜるのもニュアンスが出ておしゃれ。
特におすすめなのはアクセントに金銀を使うこと。鉱石のような高級感が出そうです。
メインカラーやテーマ選びにおすすめのサイト
誕生日や記念日に合わせて作ることの多いファーストアートなので、日付にちなんでテーマを考えるのもよさそうですね。
まとめ:とらわれすぎずに楽しんで!
これだけ色々出しておきながらまとめがこれかい!とツッコミを入れたくなった方もいるかもしれませんが、最初の注意書きを忘れてはいけません。
ファーストアートは自由です……!
なんせもみもみするのが赤ちゃんですからね、親側が考え抜いても予想外のことが起こります。(子育ての真理にたどり着いてしまった)
このnoteで紹介したのは『あくまでも無難な』色選びのルールです。
「思ってたのと違う雰囲気になっちゃった」「なんか汚くなっちゃった」をなるべく回避するためのTipsなので、これに則ってないから不正解なんてことも、まったくありません!
お子さんとの記念すべきアート時間を楽しんでくださいね!
その結果出来上がった作品が、記念としてもアートとしても長く飾り続けたいと思えるような、満足のいくものになりますように。
そして、そのヒントとしてこのnoteを使っていただけたなら、とても嬉しいです。
おしまい
材料選びTips未読の方は、ぜひこちらもご覧くださいー!
雰囲気のある作品作りにおすすめの材料を紹介しています。