見出し画像

Blossom Dearie – Blossom Dearie(1957)

子供のようなキュートな声が特徴のブロッサムディアリー。作ったような声ですが意外なことに地声で実際にライブのMCやインタビューを聞くとあの声です。そして弾き語りがメインで声の影に隠れがちですがピアノの腕も卓越したものを持っています。またイギリスやフランスで仕事をすることも多かったため語学にも堪能でアメリカのジャズボーカルとは異なったフィーリングを感じます。本作はヴァーブからのファーストアルバムでブロッサムの英語での弾き語りがメインですがインスト、フランス語の弾き語り、フランス風の男女コーラス入りとバラエティに富んでいます。

メンバー
ブロッサムディアリー:ピアノ、ボーカル
ジョージョーンズ:ドラム
ハーブエリス:ギター
レイブラウン:ベース
ケニーバレル:ギター、エドシグペン:ドラム(17)

'Dead I Do
チャーミングなボーカルな印象的な一曲。ハーブエリスをはじめとするスウィンギーなリズムも素晴らしいです。

Lover Man
ビリーホリデイやチャーリーパーカーのバージョンが有名な曲。二人と比べるとあっさりしていますが哀愁漂う歌唱が印象的です。

Everything I've Got
スウィンギーなアップテンポナンバー。可愛らしいボーカルはもちろんピアノソロもとてもよいです。

Comment Aleez Vous
フランスの曲でフランス風の男女コーラスをバックにフランス語で歌っています。

More Than You Know
インストでブロッサムのロマンティックなピアノとハーブエリスのブルージーなギターのコンビネーションが素晴らしいです。

Thou Swell
ブロッサムの洒落たボーカルが印象的な曲。ラウンジ―なピアノソロも洒落ていてとても良いです。

It Might As Well Be Spring
これもコーラス入りのフランス語曲です。フランス語の語感とブロッサムのチャーミングかつ粋なフィーリングがよく合っています。

Tout Doucement
フランス語ナンバーでベリーソフトリーという意味だそうです。バッキングに徹していたコーラス隊がここではちょっとだけリードを取っています

You For Me
久々の英語曲でスウィンギーな演奏はアメリカのジャズ色が濃いです。バラードはもちろんですがアップテンポでも時にははつらつと時にはいたずらっぽく歌いとてもチャーミングです。

Now At Last
カクテルピアノ風のバラードナンバー。ブロッサムの演奏はシンプルですがビルエヴァンスを研究したりジョンコルトレーンのバージョンを参考にしたMy Favorite Thingsを演奏したりと実は卓越した腕を持っています。

I Hear Music
キュートでいたずらっぽい歌が可愛らしい一曲。

Wait Till You See Her
ゆったりとした演奏にあわせしみじみと歌っています。バラードでの大人っぽい歌もとても素敵です。

I Won't Dance
スウィンギーなギターが印象的な曲。フランス語交じりの歌詞がブロッサムにぴったりです

A Fine  Spring Moring
詩的な雰囲気のバラードナンバー。

They Say It's Spring
スウィンギーなリズムが心地よいミディアムナンバー。疲れた時に聞くとぴったりです

Jonny One Note
スウィングルシンガーズ風のコーラスグループの一曲。ブロッサムは特徴的ではありますが声量があまりないのか埋もれてしまっています。このアルバムで3曲に参加したコーラスグループに関しては一切情報がありません。

Blossom's Blues
子供っぽいいたずらっぽい歌い方が印象的な曲。I'm Evil Womanなんて歌詞もスキャットも子供がふざけて大人の真似をしているみたいです。

コネクション:ヨーロッパのブロッサム
フランス時代にはブルースターズというコーラスグループを結成。クリスチャンヌルグラン(ミシェルルグランの姉)をはじめスウィングルシンガーズのメンバーも在籍していました。このグループの歌う「バードランドの子守歌」は個人的に一番好きです。

イギリス時代はフォンタナに所属してジョージィフェイム、ジョンレノン、ダスティスプリングフィールドらと交流し歌を作っています。エレピやボサノヴァのリズムを使った演奏やバートバカラックのカバーなどソフトロック好きにはたまらないと思います。個人的にはブレイクビーツなドラムと極太なベースがかっこいいI Like London In Rain が好きです