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Wether Report. Night Passage(1981)
本作はデュークエリントンのカバーがあったり4ビートのジャズナンバーがあったりと現代音楽やフリージャズから始まりロックやファンク、ワールドミュージックを取り込んできたウェザーの原点回帰のようであり新たな挑戦と言える一枚です。音はシンセやベースでホーンセクションのような音を作りサックスがソロイストを演じると言うビッグバンド風のサウンド。ジョー、ウェイン、ピーターは時期は違えどメイナードファーガソンのバンド出身でビッグバンドの経験はあり。ビッグバンドあるあるで盛り上がりながら作ったのかもしれません。
メンバー
ジョーザヴィヌル:キーボード
ウェインショーター:サックス
ジャコパストリアス:ベース
ピーターアースキン:ドラム
ボビートーマス:パーカッション
Night Passage
キレのいいビートに乗ってジョーのホーンセクションのようなシンセとジャコのウッドベースにもトロンボーンにも聴こえるフレットレスベースがビックバンドのようなサウンドを作りショーターは花形プレイヤーのようにアドリブを吹いていきます。
Dream Clock
1stや2nd に通ずる環境音楽風の一曲。ジャコのベースとは思えないミステリアスなサウンドが印象的です。しかし、ジャコはもちろんウェインの豪快な泣きのサックスなど初期ウェザーそのままではなく今のウェザーの要素を加えています。
Port Of Entry
ラテンビートの躍動感溢れるファンキーなナンバー。並みのミュージシャンには弾けなさそうなくらいアップテンポで聴いていて目が回ってきそうです。僕はピーターの軽い音のドラミングがキレがよくて好きですがそんなピーターの良さが詰まったドラミングがイントロで飛び出して来ます。Night Passageでは下積み時代、Dream Clockでは初期ウェザー、Port Of Entryでは中期とこれまでの経歴をふりかえっているようで面白い並びです。
Forlorn
穏やかなシンセから始まるエキゾチックで幻想的なバラードナンバー。
Rockin’ In The Rhyhm
ウェザー初のカバーでオリジナルはデュークエリントン。シンセでホーンの音を真似ていますが完コピではなくあえてシンセらしい響きにしているのが捻くれ者のジョーらしいです笑。ただアコピソロや難解なのにキャッチーで聴いていて楽しくなってくるところはエリントンそのままです。
Fast City
モダンジャズの要素を取り入れたアップテンポの曲。ここでもショーターが豪快なサックスを聴かせてくれます。
Three Views Of A Secret
ジャコのオリジナルで本人名義での演奏も多く残されています。ウェザーらしいアップテンポの冒頭からゆったりとスウィングする中盤からそのまま後半へ繋がる流れが印象的です。
Madagascar
中期のようなミステリアスでありながらエキゾチックでアーシーなナンバー。後半のスリリングなアドリブはライブならではのものです。この曲のみ大阪でのライブ音源です。