廃墟の探索指令
「−…ええ加減気付いてくれへんか?」
「うぉっ!!??ゴースト???てめぇいつの間に!?」
部屋で積みゲーを崩すことに夢中になっていた89の背後からゴーストは声をかけ、全く気付いていなかった89は手に持っていたゲーム機を落としながら驚きの声を上げた
「あんさんがドアをノックしても気付かへんし、中に入って何度声をかけても全く気付かんかっただけや」
…マジか
ゲームに夢中になっていたとはいえそれだけの間、全く気付かなかったというか自分に気付かせなかったゴーストの存在感に改めて驚きを隠せずにいた。
「…で、なんの用だよ?」
「指令もろうたんやけど、この指令あんさんが代わりにやってくれへんか?」
「はぁ?めんどくせぇ…けどお前が指令代わってくれっていうの珍しいな?どんな指令なんだ?」
プレイしていたゲームをセーブして机の上に置くと89はゴーストの手に持つ指令書を見た。
「古い館の…捜索…うわっ…めんどくさそうな指令だな」
「古銃が残っとたら壊すんが目的やけどわいがそんな廃墟行ったらどうなるかわかるやろ?」
「お前の事がどこにいるかわからなくなりそうだな…」
容易に想像がついて口に出してしまうとゴーストはため息をつきながら顔を背けた
「せやろ…わいみたいな影のうっすいのが行ったら相性抜群過ぎて絶対に忘れられるんや…自分でもわかっとるねん…」
「はぁ~・・めんどくせぇけど…わかったよ!!代わってやるよ!」
89は下を向いて諦めの溜息をつくとゴーストが置いてけぼりになった場合に捜索に赴くことのめんどくささを考えたら代わった方がまだマシだと心の中で思いつつ交代を受け入れた
「おおきに、あっこれまだミカエル君とベルガ—に伝えなアカンからそれも頼むわ」
「ゲッ!?ミカエルは良いけどあの鳥頭もいるのかよ!!ってゴースト!!??」
顔を上げると既にゴーストの姿は部屋のどこにもいなくなっていた
「マジかよ…あいつ…たまに怖いよな」
指令書を片手に消えたゴーストの存在感の無さの怖さを感じずにはいられなかった
そして部屋の主がいなくなった89の部屋では
「わい…まだここにおるんやけどな…まぁいつもの事やからええんやけどな…」