NPOメンタリングプログラムを終えて
2023年10月~2024年2月にかけて、認定NPO法人サービスグラントが主催する「ママボノNEXT:NPOメンタリングプログラム」に参加した。
参加しようと思った理由は、次女の育休が長引いて社会からおいて行かれるという恐怖感があったからだ。子どもは可愛いし子育ては楽しい。だけど子どもはどんどん成長していくのに、自分だけ止まっている感じがする。育休中はお給料をもらう仕事をしていないので、社会に役に立っているという実感を持てない。こんなに長く休んで、復職してから仕事できるんだろうかという心配も日に日に増していった。
もう一つの理由は、話を聞くだけで人の役に立てるなら手軽で良いと感じたからだ。社会の役に立ちたいという思いを持ちながらも、子どもを自宅保育している状態でハードワークする気もなかった。限られた時間の中で話を聞いて課題を整理するというスキルは仕事にも生かせそうだと感じたのもあり、参加を決めた。
私が担当したNPOは、ざっくり言うと困窮家庭の支援をしている団体だった。生活保護とかひとり親支援とか行政が対応してくれるイメージをなんとなく持っていたが、実際の業務はそう単純な話でもないことが理解できた。
「そういう問題は自分には関係ないから」とスルーしてしまうことで問題は問題として存在し続ける。支援の現場では私は全く役に立ちそうにない。だけど冷静に話を聞いて整理し、思ったことを伝えるというのは苦にならないので、現場で働いている方の話を聞くことで間接的に役に立つことはできそうだという感触は得られた。これは嬉しい発見だった。
メンティー(話を聞いてもらう側)がとても素敵な方で、色々と大変なことがある業務にもかかわらず、笑顔を絶やさず楽しそうに希望を話してくださる姿が印象的だった。毎回のメンタリング後になんだか気分が晴れ晴れとして、逆に私がメンタリングの恩恵を受けていると感じたくらいだ。
今回のメンタリングプログラムに参加するにあたり、NPOの業務のことは全く知らない状態で臨んだ。こちら側に知識や経験がないので具体的なアドバイスはできなかったのだが、メンティーが話をする中で自身の中で優先順位が明確になったらしく「参加して良かった」「方向性が見えてきた」というお言葉を頂いた。「○○の課題について」というテーマを決めたディスカッションではない自由な対話だったからこそ達成できたのだと思う。
そういえばメンタリングというものを受けたことがないのだが、会社の中でもこういう仕組みがあるといいなと感じた。
参加前に持っていた、社会からおいていかれるという疎外感や恐怖感は少し和らいだと思う。私はどうしても他人と比較してしまう性質なのだが、
みんながお金を稼いで社会に貢献している時、
私はNPOで働く人の話を聞くことによって社会貢献の一端を担っていたのだ
という満足感は得られた。
また話を聞くだけでOKというのもその通りだった。最初のうちは情報収集してみたものの、その分野の知識やスキルはメンティーの方が多いので、その場しのぎにもならなかった。だから無理して調べものをするのはやめて、相手が語ることに対して普通に思うことを伝えることにした。それが逆に良かったのだと思う。自分が普通に知っていることでメンティーにとっては新しい情報だということがあった。逆もしかり。実際に話してみないと何がそれにあたるのかが分からないので、誰かと話す機会は世界を広げるために必要だと感じた。
視野を広げた先に何があるのか?今後の人生の役に立つのか?
お金を稼ぐという意味では特にプラスにはならないかもしれない。でも同じ社会に生きている誰かの役に立てているという実感を持てたのは単純に嬉しかったし、良い経験をしたと思う。やってみて良かった。