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生い立ちパズル② piece:たったひとりの世界

うちの家のすぐ裏は 深い山でした。有名な観光地でもあります。

石段1368段。


そうです、金比羅山。
すぐ裏にあるのです。
家を出ると すぐに裏道から金比羅山に入れます。しょっ中、山に入って遊んでいました。

今 思うと、不思議な家の構造だったんですが、どういう契約をして借りていたのだろう。(たまに似た場所を夢にみます)

昔の鉄筋コンクリート造りのアパートのようで、2階もあるんだけど 2階は 一部屋しかなく、他の家族はいなかったような…。
1階で住んでいたのに 2階も自由に行き来してたの覚えています。
扉がなかった気もするので 物置的な部屋だったのかな。

蟻が巣を作っていく様子を観察したくて、瓶に 蟻を数十匹入れ、瓶の外側を紙で巻き、大切に観察していました。
が、2階で その瓶を移動させていて 手からするんと落ち、蟻を部屋に撒き散らした記憶があります…。

そして、その1階の隣りには、両親の知り合いの家族が住んでいました。


その頃から わたしは自然の中で ひとりで遊ぶのを好みます。
 ひとりで 風を感じたり、虫の生態観察をしたり、高い木のてっぺんの葉先の、見えない風の行き先を予測したり、見たり、という感覚遊びをしていました。
自然に ひとりで覚えた遊びです。

 母は、若い母でした。19歳で わたしを生んでいます。

わたしが物心着いた頃には、小さなスナックを経営していました。
たまに お店に連れていってもらうこともあったけど ほぼ家でひとりでいたような気がします。

だいたい 母がお店に出る前に わたしは寝かしつけられます。そして、しんとした、真っ暗な部屋の中、目を覚まします。
暗闇は 怖くて怖くて不安でたまらなかったです。

何かあったら 電話するように教えられていたお店の番号に 泣きながら 電話します。毎晩です。

そうすると、暫くして 母方の祖母が歩いて迎えに来るのです。
(後に わたしは その祖母の家で暮らすことになります)

 迎えに来てもらうと、夜空を見上げながら 祖母とふたり、祖母の家まで歩きます。時には手を繋いで たくさん話をして歩きます。

 不安でたまらない暗闇で目を覚まして 泣いてるわたしを迎えに来てくれる祖母は その頃のわたしにとって、とても、心強い存在でした。唯一の頼れる存在。

でも 何故か その祖母と歩いてる夜空を見上げながらも 毎回 感じるのは 強い謎の使命感と、深い孤独感

よく祖母に話していたと思います。
「なんかね背中におっきなものがいて こわい。」というようなことを。

そんな日々の中、 一度だけだったと思いますが、
いつものように 迎えに来てもらった祖母に 絶対的な信頼感で 気持ちを全部預けたような気持ちでいたところ、
手を繋ごうとしたわたしの手を 祖母が振り払ったことがあります。

今、大人になって思うと 祖母にもいろんな日々の思いがあって そんな余裕がない日もあったことは、充分 理解できます。自分のことでも精一杯だったのに 辛かっただろうな、とも。

ただ、小さかったわたしの心は ズキンと痛く、大きく深く怖い気持ちの場所を認識してしまうことになります。

たったひとりの世界』です。

手を繋ぐことを振り払われた小さかった手が なんとなく印象にあります。
行き場をなくす小さな手。わたしの手。

それからは、自分から 手を繋ぐのが怖くなってしまった。
自分の寂しさなどを 肉親だろうと、誰にも 簡単に 預けちゃいけないと 思った。
その時 わたしは まだ5歳。

頼れる人はいない、と なんとなく感じます。強い孤独感に襲われていた幼少期です。





                                            𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭    


※最後まで 読んでくださり、ありがとうございます。

『生い立ちパズル』の記事は コメントoffにしておりますが、宜しくお願い致します。

あくまで 個人的な目線で その当時、感じたままを書いています。

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