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生い立ちパズル こぼれ話 2

『生い立ちパズル』
こぼれ話が たくさんあります。

思い出したことを そのまま書いていきます。


感受性

感受性が強いから、とわたしを怖がる大人が 数人いました。
その人たちの顔を思い出せないし、親の知り合いだったのか、近所の人だったのか、先生だったのか、全く思い出せません。

わたしの中に残ったのは
嫌がる表情、訝しがる表情、
どう扱っていいか分からないと 困惑する表情。

 何か悪いことをした記憶がないのですが、わたしとの関わり方に困っている。
それがわかるから わたしも更に困ります。

子供の頃のわたしにとっては、
大人は それこそ 『いやな顔する』嫌な人達でした。

わたしも  あなたたちが怖かったです。


隣りのおじさん

隣りのおじさんは、主に 簡単な家の修繕やらで、うちの手助けをしてくれていました。


 一度 すぐ近所で 大きな火事があった時、屋根に登り 落ちてくる火の粉を払ってくれたり。
ちょっと近所の厄介者的な雰囲気の人ではあったのですが、良くしてくれていました。たぶん。

でも、よくわかりません。

良い人だと 思ったことはなかったです。


それには 理由があります。
そのおじさんは、野良猫の赤ちゃんを 狭い窓の柵の内側に 閉じ込めたり、日常的に 動物虐待をしていました。
それを 目の当たりにしていたからです。

 仔猫は 前にも後ろにも出られず にゃあにゃあ鳴いてました。
 子供のわたしの手でも 入れることはできても 自由に動かせず、どうにもできません。

泣きそうになりながら
必死で やめてあげて、と訴えましたが  何度も 棒を使って 奥へ入れようとします。

泣きながら、睨みつけながら、
わたしの手なんかちぎれてもいいと思いながら、手首を真っ赤にして たすけようとしましたが、出してあげることができませんでした。

わたしの勘違いであって欲しいですが、
動物が苦しむ、
わたしがそれを見て悲しむ姿を 楽しんでいるように 見えていました。

その仔猫が どうなったのか
覚えていません。

祖父母のことは たすけてくれるので どう受け止めていいのか よくわからなかったです。

でも おじさんが飼っていた犬も
何故なのか、わかりませんが
ある日、バイクの後に 縄でくくりつけられ 引きずられて行きました。

それを見て泣きました。
胸が苦しくて
押しつぶされそうになります。

あれは 忘れられません。

わたしは、その犬とも 仲良くしていて
よく遊んでいました。

「どこへ連れていったん?」
と聞くと

「山」
と ひと言返ってきました。

その犬は 数日後、自力で
汚れて帰ってきました。
わたしを見て 姿勢を低くして しっぽを振って すり寄ってきました。
縄が首に付いたままです。
身体は 白い部分が 汚れています。

嬉しくて嬉しくて。
そして、なんて賢い子なんだと、喜んで 抱きしめて 撫でました。
 犬も ぺろぺろと わたしの顔を舐めました。

隣りのおじさんは、
それを見て
すぐにまた縄で縛って バイクで引きずって 連れ去って行ったのです。

書いてても 思い出して泣きそうです。

たすけてあげられなかったです。
追いかけたけど
祖母に止められた。

なんで?
なんで みんな たすけないの?

その犬は もう戻ってきませんでした。

 バイクで引きずられていく姿は 消えません。

痛かっただろうな。

怖かっただろうな。

 誰もたすけられなかった。
 誰にもたすけてもらえなかった。

ごめん。

わたしも たすけてあげられなかった。


 大人になった今なら 必ず、たすけるのに。


それに、そんなことして、
それを見て見ぬふりして
いったい みんなのどこがどう大人なのですか?
どう優しいのですか?

子供の頃は こういうことに出会っても
たすけられないことも 多くて 悔しくて唇かみしめて 泣いてました。

大人に対して
不信感ばかりが募っていきます。


 大人なんて大嫌い

転校生

 転校生が来ると、気になります。
好奇心、そんなものより
ぽつんとしている姿を見ると、堪らなくて気になります。

誰も声を掛けない時は
声掛けます。

優しさとかではないのかもしれません。
 触覚みたいなものが
子供の頃からあったので
寂しそうな空気を感じると それをキャッチします。

他の誰かが 話しかけていたり、
そのうち 馴染んで 楽しそうに過ごすようになると ほっとします。  

高知から来た転校生がいました。
休み時間 ぽつんといたので 話しかけました。

その子の空気が 暖かくなるのがわかります。
仲良くなりました。

毎日毎日、学校行く時も
放課後も 誘ってくれるようになりました。

わたしは、
やさしくないんです。

毎日 遊ぶのは苦手でした。
毎日 同じ景色が苦手でした。

そのうち 遊びに来てくれたのに
断るようになります。

何度も何度も。

ある日、
「そんな子だと思わなかった」
と 言われます。

その子は その頃はもう すっかりクラスにも馴染んでいたので
仲のいいクラスメイトもできて、
わたしとは 目も合わさなくなります。

胸が 少し痛い。

わたしは 相変わらず いろんな子と遊びますが、基本は やはりひとりで 自然と触れ合います。

ちょっと悲しいけど
ひとりだと 落ち着きます。

 
自己満足のつもりでもなかったので
自分でも、やさしさだとは思っていなかったようです。

その子の目の前の景色を がっかりさせたくなかっただけです。
結果、自身がひとりを好むくせに
子供だったので
その後のことなんて 考えることもできず、
『ひとり』『かなしい』『いたたまれない』という空気を かき消したかったんです。

わたしが 誘いを断ることで
傷つけたり、嫌な思いをさせたり、がっかりさせるなんて 想像できていなかったです。

後々、その子が
たのしそうにしていたことで ほっとは していましたが、
ごめんね…、と いつも思っていました。

祖母もまた そんなわたしを
がっかりしていたでしょう。
扱い方に困っていたと思います。

わたしは そんなことで 傷つかないから大丈夫。

だけど、
他人に がっかりさせたくないと思っている自分が がっかりさせるんだということが 悲しかった。

まだ 子供の頃には それがわかるはずもありません。


小さい頃は 感じていても
言葉に出せないことがあります。
今は こうして
あの時 とても憤りを感じていたんだな、とか
周りの大人の行動が よくわからなくて
聞きたかったことも
今なら あれはやはり おかしい、というのも 言葉にできます。


いまは 大丈夫に生きてるから
ときどき  小さい頃の自分を 
自分で よしよしします。




                                             𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭

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